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桃子(どうも、東横桃子っす……突然の告白ってどう思うっすか?私は……) 桃子「ウチの高校は駅から遠くて嫌になるっすねー」 桃子(バスは混んでるからむぎゅ……押し潰されるし、こんなときも影の薄さが嫌に、むぐっ) 京太郎「あの、よかったら座りますか?」 桃子(?……ご老人も妊婦さんもいないみたいですけど) 桃子「……もももも、もしかして私に言ってるっすか!?」 京太郎「?ああ、女子でこの混雑は大変でしょ?」 桃子「あ、ありがとうっす!」 桃子(この人、清澄の人っすよね!?私が普通に見えるっすか!?) 桃子「……清澄の麻雀部員さんっすよね?」 京太郎「そうですよ、鶴賀の東横桃子さんでしすよね。須賀京太郎です」 桃子(普通に会話できる!?しかも覚えられてるなんて……) 桃子「た、タメ口でいいっすよ!どうしてこっちに?」 京太郎「実は買い出しで……」 桃子(普通に会話……それに男子となんて、もしかして久しぶりどころか初めてじゃないっすか?) 桃子「あはは、面白いっすね……あ、着いたみたいっす」 京太郎「いつの間にか、なんだか時間が経つのが早く感じるな」 桃子「なんっすかそれ、おじいちゃんの台詞っすよ。本当に京太郎は面白いっすね、それじゃあ」 桃子(本当……こんなに楽しい『普通』、時間が経つの早すぎるっすよ。あーあ、メアドとか聞ければよかったっすねー……もう会えないかも、とか、思っちゃ……) 京太郎「桃子!」 桃子「え、京太郎!?ど、どうしたっすかバス降りるのここじゃ」 桃子(も、もしかして同じようにまた、話したいから連絡先とか思ってくれたり) 京太郎「好きだ!一目惚れした!俺と」 京太郎「付き合ってくれ!」 桃子「え」 桃子「……ええええええええっ!?」 桃子「……ッハ!?いつの間にか自分の部屋に」 桃子(そ、そうだ少し考えさせて欲しいっすって言って連絡先だけ、交換して……) 桃子「突然の告白なんてどうしたらいいか分からないっすよー!もー!」 桃子「こういう時、どうすればいいっすか?……そもそも京太郎とは会ったばかりで」 京太郎(美化30パーセント増)『あっはっはっは、おもちおもち』 桃子「そりゃかっこいいし、話してて楽しいし……あれ?断る理由ないっすね?」 桃子「……いやいやいや!そもそも一目惚れって、私のどこが……そうだ!こんな時は友達に相談っす!」 桃子「友達いなかったっす……いや!麻雀部のみんなが私にはいるっす!」 桃子「えーと、ケータイ取りだしポパピプペっと、『私のいいところってどこっすか?』」 桃子「三通しか返ってこなかったっす……」 桃子「妹尾先輩は多分メールに気づいてないっすね……」 睦月『悩みがあるなら相談してほしい』 桃子「違うっすよ津山先輩……そうじゃな、いや、でも悩みではあるっすね」 智美『モモは麻雀が強いなー』 桃子「智美先輩、そうじゃなくてこう外見とか特徴とか……」 加治木『モモは特徴がなくとも、それを逆手にとり武器にする……言うなれば特徴のないことこそが特徴に……』 桃子「それはその通りですけど!うう、どうすれば……余計こんがらがっただけっす、いや、これは悩むだけ無駄ってこと。そもそもそんなこと京太郎にしか分からない、なら私は当たって砕けていくだけっす!いや、砕けたくはないっすね」 桃子「兎に角京太郎にメール、そうだ!デートに誘ってそこで答えを出すっす!ポパピプペっと」 桃子『今度の土曜日、駅前で待ち合わせっす!』 桃子「……よし、送ったっす。あれ?妹尾先輩から返信が」 妹尾『桃子ちゃんはふくよかで可愛いよ』 桃子「……」ふにっ 桃子「ど、土曜日まで後三日!とりあえずダイエットっす!」 桃子「グロスを塗って……アヒル口ってどうやるんっすかね?い、いや別にキスを期待してるわけじゃないっすけどね……一応!一応!あ、いいものが 」 アヒルちゃんプロペラ「」 桃子「……むー?こ、こうひゅかね?」 智美「なんでモモはアヒルとにらめっこしてるんだー?」 桃子「わっひょい!?」 桃子「ね、ネイルって……今時の女子高生ってそんなことまでやるっすか?」 ゆみ「むしろ私は今までやってなかったことに驚きだよ」 佳織「駄目だよーちゃんとしないと」 桃子「うひっ、くすぐったいっすよ!」 睦月「カラコンとマスカラ、とりあえず色々揃えてみたけど……」 桃子「ありがとうございます!」 睦月「こういうのはやり過ぎても……って行っちゃった」 桃子「よし!装備は完璧っす!あとら明日に備えて寝るだけっす」 桃子「ぜ、全然眠れない」ドキドキ 桃子(だ、大丈夫っす目覚ましも三個セットしてあるし安心して寝れる……会うだけ、会うだけでそんな緊張する意味なんて) 桃子(……可愛いって言ってくれるっすかね、みんなと相談して、多分人生で一番のオシャレっす) 桃子(だ、か、ら!寝ないといけないっす!クマだらけの顔で京太郎に会うわけには……) 桃子(もしかしたら、明日から彼氏が……できるかもしれない、本当に今までだったら考えられないこと……) 桃子(あ、あはは……もう外が明るいっす……こうなったらこのまま起きてハイテンションのまま乗りきるしか……よく、考えればその方がいいっす、素面のままあったら恥ずかしくて顔みれな) 桃子「ぐう」 桃子「……んが」 桃子「……」 桃子「……」 桃子「……」 時計『待ち合わせ十分前やな』 桃子「ね」 桃子「寝坊したぁあああああああ!?」 桃子「あ、ど、どうしよう、と、とりえず顔洗って、着替え、着替え、あ、化粧……諦めるしかないっすね……と、にかく早くしなきゃ、京太郎が……」 桃子「はぁ、はぁ……急げばバスに間に合うっすね、ちょっとマナー悪いっすけど、バスの中で髪は整えるしか……」 桃子「痛っ……あ、ああ……ヒール折れたっす……これじゃあ間に合わない……こうなったらもう片方も折るっす!えい!」 桃子「ああ、もう時間が……とりあえずバスに乗って、って、なんでこんなに混んで、むぎゅ……押さないで欲しいっす、服が、今日のために用意した綺麗な服……」 京太郎「……どうしたんだろ、桃子。電話も出ねーし、なんかあったのか?」 京太郎「振られた?……いやいや!探そう、行き違いになってるかもしれないし」 京太郎「……ああ、いたいた。どうしたんだ桃子?」 京太郎(街路樹の下で、隠れるようにうずくまる桃子がそこにいた) 桃子「……今日ほど、消えたいと願った日はないっす」 京太郎「どうしたんだ?具合でも悪いのか?」 桃子「なんで怒らないっすか?遅刻したっすよ、私……遅刻して、髪もぐしゃぐしゃで、化粧もしてないし、部活のみんなで選んだ服もぐちゃぐちゃになって、背伸びして履いたヒールも折れて……」 桃子「こんな、こんなんじゃ、京太郎に会わせる顔なんて、ないっす」 桃子「私が、目立とうとしたのが間違いだったんっす、恋人なんて、誰かに、好かれるなんて、夢みたのが……」 京太郎「えーと、さ、それってつまり、いつもの桃子ってことだろ?」 桃子「……そうっすよ、いつもの、地味で、影の薄い」 京太郎「そんなことねえよ」 桃子(頭、撫でて……) 京太郎「俺は、その、なんだ、いつもの、普段の、バスで隣通し喋った桃子がとっても魅力的で、ぴかぴかして惚れたんだ。地味でもないし、影なんて薄くない、めちゃくちゃかわいい女の子だよ」 桃子(涙を流す私の顔を見て、京太郎はそう言ってくれたっす……そのとき、私が京太郎を気になっていたのは顔でも性格でもなくて……その) 京太郎「あ、また告白しちまったな……これで恥ずかしさおあいこってことでさ」 桃子(その、まっすぐに私を見てくれる眼が……) 桃子「京太郎」 京太郎「元気でたか?それじゃむぐっ!!???」 桃子「……っぷは、あ、アヒル口忘れてたっす」 京太郎「も、桃子今の……」 桃子「モモって呼ぶっすよ、だって」 桃子「恋人っすから」 京太郎「……へーへー、じゃあ買い物にでもいくか、モモ」 桃子「ってうわぁ!?お姫様だっこって……恥ずかしいっすよ……」 京太郎「お返しだ」 桃子「買い物って、どこに……」 京太郎「そうだな、服屋に化粧品……とりあえずは」 京太郎「靴屋だな」 桃子(その日、私は彼氏に買ってもらった靴を履いて帰ったっす) 桃子「と、言うわけでこれが私の告白作戦っす!同じようにすればきっとその好きな人と恋人になれるっすよ!」 咲「あーうん、もういいや、っていうか目的がなくなったというか、試合になってなかったっていうか……うぅ」 桃子「どうしたっすか?加治木先輩から恋愛相談されたときはビックリしたっすけど、大丈夫っす!他にも色々話すことはあるっすよ!」 咲「うう、部長に相談したら恋愛経験ある人紹介してくれるって言ったけどこれじゃああんまりだよ……」 桃子「代わりにと言ってはあれっすけど、ちょっと京太郎のことで聞きたいことがあって……宮永さんは幼馴染みっすから色々……」 咲「うわぁあああああん!」 カンッ!
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次話 京太郎インタビュー 西田「うーん……原村和さんのインタビューに成功したのはいいけど、必要最低限って感じだからもうちょっと何か欲しいところね。 チャンプの妹である宮永咲さんに取材出来たら良かったのだけど……ってあれは」 咲「京ちゃーん。これから部活ー?」 京太郎「あー、いや先に購買でシャーペンの芯買ってくるわ。ついでになんかあるか?」 咲「んー。それじゃあ……」 西田「すみませーん!」 咲「ひぇっ!?」 京太郎「ん?」 西田「少しお話いいですかー!?」 咲「あわわ、き、記者の人だ! ごめん京ちゃん後でね!」ビュー 京太郎「あ、おい! ……行っちまった」 西田「あら、逃げられちゃった」 京太郎「すいません、何か咲に用ですか?」 西田「ええ。清澄高校麻雀部のインタビューとして、あの子にもお話聞きたかったのだけど……あの様子じゃ無理そうね」 京太郎「そうっすねー。あいつ結構人見知りなんで、そういうのは無理かなって」 西田「姉妹でも、似ない所は似ないのね……」 京太郎「はい?」 西田「こっちの話。申し遅れました。私、西田といいます。よろしくね」 京太郎「あ、須賀です。よろしくっす」 西田「須賀君。君は彼女と仲良いの?」 京太郎「? ええ、まぁ」 西田「もしかして、彼氏……だったり?」 京太郎「いやいや、そういうのじゃないっすよ」 西田「あらそう。仲良さそうだったからつい」 京太郎「よく言われますけどね。それじゃ、俺もそろそろ行きますね」 西田「……あ、ちょっと待って」 京太郎「?」 西田「さっき清澄高校麻雀部のインタビューをしたいって言ったじゃない?」 京太郎「ええ、はい。咲にも話聞きたいって」 西田「良ければ、君の話も聞かせてもらえないかな?」 京太郎「お、俺っすかぁ?」 西田「ええ。選手達と関わりある、選手でない人の意見っていうのも、結構ネタになるからね。一応撮影はさせてもらうけど、そんなに時間は取らせないし、退屈もさせないから」 京太郎「んー……。まいっか。部長に遅れる連絡だけさせてもらっていいですか?」 西田「ありがと」 それじゃあ改めて、お名前から。 京太郎「清澄高校一年、須賀京太郎です。よろしくお願いしまーす」 清澄高校麻雀部とは、どういう関係で? 京太郎「関係っつーか、一応部員です。俺も」 一応、と言うと? 京太郎「いやー、他のみんなは大会に出て全国へー、とかってレベルなんですけど、俺だけ初心者なんですよね。高校に入ってから初めたばっかで」 周りは経験者ばかり? 京太郎「そうですね。と言っても、部員は大会に出た5人と俺の合計6人なんす。ハーレムってやつですよハーレムははは」 あまり嬉しそうではありませんね。 京太郎「……いや、部活で他が女の子だけって、どーしたって異物感出ますよねって話です……」 部室にいると気まずい? 京太郎「気まずいかって言われるとそーでもないんですよ。やっぱり女子だから男子だからで気を遣わなきゃいけない事はあるんですけど、そういう壁をお構い無しに仲良くなる奴もいますし、みんな良い人ですしね」 特に仲のいい部員といえば? 京太郎「やっぱ咲とタコス……あー、優希ですね。片岡優希。さっき言ったお構い無しの奴です」 同学年ですと原村和さんもいらっしゃいますが、そちらとは? 京太郎「仲が悪い、って訳じゃないですよ? ただ、和は二人よか真面目なんで、男女は適切な距離感を保つべきって考えがあるんでしょうね。二人と比べたら距離はあるかなって」 ガードが堅いと。 京太郎「そう………いや、あれで無防備な所もあるんで、身持ちが固いって言うべきかな。うん」 片岡優希さんは男女垣根無い方だそうですね。 京太郎「良い言い方をすればそうですねー。お子ちゃまとも言えますけど」 宮永咲さんは、そうではない? 京太郎「男女どちらとも人見知りするって意味なら、垣根無いとも言えますけどね。学校の友達は部内にしかいないみたいですから」 宮永さんとは、どのように仲良くなったのでしょうか? 京太郎「どのように、かー……。えーとですね、咲とは中学の時に同じクラスだったんですよ」 高校の部活以前に交流があった? 京太郎「そうですね。で、クラス委員を男女一人ずつ出さなきゃいけないってなった時に、ほぼ押し付けられる形で俺と一緒にクラス委員になったのが咲だったんですよ。俺は面倒だけどまあいっかーってノリだったけど、あいつは多分嫌だけど嫌って言って話し合いにもつれ込む方が嫌って感じでしたね」 その頃の宮永さんは、どんな人でした? 京太郎「ぼっちなのは変わらないんですけど、あの頃は人見知りってより、誰とも関わりたくないって言いたげなぼっちでしたね。委員で最初話しかけた時も挨拶だったかをボソッと喋るくらいで、暗いなーとか冷たい奴だなーとか思いましたし」 そこからどうやって仲良くなったのでしょうか? 京太郎「それが聞いてくださいよ! クラス委員の最初の仕事で、誰々の席がどことかの掲示を作るんですけど、出来た紙を先生に見せてくるつってさっさと教室を出て、しばらくしても戻ってこなかったんですよね」 その間、須賀さんは待ってた? 京太郎「掲示を貼るまでが仕事なんで、先に帰られるとは思わなかったですしね。で、暇潰しに携帯弄ってたら、先生が教室に来て「まだ出来ないのか?」って言うんすよ。あいつが行った筈って言ったら、いや来てないって」 入れ違いになってた? 京太郎「どころか咲の奴、校舎内で迷子になってたんですよ!」 迷子。 京太郎「信じられます!? 入学して一週間足らずとはいえ、一緒に行くと言った俺に「別にいいです」と言っておきながら! その棟の一階にある職員室までに辿り着けず! 俺と先生が探しに行って見つけたのが別の棟の3階ですよ!? しかも見つけた時にはトイレが限界近くて、涙目でプルップルしてやがったんすよ!」 京太郎「目視出来る距離にあった女子トイレに案内され、駆け込んで行く姿を見て、俺は確信しましたね。「ああ、こいつはポンコツだな」と」 ポンコツ、ですか。 京太郎「ええ。それからというものの、日常のあらゆる所でそのポンコツぶりを遺憾なく発揮して、クラスでの立ち位置は「一人になりたいぼっち」から「クールぶりたいポンコツ」に変わっていきました」 いわゆるマスコット枠、みたいなものですか? 京太郎「そんな感じですねー。それで、そのポンコツをからかいつつ話してたらいつの間にやら、という風に」 宮永さんはその頃、麻雀では 京太郎「あ、中学の時には麻雀やってなかったですあいつ」 やっていない? 京太郎「ええ。どうやら小学生の頃までに家族麻雀でやってたぐらいで、中学の時にはそういう話全くしてなかったです。俺もその頃はハンド部で、麻雀とか全然でしたし」 それで、団体戦の大将を任されている? 京太郎「びっくら、ですよねー。俺もまさかカモだと思って麻雀部に連れてきたポンコツが、麻雀では魔王に変身するとは」 魔王ですか。 京太郎「俺が勝手に呼んでるだけですけどね。あいつ麻雀やってる時、時たまスゲー形相というか、黒いプレッシャーぽいのが出るんすよ。部長とかは俺が気付いてるより多めにそういうの感じてるみたいです。それがもう魔王! って感じで」 萎縮してしまう? 京太郎「んー。そうなった時には「うわ怖っ」ってなるんですけど、「でもこいつポンコツだしなぁ」って考えると冷めた目になりますね」 麻雀をしている時と、していない時のギャップをどう思う? 京太郎「ギャップと言われても、みんなそういうもんじゃないですか? 咲のは極端な方だと思いますけど、俺だって家族と接する時と友達と接する時で違いはありますし。なんならもっと変わる人もいますしね」 現在の宮永さんを見てどう思いますか? 京太郎「俺以外にも友達出来てるし、前より明るくなったし、熱中するものが出来たしで、良い変化だと思います」 では、最後に何か一言。 京太郎「清澄はレディースランチが美味いですよ」 咲「ちょっと京ちゃん! これどういうこと!?」 京太郎「ん? ああ、この記事この前のインタビューの」 咲「私の中学時代の黒歴史が暴露されてるし、「ポンコツ魔王」とか呼ばれてるんだけど!? これ京ちゃんの仕業でしょ!? なんでこんなことするの!?」 京太郎「だってお前がポンコツなのは今でも変わりないし、魔王っぽいのは事実だし」 咲「ひどい!」 京太郎「ひどくない!」 久「和のでっかい写真のページに、事細かに書いてあるわねー。大将、宮永咲の素顔って」 和「何故か須賀君の顔写真付きですね。目線に黒線が入ってますけど」 優希「京太郎、お前ついに……」 京太郎「ついにってなんだよ! 容疑者の供述とかじゃねーんだよ!」 咲「話終わってないよ! どうしてくれるの!? 私全国の場でこれ読んだ人に「あ、ポンコツの人だ」とか「魔王の人だ」って思われるんだよ!?」 京太郎「逆に聞くけどお前、麻雀してない時でポンコツじゃない時あるか?」 咲「あるよ! なんかこう……京ちゃんより国語の成績良いとか!」 久「語る所がそれの時点でもうポンコツよね」 優希「しかも理数系はのどちゃんの半分以下だじぇ」 和「体育だと何もないところでずっこける運動音痴ですし」 京太郎「な? 咲。お前は誰もが認めるポンコツなんだよ」 咲「むきー!」 久「けど須賀君。今回はいいけど、メディアの場であんまりうちの情報ベラベラと喋らないようにね。ただでさえノーマークだった清澄が県大会優勝して注目を浴びてるんだし」 京太郎「大丈夫ですって。俺相手にそう何回も取材なんて来ないですし」 ガチャ まこ「おーい京太郎ー。前回のインタビューが好評だったから、おんしにまた取材したいと記者の人が来とるんじゃが」 京太郎「あるぇ?」 カン 次話
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第四章【国麻】・【離散】開始 ベンチに座って本を読んでいた 父さんと妹は遊びに、母さんは仕事で出かけていた 今は一人 一人で本を読む……大人っぽい! 子どもながらにそんなことを考えていた やっぱり、少し寂しい 一緒に遊びに行く友だちなんていないから 静かにページをめくる、髪が風でなびく そろそろ帰ろうかな、と思っていたとき 「お、俺と遊ぼうぜ!」 私の目の前に、彼が現れた 「あ、いや……遊んでください」 不思議な子だな それが第一印象だった 【8月第4週 平日】 京太郎「…………」 京太郎「どうしてまた、あいつは」 京太郎「引っ越しは今週末だそうだ」 京太郎「……何しよ」 朝 京太郎「こんなときは麻雀だよな」 京太郎「気を取り直そう」 京太郎「お邪魔しまーす」 郁乃「いらっしゃ~い」 照「あ、京だ」トテトテ 京太郎「照、来てたのか」 照「うん」 郁乃「もう打ち始めてるで~」 京太郎(ちょっと心配してたけど) 京太郎(なんだかいつも通りみたいだな) 照「京、一緒に打とう」 京太郎「おう、いいぞ」 京太郎「決勝のとき、さ」 照「……なに?」パリパリ 京太郎「懐かしい感じがしたんだよな、なんつーか」 京太郎「照たちと昔打ってたときみたいな?」 京太郎「そんな感じがした」 照「…………」ポリポリ 照「そう」ゴックン 照「懐かしい、か」 京太郎「うん、あとパソコンの前でお菓子食べるのやめような」 照「無理な相談」モグモグ 京太郎「もうすぐ昼か、何しよう」 昼 京太郎「久しぶりにバイトでもするか」 京太郎「でもこの時間からあそこに行ってもあんまり働けないからな……」 京太郎「もう一つ新しいのを探してみよう」 京太郎「探偵……か」 京太郎「面白そうだな、行ってみるか!」 平次「お前さんが須賀京太郎やな」 京太郎「はい!今日はよろしくお願いします!」 平次「オレは服部平次言うんや、西の名探偵とはオレのことやで!」 京太郎「それで、今日の仕事は?」 平次「迷い猫探しや」 京太郎「猫?」 平次「せや」 京太郎「……」 平次「今つまらん思うたやろ」 京太郎「正直に言うと、はい」 平次「そうポンポン殺人事件が起こってたまるかいな」 平次「ほな行くで」 京太郎「オスの三毛猫とかどんだけレアなんだよ」 京太郎「どっかにいねえかな」 京太郎「あ」 猫「ニャッ」ナニッ 京太郎「待てごらあああ!」 猫「ニャアアアアアア」ドタタタタ 怜「今日の健診も大丈夫やったな」 猫「ウニャアアアア」ドタタタタ 怜「ね、猫?トリプルや!」キィィィン! 怜(直進して事故と見せかけて私を襲うんか……そうはさせへん!) 怜「うにゃっ!今や!」 猫「ニャッ!?」 怜「はい、捕まえた」 猫「ウニャッ!」ジタバタ 京太郎「あ、怜さん」 怜「ああ、京くん、この猫京くんのやったんか?」 京太郎「いえ、依頼されてまして」 怜「ふ~ん、ま、ええわ、はい」 京太郎「ありがとうございます」 怜「せや、今度どこか遊び行かへん?」 京太郎「遊び、ってか急ですね」 怜「思い立ったが吉日や」 京太郎「そうですね、日が空いたら連絡しますよ」 怜「待っとるで」 京太郎「はい、それではまた」 平次「もう捕まえたんか」 京太郎「ぜぇー、はい、はぁー、まあ」 平次「お手柄やったな、バイト代は振り込んどくで」 キャアアア ヒ、ヒトガ! 平次「なんやと!?」 京太郎「何かあったんでしょうか?」 平次「須賀はもう帰っとれ!こっからは危ないんや!」 京太郎「は……はぁ」 イマイクデ! ク、クルナ!クルンジャナイ! ダマットレドアホ! クルナァァァァ! ドヒュウン 京太郎「今銃声がしたような……まあいっか」 京太郎「帰ろう」 京太郎「服部さん、なんか禍々しいものを感じた」 京太郎「死の危険、的な」 夕 京太郎「特訓しよう」 京太郎「今は誰がいるかなー」 郁乃「照ちゃんとエイちゃんはもう帰ったで~」 郁乃「今は憩ちゃんと咏ちゃん、私と霞ちゃんだけやで」 京太郎「そうですか……どうしよ」 咏「お、京太郎じゃん」 京太郎「よっ」 咏「どうしたんだい?」 京太郎「いや、少し気が向いたからな」 京太郎「俺と打たないか?」 咏「お、いいねぃ、んじゃ行こっか」 咏「やっぱり、前よりもずっと上手くなってんね」 京太郎「そうか?」 咏「そーそー」 京太郎「……そうか、上手くなれてるのか」グッ 咏「んで、今は何考えてんだ?」 京太郎「えっ?」 咏「何か悩んでることでもあんだろ?顔に書いてあるぜ」 京太郎「あー…………」 京太郎「決勝のときにさ」 咏「つまりあの変な感覚を取り戻したいって?」 京太郎「そういうこと……なのか?」 咏「んまあ、そういうことなら実際に打ってみるのが一番なんじゃねえの?知らんけど」 京太郎「実戦か」 咏「私はこうして二人でやってる方が好きなんだけどねぃ」 京太郎「秋は夜長、夜更かしの季節だな」 夜1 京太郎「せっかく木刀買ってきたんだし、素振りでもするか」 京太郎「えいっ!えいっ!」ブンブン 京太郎「これ、結構くるな」 京太郎「まだまだ!」 京太郎「えいっ!」 京太郎「えいっ!」ブン ガシャッ 京太郎「あ、そうだ室内だったな」 京太郎「外でやらないと……」 京太郎「さすがに夜になると寒いよな」 京太郎「あっためるためにあと1000回!」 京太郎「これを一か月続けたら筋肉モリモリになれるのかな!」 京太郎「今日は疲れたからもう終わりだけど」 夜2 京太郎「散歩に行ってくるか」 京太郎「照のことも考えないとな」 京太郎「いってきまーす」 照(ポッキーなう)ポリポリ 京太郎「うまいか?」 照「京……うん」 照「どうしてこんな……」 京太郎「こんな時間にってか?」 照「うん」コクッ 京太郎「ちょっと考え事をな」 照「……それって……いや、なんでもない」 京太郎「照のことだよ」 照「えっ」 京太郎「どうしてお前は出ていくのかなって」 京太郎「また、俺の前からいなくなるのかなって」 照「…………」 照「京は気にしなくていい」 照「私が決めたことだから」 照「大丈夫だから」 照「また会えるんだろうし、国麻、楽しみにしてるから」 照「それじゃあ、ね」 京太郎「……照」 京太郎(このままでいいのか?) 京太郎(このまま、また照がいなくなっても) 京太郎(ようやく俺のそばに戻ってきてくれたんだ) 京太郎(……最近悩んでばっかだな) 京太郎「照!」 照「まだ、何か?」 京太郎「俺のそばから離れないでくれ」 照「……え?」 京太郎「照がいなくなって三年、でも今年、四月に久しぶりに照と会えたときすごく嬉しかった」 京太郎「この半年照と一緒にいてすごく楽しかった」 京太郎「まあ実際は五か月くらいだけど、さ」 京太郎「一緒に学校行ったり、運動会で頑張ったり、祭りに行ったり」 照「…………っ」 京太郎「この前みたいに海に行ったりしてすっごく楽しかった」 京太郎「でもよ、それなのに、理由もわからずにまた離ればなれになるなんて嫌だ」 照「理由……」 京太郎「理由だけでも教えてくれないか?」 京太郎「俺が悪かったんなら謝る、だから教えてくれよ」 照「……京には言えない」 照「私には、言えない」 京太郎「またそうしていなくなるのかよ」 照「違う!」 京太郎「違わないだろ、前も照は俺たちの前からいなくなった」 京太郎「俺は照と一緒の方が楽しい、だから離れないでくれ」 照「楽しい……か」 照「それは、違うんじゃないかな」 京太郎「なに……?」 照「京にはもう憩が、エイスリンが、咏も霞も郁乃さんもいる」 照「京は、ただそばに誰かがいてほしかっただけじゃないの?」 照「私なんていらないんでしょ、咲やモモ達といたときみたいに」 照「見送りなんてしなくていいから」 照「霞たちにもそう言っておいた」 照「今度会うのは国麻のとき」 照「じゃあね」 照「短い間だったけど、ありがとう」 【8月第4週 平日】終 【8月第4週 休日】 京太郎「照は今日にはもういなくなっちゃうのか」 京太郎「俺にとっての照って何だったんだ?」 京太郎「楽しいって思ってたのは俺だけだったのかな……」 京太郎「どんな言葉を使えば、照に届くんだろう」 朝 「今日は楽しかったぜ!ありがとな!」 「こちらこそ」 「モモがいないからひまだーっておもってたんだけどお前がいてくれてよかったぜ!」 「……照」 「宮永照だから、照って言って」 「テル、か俺は京太郎だ!」 「……長いから京でいいかな」 「おう、大かんげーだ!」 「ただいま」 「おかえり」 「咲は?」 「モモちゃんや京太郎くんたちと遊びに行くってさ」 「……そう、母さんは?」 「今日も帰ってこないってさ、咲に任せっぱなしってのはダメだから今日は出前だぞ」 「それで、どの店に頼む?」 「どこでもいい」 「そっか、わかった」 「私、上に行ってるから」 「ああ」 照母「照、起きなさい」 照「ん……母さん、来てたんだ」 照母「また遅くまで起きてたのね、もう行くわよ」 照「わかった」 照母「それで、荷物は?」 照「……忘れてた」 照母「もう、ちゃんとしなさいよ」 照「うん」 ガチャ バタム 照母「さーてと、ぱぱっと帰るわよ」 照母「大家のおばさんにもあいさつしてきたし」 照「あの人まだ成人してないよ」 照母「まーたまたー……マジ?」 照「うん」 照母「あちゃー……って、ねえ照、あの子って確か」 照「……京太郎」 京太郎「照」 照「今度は何?」 京太郎「ありがとう」 京太郎「また遊んでくれるか?」 照「うん、これ私のねとま?のハンドルネーム」 京太郎「『ワムゥ』?」 照「今度はそこで打とう」 照「待っ照」 京太郎「……それ、ダジャレか?」 照「うん、じゃあね」 京太郎「おう」 京太郎「毎時間メール送るから」 照「それは迷惑」 京太郎「じゃあ毎日?」 照「それもちょっと」 京太郎「じゃあ毎月」 照「間隔空きすぎ」 京太郎「じゃあ気が向いたらでいいな」 照「……わかった」 毎週平日の夜にメールを送れるようになりました 照母「照、アンタ挨拶してなかったんでしょ」 照「京にはした」 照母「まあ、ここに帰ってきたくなったらいいなさいよ」 照「……なんで?」 照母「照のしたいようにさせてあげる、ただそれだけよ」 照「……そう」 照母「それに、あの……京太郎くん?のこと放っておけないんでしょ?」 照「ちっ、違う!」 照母「咲やモモには負けないようにしなさいよ」 照「だから違う、って」 京太郎「行っちゃったか」 京太郎「まだ、チャンスはあるはずだ」 昼 京太郎「久々に実家に帰るか」 【実家】 京太郎「ただいまー」 京父「よっ、京太郎」 京太郎「と、父さん帰ってきてたのか」 京父「暑かったぞーインドはー」 京太郎「エジプトに行った時も同じようなこと言ってなかったか?」 京父「今度はニュージーランドに行ってくるんだ、羨ましいだろー」 京太郎「へいへい、そうですね」 京父「なんだ、我が子は連れないなー」 京父「さすがはタラシチャンピオンといったところか」 京太郎「ちょっと待て今何て言った」 京父「読んだぞ新聞!男子個人戦チャンピオン須賀京太郎、夜のチャンピオン?だってよ!」 京父「将来が楽しみだ!」 京太郎「マジかよ……」 京太郎「じゃあ散歩してくるな」 京父「そうやって女の子を引っかけてくるのか……ふむ」 京太郎「だから違うっての!」 ピンポーン 桃子「京太郎ー遊ぼーっす!」 京太郎「なんで俺が来てるってことわかってるの!」 京父「俺が連絡しておいた」ドヤァ 京父「ほれほれ、女の子を待たせるなんて罪なことするなよ」 京太郎「ドヤ顔するな!わーったよ、行ってくる」 京父「避妊はしっかりなー」 京太郎「余計なお世話だ!」 桃子「おじさんと何話してたんっすか?」 京太郎「なんでもないよ」 桃子「そうっすか、じゃあ今日も私とどっか行くっす!」 京太郎「拒否権は……ないんだろうな」 桃子「モチのロンっす!」 桃子「到着ーっす」 桃子「覚えてるっすか?この公園!」 京太郎「ああ、よく遊びに来たな」 京太郎(照と出会ったのも、ここだったんだよな) 京太郎(たしか、あのベンチに……) 桃子「今日はここで遊ぶっすよ!……ん?どうかしたっすか?」 京太郎「いや、あそこにあったベンチなんだけど」 桃子「あれなら新しい遊具を置くからって廃棄されたっすよ、それがどうかしたっすか?」 京太郎「……そうだったのか」 咲「京ちゃん?やっぱり京ちゃんだ!」 京太郎「久しぶりだな」 咲「うん!」 桃子「私が呼んでおいたっす!」フフン 京太郎(相変わらず大きい……前より大きくなってないか?) 咲「京ちゃん……」ジトッ 京太郎「な、なんだー咲ー?」アセアセ 咲「知らない!」プイッ 京太郎「さ、咲さん?おーい」 桃子「それじゃ、何するっすか?」 京太郎「キャッチボールでもするか」 桃子「それじゃあボールとグローブ持ってくるっす!」 咲「行ってらっしゃい」 桃子「行ってくるっすー」 京太郎「モモは元気だな」 咲「京ちゃんが帰ってきたからじゃないの?」 京太郎「じゃあいつも通りの咲は俺に帰ってきてほしくなかった、と」 咲「違うよ、これでも嬉しいんだよ、でもえっちなのはダメだよ」 京太郎「俺はせんべいよりもおもち派だからな」 咲「……何言ってるの?」 京太郎「要するに、大きいは正義!」 咲「京ちゃんの場合は正の字が違うと思う」 桃子「持ってきたっすよー」 京太郎「モモー投げるぞー」ビュン 桃子「ばっちこーいっす!」バシッ 桃子「咲ー行くっすよー」ビュン ポヨン 京太郎「おお……」 咲「むむっ!」ビュン 京太郎「がはっ!ちょっ、咲!みぞおち!」 咲「あははーごっめーん、手が滑っちゃったー」 桃子「思いっきり棒読みっすね」 京太郎「堪能堪能、満足満足」 咲「京ちゃん、五体不満足って言葉、知ってる?」 京太郎「ひぃっ」 桃子「さーてと、次はどこに行くっすか?」 京太郎「roof-top?」 咲「麻雀喫茶だよ」 京太郎「麻雀喫茶?」 桃子「麻雀ができる喫茶店っす」 京太郎「あーなるほど」 咲「染谷さん、まだいるよね?」 桃子「来週までいるらしいっすよ」 京太郎「誰だ、それ?」 桃子「広島に住んでる娘さんっす、今は友達のちゃちゃのんさんとこっちに遊びに来てるっす」 京太郎「へー」 咲「あ、着いたよ」 マホ「いらっしゃいませー」 いちご「いらっしゃいませー」 京太郎「メイド!?」 咲「あれ、マホちゃん?」 桃子「どうしてここで働いてるっすか?」 マホ「社会勉強です!」ムフー まこ「夏休みの宿題なんじゃと」 咲「どうも、こんにちは」 桃子「またきたっすよ」 まこ「はい、いらっしゃい、そこの男子は……誰じゃ?」 咲「京ちゃん、私たちの幼馴染です」 いちご「ほぉ?どこかで見たような……?」 マホ「マホ知ってます!この人男の子のチャンピオンさんです!」 いちご「あぁ~なるほどー」 京太郎「俺の知名度ってこの程度だったのか……」 まこ「君が須賀京太郎くんじゃったか……打ってくか?」 京太郎「うむ……どうしましょう?」 京太郎「いや、やめておきます」 いちご「なーんじゃ、つまらんのう」 咲「じゃあ私が打ちましょうか?」 いちご「そ、それは遠慮しとく……」 まこ「んで、注文は?」 マホ「まはまほから揚げがオススメですよ!マホが食べさせてあげます!」 京太郎「それはなんつーか、背徳的すぎるな」 メニュー 1.まはまほから揚げ 2.ちゃちゃのんショートケーキ 3.まこのワカメスープ 4.カツ丼 5.タコス 6.お好み焼き 7.桃パフェ 京太郎「皆さんのオススメは?」 いちご「ショートケーキならちゃちゃのんが食べさせるけぇ、選んどき!」 まこ「ワカメスープもオススメじゃよ」 桃子「私は桃パフェっすね」 咲「私はお好み焼きだよ」 京太郎「んーじゃあ……」 京太郎「から揚げで」 咲「えっ」 まこ「えっ」 桃子「京太郎……」 いちご「ロリコンじゃったなんて、そんなん考慮しとらんよ……」 京太郎「いや、でも」 マホ「やたっ!マホのから揚げが頼まれましたよ!」 京太郎「あんなに喜んでるんですし」 咲「苦しい言い訳だね」ジトッ マホ「須賀先輩、あーん」 京太郎「あーん」 マホ「おいしいですか?」 京太郎「うん、とっても」ニコッ 「「「「うわぁ……」」」」 京太郎「次はどこ行くんだ?」 桃子「近寄るなっす!」 咲「そうだよ変態!」 久「やっほーって、優希だけ?」 優希「のどちゃんは今日も来ないって言ってたじぇ」 久「あらそう……じゃあ咲とモモが来たら起こしてー」 優希「はーい」 咲「遅くなりましたー」 久「ん……はーい」 桃子「優希、寝ちゃってるっすね」 優希「タコス、タコスが……ぐぅ」 京太郎「えい、えい」プニップニッ 優希「今度はタコさんだじぇ……」 久「須賀君も来てたの?」 京太郎「はい、お邪魔します」 久「そんなに固くならなくていいわよ」 咲「私お茶入れてきますね」 桃子「さて、何するっすか?」 京太郎「俺が4人の邪魔するのもあれなんで、パソコン貸してもらえますか?」 久「いいわよ、あとネト麻するならその横の機械も使ってみて」 京太郎「何ですか、このヘッドギア」 久「ナーブギアとか言うらしいわ、リアリティを追求するために開発されたんですって」 京太郎「へー」 京:すっげーリアルだな、なんだここ 京:えーっと、ここの掲示板で対局申込みをすればいいのか……じゃあまずは東南で しばらくお待ちください 京:よし、いよいよ楽しみだな びっぐすたー:よろしくー のどっち:よろしくお願いします NoName:どうしてのどっちさんがここに! 京:よろしくおねがいします 東1局 親 NoName 25000 びっぐすたー 25000 のどっち 25000 京 25000 京:ロン! 京:リーチ、赤1! びっぐすたー:なんだ、その程度かぁ 京:裏3 びっぐすたー:え…… 東2局 NoName 25000 親 びっぐすたー 17000 のどっち 25000 京 33000 京:ロン 京:混一色、役牌白、役牌中、小三元、チャンタ、混老頭、対々和 京:24000 びっぐすたー:もーなんなのさっきからー! びっぐすたー:いいもん!こっからが本気! のどっち:本気も何もないと思いますが…… 【圏外射撃】発動! 東3局 NoName 1000 びっぐすたー 17000 親 のどっち 25000 京 57000 びっぐすたー:いっちゃえ! びっぐすたー:リーチ! 京:ダブリー…… NoName:こ、こんなの、どうすれば…… びっぐすたー:ロン!ダブリー一発赤2ドラ2! びっぐすたー:裏3! 終局 NoName -15000 びっぐすたー 33000 のどっち 25000 京 57000 びっぐすたー:うむむ、とどかなかったかー 京:はっはっは、勝負ならいつでも受けて立つぞ のどっち:……ありがとうございました NoName:のどっちさん、どんまいです びっぐすたー:ネット最強ののどっちを倒したんだから、真のネット最強はこのびっぐすたーってことだね! 京:いやいや、それなら俺だろ びっぐすたー:あんたのは偶然、私のは必然だもん! 京:……なんだそりゃ 久「あら、終わったの?」 京太郎「はい、飛ばしましたよ!」 咲「すごいね、私なんてまだパソコンあんまり使えないし……」 京太郎「そういえば、ネット最強っていうのどっちって人と打ちましたよ」 優希「のどちゃん……!」 桃子「和がどうかしたっすか?」 久「和、今日も来れないんだってさ」 咲「転校、本当にしちゃうのかな」 京太郎「転校?」 久「ああ、こっちの話だから気にしないでいいわよ」 京太郎「そうですか……」 桃子「ああっと!もうこんな時間ですし、そろそろ帰らないとっすね!」 久「うん、そうね、今日はこれで解散よ!」 桃子「さて、次はどこに行くっすか?」 京太郎「逆に、モモと咲は何がしたいんだ?」 桃子「私はみんなで遊びに行きたいっすね」 咲「うーん、私は……」 咲「みんなでウチくる!?」 京太郎「は?」 桃子「ひ?」 久「ふ?」 優希「じょ?」 咲「え、えーっとぉ、せっかく京ちゃんも帰ってきたんだし、みんなでウチで遊びたいなあ、って」 桃子「ははぁーん、そうやって京太郎をなんやかんやして泊まらせて襲うつもりっすねー」 咲「ち、違うよ!」 京太郎「咲さえよければ俺はいつでも」 咲「ほんとっ?」 京太郎「んなわけあるかい」ペシッ 咲「あうっ、純粋な乙女心をもてあそぶなんてひどいよ京ちゃん……」 優希「それで、どうするんだじぇ?」 京太郎「うーん、そうだな」 京太郎「じゃあモモの意見をくみ取って外食に行こう、みんなで!」 京太郎「……って、どうですかね?」 久「私はいいわよ」 優希「タコス!タコス!」 桃子「私も大丈夫っすよ」 咲「別にいいけどさ……」プクー 京太郎「また今度な」ナデナデ 咲「撫でればすむと思ってるでしょ?」 京太郎「……違ったか?」 咲「ううん、正解だよっ」 京太郎「そうかそうか、んで、どこ行きます?」 京太郎「まあ大勢で来るならファミレスでしょう」 優希「うがー!タコスが無いんだじぇ!」 優希「須賀!いや京太郎!いや犬!いや……バカ犬!」 京太郎「どんだけ落ちてんの俺!」 優希「いいからタコスを買ってくるんだじぇ!」ゲシッ 京太郎「蹴られた!?俺の身分どんだけ低いの!」 咲「私はえびフライ定食にしようかな」 桃子「私はハンバーグセットっすね」 久「じゃあ私はカルボナーラにでもしようかしら」 衣「咲!咲じゃないか!」 透華「衣、何をしてるんですの?ってあなた方は……」 久「あら、奇遇ね」 智紀「清澄」 桃子「お久しぶりっすね、眼鏡おっぱいさん」 京太郎「えーっと、あなたがたは?」 透華「よくぞ聞いてくれましたわ!私たちは!」 純「龍門渕高校麻雀部だ。……確かお前、インターハイに出てたよな?」 京太郎「ええ、まあ」 透華「ムキー!話を邪魔しないでくださいまし!」 一「ホントだ、この人1位だよ個人戦の」 衣「強いのか!」 智紀「通称”炎の須賀”、高火力が特徴」 京太郎「あれ、昼とは違って俺有名?」 優希「ただの偶然だじぇ」 メニュー 山菜丼 秋の果実盛り合わせ タコゆでパスタ パンダ定食 えびフライ定食 サルミアッキ定食 川魚定食 冷やしうどん あなたの心に手錠をかけるよ!定食 久「あら、可愛いもの食べてるのね」 京太郎「パンダ定食ですか?」 久「そうよ、小っちゃいハンバーグが目、ライスが顔かしら?」 咲「京ちゃんは女の子ものが好きですからね」 優希「ハンバーグと白飯って男っぽいほうな気がするけど……」ウーン 咲「街のレディースランチを食べまわるのにつき合わされてたんですよ」 京太郎「おいしいものはしょうがない」 桃子「京太郎……咲とそんなことしてたっすか」ジトッ 京太郎「モモは誘ってもやれラーメン屋行きたいだのやれお好み焼きを食べに行くだの言ってたからなー」 久「須賀くんも隅に置けないわね~」ヒョイパクッ 京太郎「あ!せっかくとっておいたハンバーグが!」 久「……うん、おいしいわね!」グッ 京太郎「グッ!じゃないですよ!返してくださいよ!」 久「流石に人前はちょっと……ね?」 京太郎「返してとは言いましたけど戻してとは言ってませんから!」 一「うわっ、ご飯中にそんなこと言うのやめてよ」 智紀「不潔」 京太郎「言ったのは竹井さんですよ!」 久「あら、私は何も言ってないけど?ねえ?」 純「あー、確かにそうだったな」 京太郎「ぐぬぬ」 京太郎「ふー食った食った」 咲「京ちゃん、オヤジくさいよ」 桃子「で、次はどこに行くっすか?」 衣「衣も一緒に遊ぶぞ!」 久「いいの?」 透華「今は暇ですから大丈夫ですわ」 桃子「ゲーセンに来たっすよ」 衣「咲!これはどうやって遊ぶんだ?」ワクワク 咲「えーっと、これはね…………」 咲「…………」ムムッ 衣「咲?」 咲「わからないや、あはは」 純「やっぱり強いなッ!」ガシュンガシュッ 智紀「そっちこそ」ピコピコ 智紀「えいっ」 純「ぬおっ!」 透華「むきーっ!何なんですの!全く取れませんわ!」 一「と、透華……そんな無理しなくていいから」 透華「いえ!このままじゃ気がすみませんわ!」 桃子「本当にいいんすね?あそこのメロンパンは高いんすよ?」 優希「タコスのためとあらば手加減はしないじぇ」 久「どっからでもかかってきなさい!」 桃子「エアホッケースタートっす!」 京太郎「さて、どこに行こうかな」 透華「どうしてカードが使えないんですの!」 透華「かくなるうえは…………!」 一「透華、もういいから、ね?」 京太郎「お二人とも何をしてるんですか?」 一「えっと、これなんだけど」 一「ボクが欲しいって言ったら透華が張り切っちゃって」 透華「絶対に取ってさしあげますわ!」 一「ほらね?」 京太郎「なるほど……」 京太郎(さて、どうしよう) 京太郎「あのー、龍門渕さん?」 透華「何ですの?」キッ 京太郎「い、いや、アドバイスでもしましょうか?」 一「それいいね、透華はどう?」 透華「結構ですわ!もう一回!」 ウィーン 透華「そこですわ!」 キュッ 京太郎「あ、持ち上がった」 ポトッ 透華「むきーっ!もう!何なんですの!」ガタッガタッ 一「透華、揺らしちゃだめだよ」 透華「もう一回!もう一回ですの!」ポチッ 透華「この辺り……」 京太郎「いや、もう少し先に行っちゃいましょう」テヲノセル 透華「な、何をしてますの!後ろに行きすぎですわ!」 京太郎「大丈夫ですよ、見ていてください」 一(うわぁ、須賀君大胆だなぁ、距離近いよ) 一(二人とも集中してるから気づいてないみたいだけど) ウィーンウィーン ポロッ ガコン! 透華「お、落ちましたわ!」 一「それにしても、取れなかったのにどうして?」 京太郎「結構穴の近くにあったので押してみようかなー、と」 京太郎「おめでとうございます、龍門渕さん」 透華「ええ、そうで、す、わ……ね…………」ガバッ 一(あ、気づいた) 透華「なっ、何をしてるんですの!?」 京太郎「えっ、何って……あ」 透華「は、破廉恥ですわ!不潔ですわ!」ゲシッゲシッ 京太郎「ちょっ、脛はやめてくださいよ」 透華「うるさいですわ!」 京太郎「いたた、国広さんが宥めてくれたからいいけど……」 京太郎「さて、次はどうしようかな」 京太郎「せっかくみんなと遊んでるんだから写真とか撮りたいよな」 京太郎「プリクラに誘ってみよう」 久「プリクラ?いいんじゃない?」 優希「特別に許可してやろう、ふっふっふ」 桃子「もちろん私が京太郎の隣っすからね!」 衣「咲、プリクラ、とはなんだ?」 咲「えっ、う、うーん……」 咲「プリン食べられて暗くなっちゃった?」 京太郎「どういう状況だよ」 智紀「別に構わない」ピコピコ 純「うおっ!ちょっと待て!ぬわっ!」 「YOU LOSE」 純「くそぉ……」 智紀「これで十連勝」フフン 一「プリクラ?わかった、透華に話しておくね」 透華「がるるるるー!」 京太郎「モモと天江さんが隣か」 透華「ち、近寄らないでくださいまし!」 京太郎「すみません……」 衣「とーかときょうたろーは仲が悪いのか?」 透華「そ、そんなことありませんわ!ごらんなさい」ギュッ 京太郎「後ろからっ!?」 京太郎(でも、無いんだよなぁ……) 衣「そうか!なら衣も!」ギュッ 桃子「わ、私も!っす!」ギュッ 京太郎(ああ……右腕の感触がぁ……) 咲「京ちゃん…………」 優希「ニヤケすぎだじぇ」 衣「きょうたろーは衣とプリクラとやらを撮って楽しかったのだな!」 透華「……破廉恥ですわ」ジトッ 京太郎「そろそろ帰らなきゃだけど、もうちょい遊んで行こう」 京太郎「咲は何やってるんだ?」 咲「えーっと、これ、なんだけど」 京太郎「太鼓○達人か」 衣「どうやって遊べばよいのだ?」 京太郎「実際にやってみた方が速いから……」 京太郎「じゃあ俺が天江さんに教えるから咲は見ててくれ」 咲「うん、わかったよ」 衣「よろしく頼む!」 京太郎「まずは200円を投入します」 衣「うむ!」 京太郎「次に、ここのバチを取ります」 衣「おお、これはこの遊戯のために拵えられたのか!」 京太郎「しっかり握っててくださいね」 衣「きょうたろーの手は温かいなー」 京太郎「そんでもって、曲を選んで演奏開始です」 衣「楽しかったぞ!」 京太郎「それはよかったです」 京太郎「咲もわかったか?」 咲「…………ふんっ」プイッ 京太郎「咲?どうしたんだ?」 咲「べっつにー」 咲「京ちゃんはえっちだな、って」 京太郎「いやいやいや、何もやってないだろ」 咲「十分えっちだよ!衣ちゃんの手握って、抱き着いてるみたいだったよ」 京太郎「いや、だからと言ってなぁ」 咲「ふんっ」 京太郎「じゃあ俺もう帰りますね」 久「また来なさいね、今度こそ打ちましょう」 優希「次に会ったときが年貢の納め時だじぇ!」 桃子「また遊びに行くっす!」 咲「ふんっ、だ」 京太郎「いい加減機嫌直してくれよ……」 純「じゃあな、いつか打とうぜ」 智紀「……いつか打とうぜ」 純「俺の真似するんじゃねえよ、ちゃんと言え」 智紀「……じゃあな」 純「また俺の真似じゃねえか!」 衣「きょうたろー、今日は楽しかったぞ!」 衣「満月の夜に会うのを待っているぞ!」 京太郎「ええ、また会いましょう」 衣「うむ!」 京太郎「そろそろ帰るか」 一「あっ、須賀君、ちょっといいかな?」 京太郎「はい、何でしょうか」 一「ほら透華、渡しなよ」 透華「わ、わかってますわ!」 一「ほーらーはーやーく」 透華「これは……感謝の印として受け取ってくださいまし」 京太郎「このぬいぐるみ、さっきのやつですよね?」 一「あの後、透華が頑張って取ってさ、須賀君にお礼しようとしてたんだよ」 透華「はっ一!」 京太郎「そうだったんですか」 透華「違いますわ!」 一「もう、素直になりなよ」 透華「嫌ですわ!こんな破廉恥な殿方に何を!」 透華「…………ありがとうございました」ボソッ 一「気変わり速っ」 京太郎「いえ、こちらこそ、素敵なものをありがとうございました」 一「うん、じゃあね」 京太郎「はい」 京太郎「さて、と帰ってきたぞ」 京太郎「何をするかな……っと」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「ん、何だ?」 一『国広です、ボクたちの連絡先送っておくね』 一『衣とかにメールとかしてあげてね』 龍門渕五人の連絡先を手に入れた! 夜2 京太郎「照にメールするか、約束もしたしな」 京太郎「何て送ろう」 京太郎「雀士なら打って語ろう!」 京太郎『打たないか?』 京太郎「送信っと」 京太郎「照なら応えてくれるだろう」 京太郎「なんで帰ったのかも気になるしな」 照「…………」 照「打たないか、か」 照「私じゃなくても憩たちと打てるのに」 照「なんで、だろう」 照「…………わからない」 京太郎「返信来ないなー」 京太郎「寝てるんだろう、うん」 京太郎「次は誰とメールしようかな」 京太郎「辻垣内さんに送ってみるか」 京太郎「近寄りがたい雰囲気だけど、大丈夫だよな」 京太郎『麻雀打ちませんか?』 京太郎「大丈夫……だよな」 京太郎「そういえば辻垣内さんって目つき怖かったよな……」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「!」ビクッ 京太郎「ささささ流石にだだだ大丈夫だろう」 智葉『了解した、ルームナンバーは3398だ』 京太郎「よかったぁ……『ドタマぶち抜くぞ』とか言われなくてよかったぁ」 【MAOの世界へようこそ】 京:相変わらずリアルだな 京:鳥のさえずりまで聞こえてくるし、対局も牌の感触とかリアルだし 京:何よりもリアルの雰囲気がある 京:おっと、ここか player3108:来たか 京:辻垣内さんですか? player3108:ああ、今夜はよろしく、楽しみだ 束縛希望:縛られたか デビル人:同じく 東一局 親 デビル人 25000 リザベーション2翻 束縛希望 25000 player3108 25000 京 25000 智葉(須賀、高火力と速攻) 智葉(清澄の先鋒と似ているが) 智葉(こちらの方が楽そうだ) 【抉る眼光】発動! player3108:カン 京太郎(うっわ、片方潰されちゃった) 京太郎(でも、まだまだだ!) 京:ロン 京:24000 智葉(……ふむ) 東二局 デビル人 25000 親 束縛希望 25000 リザベーション3翻 player3108 1000 京 49000 智葉(どうやら見くびっていたようだ) 智葉(さて、と) 智葉(借りは返してもらうぞ) 智葉(張りつつ、やつを止める!) 【抉る眼光】発動! 智葉(安い……) 智葉(しかしまた須賀が危険だからな) 智葉(わずかでも取り返す) player3108:ロン player3108:1300 東三局 デビル人 25000 リザベーション3翻 束縛希望 25000 親 player3108 2300 京 47700 智葉(そろそろ疲れてきた……) 智葉(だが、まだいける) 智葉(私だって今年は準決で宮永といい試合をした) 智葉(だから、負けない) 【抉る眼光】発動! player3108:カン player3108:カン 京太郎(二萬も五萬も暗槓!?) 京太郎(三色が封じられた……か) 京太郎(捨てた方がいいよな) player3108:カン 京:なっ! player3108:嶺上ツモ、責任払いで18000 player3108:連荘 東三局一本場 デビル人 25000 束縛希望 25000 リザベーション3翻 親 player3108 20300 京 29700 智葉(そろそろ疲れてきた……) 智葉(須賀の一人聴牌) 智葉(ここは……オリておくか) 智葉(オーラスでまくる、ただそれだけだ) 京太郎(うむむ……辻垣内さん強いな) 京太郎(もういっちょ) 京:ロン 京:12300 オーラス デビル人 12700 束縛希望 25000 player3108 20300 親 京 42000 京:ツモ 京:12000オール デビル人 700 束縛希望 13000 player3108 8300 京 78000 智葉(一方的、流石は男子チャンピオンと言ったところか) player3108:おつかれ、先に失礼する 束縛希望:あっ、ああああっ! デビル人:部長、いい顔ですっ 京:何だったんだあの二人は 京:俺ももう寝るか 【8月第4週 休日】終
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前話 次話 京太郎インタビューその3 前回期せずして清澄高校の素顔を知ってしまった取材班。 SK君に取材すると、我々の知り得ない情報が出てくる。麻雀とは関係無い所だが、非常に興味深い。 今回は、彼から見た他校について窺ってみよう。 今回で三回目になりますが、取材には慣れて頂けたでしょうか? 京太郎「そうですね。現実感はまだそんなに無いですけど、最初よりは話しやすくなったかなと」 一度目でとても流暢に話せていたように思いますが? 京太郎「見た目だけですよ。俺、緊張すると自分でも考えずに喋って余計な事まで話しちゃうタイプなんで」 成程。では、お気に入りエキサイト本の隠し場所は? 京太郎「そんなとっておきの秘密をベラベラ話す程じゃないですよ!?」 冗談です。 京太郎「はぁ……。まぁ、こうやって話上手な人だとつい乗っちゃって口が軽くなるってのもありますかね」 ありがとうございます。それでは、質問に移りますね。 長野県県大会決勝、SK君も記憶に新しいと思います。 京太郎「おお……なんか凄かったですよね。特に大将戦とか」 清澄を除いた3校では、誰が一番印象的でしたか? 京太郎「衝撃的な印象って言えば、やっぱり天江衣さんですね。うちの麻雀部の中でも咲って麻雀ではとんでもない事やってくれるスゲー奴って考えてたので、その咲が最初全然歯が立ってなくて」 その強さに圧倒された? 京太郎「まぁその後またとんでもない逆転してたから、咲ってやっぱスゲー奴だなって思い直しましたけどね」 その高校生らしからぬ容姿と雰囲気から、巷では「ころたん可愛い」「ころたん天使」「ころたん! 最高!」「イエイイエイ! ころたん! 最高!」「オマエもころたん最高と叫びなさい!」ともっぱらの噂ですが。 京太郎「それころたん最高! って言えば出てくる悪魔かなんかですか?」 S君から見てはどうでしょう? 京太郎「はぁ……まぁ高校生らしからぬと言えばそうなんですが、うちにも似たようなのいますしね」 あまりお好みではない? 京太郎「年上なのは分かってますし、可愛いとは思うんですが、好きかどうかを議論すると俺が危ないですから。色んな意味で」 危ない? 京太郎「社会的生命だったり、物理的生命も何の前触れ無く終わったり……いや、やめましょう」 衝撃的な印象で言えば、と言ってましたが、他にも印象に残った選手がいたのでしょうか? 京太郎「そうですね。けどその人達はちょっと麻雀とは関係無い所で印象に残ったという感じなので」 良ければお聞かせ願えますか? 京太郎「えぇー……。じゃあ、どの高校の人から聞きたいですか?」 各校に少なくとも一人ずついる? 京太郎「そんなとこです」 それでは……風越女子からはどなたですか? 京太郎「風越の人だと、主将の福路さんになりますかね」 やはりそのスタイルの良さに見惚れましたか? 京太郎「ええ。存在感はありながら主張し過ぎず、あの人の清楚な美しさを最大限に表現する様は最早芸術てバカ!」 本音が思わず漏れましたか? 京太郎「ノリツッコミですよ!」 そういうことにしておきましょう。 京太郎「インタビュー重ねて遠慮が無くなってきたのはあなたの方では……?」 京太郎「で、何で印象に残ってるかって言うとですね。大会終わってからというものの、うちの部長と仲良くなってるみたいで、バイト先の雀荘で一緒に打っているのを結構見掛けるんですよ」 バイトをなさっているんですか? 京太郎「食いつくとこそこですか……? ええまぁ、女性の従業員はメイド服なんで、俺は執事の燕尾服を着させてもらって」 燕尾服。似合いそうですね。 京太郎「知り合いに比べたらレベルの低いコスプレみたいなもんですよ。それで、会話とかはしなかったんですけど、話し声が聞こえてきたり部長からどういう人か聞いたりで、芯のある優しい人なんだなってのが伝わってきまして。うちの先輩並に料理も美味いと聞きましたし」 料理の出来る子が好きですか? 京太郎「いいですよね、家庭的な女の子。家に帰ってきた時に「お帰りなさい」って温かく出迎えられるのは男の夢の一つですよ」 そうなると、福路さんはS君の理想に近い? 京太郎「それ以上ですね。美人で優しくて家庭的で……、そんな人二次元だけって思ってました」 福路さんと言えば、彼女は珍しいオッドアイを持っていますね。 京太郎「あぁはい。左は赤めですけど右は青いんですよね」 S君はどう思いますか? 京太郎「オッドアイについてですか?」 はい。 京太郎「オッドアイそのものについては、そうですね……。中二心を擽られるワードっていうか」 S君にもそういう所が? 京太郎「男にはいくつになっても決して消えることの無い14歳の部分があるんです」 そんなものですか。 京太郎「そんなものです」 福路さんのオッドアイについてはどうでしょう? 京太郎「んー……。福路さんがそれを普段隠しててコンプレックスに思ってるみたいなのは、あんまり良い気がしないですね」 と言いますと? 京太郎「ほら。俺ってタッパがデカくて金髪だから、軽いとかチャラいとか不良とか思われやすいんですよね」 私共からはとてもそうは思えませんが。 京太郎「話してるとイメージ違ったとかも良く言われます。で、軽いのはいいんですよ。自分でもそんな風に振る舞ってる所ありますし。けどチャラいとか不良とかって、金髪でデカいだけでそんな風に思われるのって良い気はしないですよ」 悪い偏見は気分良くないと。 京太郎「誰だってそうだと思いますけどね。福路さんが片目閉じてるのも、自分がそう思ってるだけなのか周りから言われたのかは分かりませんが、生まれつきの所でコンプレックス抱えて隠してるのだとしたら、周りがちゃんと変じゃない悪くなんかないって言ってあげないと」 S君もそうしてコンプレックスを乗り越えた? 京太郎「いやぁ、俺はコンプレックスって程でもないですし、図太い性格してるから開き直ってるんで。おう文句あっかって感じです」 その言い草は不良っぽいですね。 京太郎「あっはっは」 彼女の右の瞳についてはどうコメントしますか? 京太郎「澄んだ蒼い海のよう……なんてのは洒落過ぎなんで、とても綺麗ですって言いますかね」 鶴賀女子の方ではどなたでしょう? 京太郎「副将の東横桃子さん……まぁ同い年なんですけどね」 …………。 京太郎「? どうしました?」 いえ、あの……どういう方だったでしょう? 京太郎「記憶にすら残っていない!?」 いえ、鶴賀女子の副将と言えば、原村和さん含めた実力派揃いの中で活躍した方なのは知っているんですが、どんな顔だったかが思い出せず……。 京太郎「あー、そこなんですよね。気になった所」 記憶に残ってない事が逆に? 京太郎「いや、うちの部員も記者さんと似たような事言うんですよ。対戦してた和以外は「いつの間に!?」とか「今リーチしてたか?」とか言ってて。対局での流れとか正直分かんないですけど、その俺以上にみんなが東横さんの手を見てなかったんですよね」 ……S君には東横さんの手が見えていた? 京太郎「読めたとかそういうんじゃなくて、何捨てたとかそのレベルですけど……ええ。でも、みんな見えてましたよね? すっとぼけるみんなに、和もそんなオカルトあり得ませんって言ってたし」 ……………………ちなみに、S君から見て東横さんはどんな人でしたか? 京太郎「制服と黒髪で全体的に黒くて、和程目立つタイプじゃないけど、負けず劣らず可愛い子でしたよね」 ……………………そうですか。成程。はい。 京太郎「さっきから反応悪いですけど……どうかしました?」 気を取り直して……龍門渕高校だと、どなたが印象に残ってますか? 天江衣さん以外で。 京太郎「えー……これはほんとに個人的な話になりますけど、いいですか?」 お気になさらず。なんなら一目惚れしたとかの方が記事として面白いくらいあります。 京太郎「いやそういうんじゃないですけど…………。あそこだと、龍門渕透華ですかね」 ほう。副将戦で目立ちたくて目立ってたような振る舞いをしてたあの人ですね。 京太郎「それとは関係無い所でなんですけど、実はうち、長野の決勝で戦った4校で合宿したんですよ」 それは初耳ですね。 京太郎「初めて言いましたからね。で、まあ俺はその時お留守番だったんですけど」 ハブられたんですか? 京太郎「女子だらけのお泊りもする合宿に男連れてけってのも無理があるでしょ……。そんで清澄の部室でネトマしてたり友達と遊んでたりしてたんですが、ある日の朝部長から「須賀君、悪いけどうちにあるパソコン持ってきてくれない?」って連絡が入りましてね」 パソコン。 京太郎「持ってきてって言うから、ノートパソコンとかそういう持ち運び出来る軽いのを想像しますよね?」 ええ、それはもちろん。……ん? 京太郎「その時の俺もそうだと思って、軽い感じで「了解っす」って返したんですよ。で、部室の方に行ってそれらしき物を探したんですが、隅々まで探してもノートパソコンなんて影も形も無かったんです」 おや? 話が不穏な方向に。 京太郎「改めて部長に連絡してみて「パソコンどこですか?」って聞いたら、「いつもの机の上にあるでしょ?」って返されて。けどいくら見てもあるのはデスクトップのあるデカいパソコンだけだったんですね」 まさか……。 京太郎「で、気付いちゃったんですよ。「この人、このデスクトップパソコンを山にある合宿所まで持ってこいと言ってるな」って」 失礼ですが、部長さんは鬼ですか? 京太郎「いや、部長も多分無理だろうなと思って連絡したらかるーく請け負られたもんで、「あ、いけるんだ」って思っちゃったんでしょうね。放心して黙ってたら「あった? じゃ、よろしくー」つって通話切っちゃって、何回か掛け直したんですけど出なくなっちゃって。もうどうしようもないから、合宿所に行く事にしたんですよね」 大会後の炎天下の中、デスクトップを背負ってですか? 京太郎「まぁ、流石に直で歩きは無理なんで、電車とバスを乗り継いでですけどね」 ちなみにその交通費は。 京太郎「? 自腹ですけど」 …………そうですか。 京太郎「えっちらほっちら歩いてって、なんとか合宿所まで持って行って、受け取ってもらった後、そのまま帰ろうとしたんですけど」 待ってください。合宿所で休憩はしなかったんですか? 京太郎「いいえ? 玄関口で渡してそのまま」 ……はい。では続けてください。 京太郎「お互いのディスコミュニケーションのせいとはいえ、流石に疲れて心が荒みそうになって時に、後ろから「お待ちなさいな!」と声を掛けられまして」 ああ。ここで龍門渕さんが出て来るんですね。 京太郎「振り返る前にそうと分かって実際そうだったんですが、その人は腕組んでふんぞり返りながら「見た所疲労困憊の様子ですわね! そのような者を門前払いでそのまま帰らせたとあっては龍門渕の名折れですわ! というわけでハギヨシ。この少年を送り届けてらっしゃいな」と」 やだカッコイイ。 京太郎「ですよね。それで、指パッチンと同時に瞬間移動で現れたハギヨシさんが「承知しました」つってまた消えた後、すぐに黒塗りの長い、見るからにセレブ御用達の車に乗って来たんですよ」 もう色々ツッコみたい事ありますけど、それはいいです。 京太郎「そんで、あれよあれよとそれに乗せられて、現実味の無い車の中で現実味の無い接待を受けたんですよね。運転は別の誰かがやって、ハギヨシさんから直々に」 具体的にはどのような? 京太郎「横になって転がっても余裕で余りあるスペースに、車でこんなの使っていいの? ってぐらい柔らかいソファと、涼しくて気持ちのいい冷房を利かせて、車内冷蔵庫からキンッキンに冷えたジュースを取り出して、ワイングラスに注いでもらったりとか、ですね」 本当にあるんですね、そういうの。 京太郎「白昼夢でも見てて、現実の俺は熱中症で倒れたのかと本気で疑ったくらいですからね。頬抓っても痛いだけだったんですが」 そのように送り届けてもらった事から、龍門渕さんに良い印象を持ったと。 京太郎「大富豪さんの気前の良さって嫌味になることありますけど、あの人の場合は良い方向に発揮されてるなって思いました」 先程燕尾服は知り合いに比べたら、と言っていましたが、もしやそのハギヨシさんが? 京太郎「ええ。もう燕尾服と共に育って来たんじゃないかってぐらいに似合ってる執事さんでしてね。庶民の俺相手でも非の打ち所がない丁寧さで接待してくれたんですよ。かといってお堅い訳でもなくて、むしろちょっとユーモア出してこっちを楽しませてくれたり」 執事となるべく生まれてきたかのような人ですね。 京太郎「俺もそう思って似たような事言ってみたら「当然です。私は龍門渕家、透華お嬢様にお仕えする為に生を受けた身ですから」って」 そんな漫画みたいな。 京太郎「ところがそれが冗談でもなく、どうやらあの人の家って代々龍門渕家の人の専属使用人を輩出してきたとかで、使用人の家系らしいんですよね。ハギヨシさんは年の近い龍門渕さんにお仕えしてると」 となると、本当に生まれた時から執事として訓練を? 京太郎「俺もそれってどうなんだ? って思いましたけど、ハギヨシさんは「私自身この生き方しか知りません……と言えば不幸にも聞こえるでしょうが。執事として生きてきた事、これからもそうである事に悔いも歯痒さもありません。何よりお嬢様は素晴らしき御方ですから」って言うんですよ。それが本心から言ってるのは、見て分かっちゃいましたね」 生まれなど関係無く、性根から執事に向いていた……、と思えばいいんでしょうか。 京太郎「って言っても俺自身はちょっと納得いかないんで、帰り際寄り道させてもらって、ゲーセンに連れていきました」 それはまた何故? 京太郎「ハギヨシさんにも聞かれたんですけど、他の生き方を知らないままでいるよりも、知った上で龍門渕さんにお仕えする事を選んでるって思ってもらえた方が、龍門渕さんも気分良く主人として振る舞えるんじゃないかなって。なのでここは一つ、男子高校生の庶民的な遊びをと思いまして」 成程。それで、その執事の方はゲーセンでどのような様子でしたか? 京太郎「多分あの人こそ人間じゃないです」 人間じゃない。 京太郎「ゲームの説明は俺や機械から熱心に聞き取ってたんで初めての筈なんですが、スコア系のゲームは全国ランキング一位のパーフェクトゲーム。対戦型のゲームは俺やその場にいた腕自慢の人交えても無傷の完勝。メダルゲームやスロットでもちょっと目ぇ離した隙に容器の数が倍々に増えていくんですよ。それなりに時間経った今でもその伝説は塗り替えられてないんです」 天からいくつ貰ったんですかその人。 京太郎「それ全部を「執事ですから」で済ませようとしてたんで、あの人執事の常識が世間一般とはかけ離れてるかと」 完璧超人過ぎて少し変わった人なんですね。 京太郎「けどまぁ、結構楽しんでもらえたみたいなんで、それをきっかけに個人的に仲良くなりまして。それからちょいちょい連絡を取り合って教え合う仲になりました」 執事さんはそのスキルを、S君は男子高校生の遊びを教え合う。そんな関係になったんですね。 京太郎「まぁ教えた事の悉くが始めた時点で超えられますがね……」 では、最後に何か一言。 京太郎「もうすぐ全国大会なので、みんなを精一杯サポートしようと思います」 前話 次話
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【冬休み7日目】 京太郎「ん……」パチッ 京太郎「……そっか、俺の部屋か」 京太郎「……まだ寝よ」 朝 京太郎「うぐぅ……眠い……」 京太郎「けど流石に二度寝して昼間とかはダメ人間みたいで嫌なんだよな……」 京太郎「何か読んで暇をつぶそう」 京太郎「この前買った良子さんの本にするか」ペラペラ 京太郎「表紙の良子さん綺麗だなぁ」ポケー 京太郎「こういうのは前書きから読むのがいいんだよな」 京太郎「えーっと、なになに?」 『現代……ディーズデイズ、君たちヤングなガールやボーイたちのパワーが私たち全体への――――――』 京太郎「何これ、前書きどんだけ続いてんの」ペラペラ 京太郎「しかも良子さんらしく横文字ばっかだし……」 京太郎「……とりあえず読み続けよう」 ―― 一時間後 京太郎「ようわからんかった……」チーン 京太郎「なんで注釈つけなきゃわかんないような英語使うんだよ……」 京太郎「今日はここまでにしておこう」 京太郎「さーて次の本は……」 ´  ̄ ̄ ` / \ / ヽ / / / | | ヽ i i { イ A A A l | l| | X{ | v八 // \ト| l| '\ // \ト、{丐ミ、\/ ィテ丐 l|/¨\\ 〃 | ハ弋ソ 弋rソ1 l! \ヽ /' | 小 ' ! 八 ヽj 表紙「」ジーッ | j 丶、 ぃ . イ / 从/ / >-<´ト、j_/\ 京太郎「……」 ´  ̄ ̄ ` / \ / ヽ / / / | | ヽ i i { イ A A A l | l| | X{ | v八 // \ト| l| '\ // \ト、{丐ミ、\/ ィテ丐 l|/¨\\ 〃 | ハ弋ソ 弋rソ1 l! \ヽ /' | 小 ' ! 八 ヽj 表紙「」ジーッ | j 丶、 ぃ . イ / 从/ / >-<´ト、j_/\ 京太郎「表紙に見られ続けてる気がするのは気のせいなのか?」 京太郎「なんかこえーよ……」 京太郎「続き、読んでみるか」 京太郎「前書きは読み終わったから、『Chapter.1-物真似とは』からだな」 京太郎「ふむふむ……」 『ミミング(注1)とは、インアザーワーズで言うと、トレースにニアーなミーニングである』 『そしてトレースとは―――――』 京太郎「あれ?これ前書きじゃね?」 京太郎「横文字の量もさらに増えてるし……」 京太郎「マジかあの人……さっぱりわかんないぞ」 昼 京太郎「字ばっかで疲れた……」 京太郎「やっぱ冬休みなのに勉強するのは間違ってるな、うんうん」 京太郎「暇なのは変わんないから……他の人のとこに遊びに行こう」 京太郎「」ブルッ 京太郎「ボロアパートだから寒いな、ここ」 京太郎「そういや霞さんとこに掘りごたつがあったよーな……」 京太郎「よし、行ってみよう」 ガララ 京太郎「霞さーん、いますかー?」 霞「あらいらっしゃい、どうしたの?」 京太郎「部屋の中あんまし暖かくないんでこっちで暖まろうかと」 霞「こっちもちょうど暇してたし、いいわよ」 京太郎「じゃあお邪魔しまーす」 霞「お茶入れてくるから、京太郎くんはあっちの部屋で待っていてね」 京太郎「はい!」 京太郎(ここで霞さんだけと一緒にいるなんてクラス発表の日以来か?) 京太郎(いつもはみんながいて麻雀打ってたり、郁乃さんが騒いでたりしたっけ) 京太郎(来年は俺と霞さんだけになるのかな……) 京太郎(他にも誰かいた気がするけど) 霞「お待たせ、はい」 京太郎「ありがとございます、では」ズズッ 霞「……」ズズッ 京霞「ぷはぁー」 京太郎「寒い時に飲む温かいものって凄いですよね、五臓六腑に染み渡るというか、食道の形がわかるような気がしますよ」 霞「そうねぇ、あ、お茶請けの濡れせんべいもあるわよ」 京太郎「じゃあそれもいただきます」ボリボリ 霞「……まったりするわね」 京太郎「ですねー」 京太郎「ポーカーでもしましょうか」 霞「ポカポカしてるからかしら?」 京太郎「…………」 霞「…………」 霞「ごめんなさい」 霞「でも、ポーカーって三人以上でやるものなのでしょう?」 京太郎「ディーラーとか無しで競うだけにしましょう」 霞「まあ暇つぶしにはなるでしょうね……そうだ、負けた方が昼ごはんを作るっていうのはどうかしら?」 京太郎「いいですね、見せてやりますよ、俺の家事スキル!」 霞「負けること前提なのね……」 京太郎「霞さんから先にどうぞ」 霞「じゃあ……これ、とこれ」 霞「次は京太郎くんね」 京太郎「……はい」 京太郎(霞さんはまだ初心者、役も覚えきっていないと見える) 京太郎(だが、なぜ……) 霞「あら?まだ決めないのかしら」ニコニコ 京太郎(あんなに悠然としていられるんだ……?) 京太郎(まさか初心者でも知っている名物役、ロイヤルストレートフラッシュを揃えたのか?) 京太郎(……いや、これはハッタリ!) 京太郎(そうだ、いくらなんでもそんな強運は滅多にない!) 京太郎(ここは三枚交換で勝負をかける!) 京太郎「フルハウス!」 霞「ツーペア……負けちゃったわね」 京太郎「ウヒョヒョヒョー!俺の勝っちだー」 霞「じゃあご飯作って来るわね」 京太郎「あ、流しちゃうんすね」 トントン 京太郎(炬燵の中で包丁がまな板を打つ音が聞こえる……) 京太郎(暇だ……) 京太郎(霞さん、料理作るときは割烹着だったよな) 京太郎(ピンクのフリフリ付エプロンとか持ってそうだけど……) 京太郎(何かイタズラしてみるか?) 京太郎(あ~右手から炎でないかな~) 京太郎(夏とか暑そうだからいいや~) 京太郎(…………) 京太郎(暇だ) 京太郎(眠い……) 霞「お待たせー……あら?」 京太郎「くかー……」 霞「待たせすぎちゃったかしら?」 霞「風邪引くわよー」 京太郎「くぉー……」 霞「起きなさそうね……こうなったら……」 霞「この鍋焼きうどんで京太郎くんを起こしちゃいましょう!」 霞「前に寝起きドッキリでびっくりしたから仕返しよ」 霞「……だけど、流石に熱いわよね」スッ 霞「少し冷ませば大丈夫よね?」 霞「ふぅーっ、ふぅーっ」 霞「このくらいでいいわね、どのくらい驚いてくれるかしら?」ワクワク 京太郎(気が付いたら霞さんが何やら企てている、直接じゃなくて良かったものの……) 霞「えいっ!」ピトッ 京太郎(案の定熱くない……) 京太郎(えぇぇ、何これどうしよう) 京太郎(どう反応したものか……) 京太郎(薄目を開けると目の前には霞さんの指があるわけで) 京太郎(うどんよりも白くて、綺麗な指なわけで)グー 京太郎(意趣返しだ)パクッ 霞「あっ……もう、何してるのかしらこの子は」ツンツン 京太郎(何だろう、霞さんの声が親戚の優しいおばさんのそれにしか聞こえないや) 京太郎(おいしかったし、もういいや) 霞「早く起きないとうどん冷めちゃうわよー?」ツンツン 京太郎「あ……どうも」ムニッ 霞「……お、おはよう」 京太郎「鍋焼きうどんですか、霞さんらしいですね」 霞「またおばさんっぽいって言うつもりなのかしら?」ジトッ 京太郎「いえいえ、家庭的だなー、割烹着似合うなー、と」ズズッ 霞「それならいいけど……」 京太郎「おっ!おいしいですよ、これ!」 京太郎「ちょーおいしいっすよ!」 霞「そ、そう?初めて作ってみたのだけど」 京太郎「今度は霞さんが作った朝ごはんとかも食べてみたいです!」 霞「ええっ!?」 霞「そ、それって毎日味噌汁作ってくれとかそういう……」 京太郎(あっれー?どこで勘違いしちゃったんだろこの人?) 夕 京太郎「今月は金銭的余裕もあるし、たまには外で食べるか」 京太郎「適当にぶらついて探そう」 京太郎(松屋の主な長所は味噌汁が無料ということと、食券制ということの二点だ) 京太郎(食券制であることにより、す○家に見られる聞き間違いなどのトラブルが少ない) 京太郎(ネギたま牛丼とキムチを頼んだら、キムチ牛丼とキムチが出てきたのは良い思い出だ、整合性考えようぜ) 京太郎(味噌汁無料というのは他のとこと比べてお得感があってなんか良い) 店員「旨辛ネギたま牛めしですねー」 京太郎(というわけで松屋に来てみたのだが……) 竜華「な、なんで京くんがここにおるんや」ワナワナ 京太郎(わなわなしてる人がいた) 京太郎「奇遇ですね、竜華さんもここで夕食ですか?」 竜華「お、お母さんもお父さんもおらんし、せっかくやから食べてみたいと思って来ただけなんやからな!」 竜華「牛丼が好きとか、そういうわけやないんやからな!」カァァ 京太郎「前後で矛盾してますよ、落ち着いてください」 竜華「はぁーっ、はぁーっ」 竜華「京くんはよく来るん?」 京太郎「俺ですか?たまーにですね」 竜華「そっか……ええなぁ」 京太郎「え?」 竜華「あっ!ちゃうから!いつも一人で自由やな、って思うとっただけやから!」 京太郎「いつも一人……」ズーン 竜華「ああ!落ち込んでもうた!」 京太郎「竜華さんもこんな店に来るんですね、意外です」 竜華「変、やろか?」 竜華「千里山の麻雀部部長がこんなところで夕食って……」 竜華「女の子っぽくないと思う?」 竜華「京くんは嫌やろ?」 京太郎「嫌とか訊かれましても……」 京太郎「好きなものは好きっていうべきですよ」 京太郎「俺は牛丼好きな竜華さんだっていいと思います、変でも、嫌でもないです」 京太郎「だいたい、そっちにはセーラさんがいるんですから一緒に行けばいいじゃないっすか」 竜華「セーラはああ見えてファミレスでパフェ頼むかどうかで10分悩むくらいやで」 京太郎「案外行かなさそうですね……」 竜華「どうすればええんやー!」ウェェン! 京太郎「じゃあ、俺と一緒に行きましょう!」 京太郎「いつでも呼んでくれれば飛んでいきますよ!」 京太郎「まあ、どうせ一人ぼっちですし……」 竜華「そっか、ほなそんときは頼むな!」 京太郎「はい、それじゃあ食べましょうか」 京竜「「いただきまーす!」」 夜 京太郎「読書に始まり、読書に終わる」 京太郎「嗚呼、なんという学生的な日々よ」 京太郎「さて、何を読むか」 京太郎「朝はよくわかんなかったけど、今度こそは十二分に噛み砕いて理解してやる!」 京太郎「ここから……」ペラッ 京太郎「良子さんのプロマイド、こんなのもあるのか……」 京太郎「ボタンを外して少しはだけさせたブラウスを着た良子さん……」 京太郎「この良子さんが俺に教えてくれていると思えば……!」キィィィン! 京太郎「妄想しすぎて集中できなかった……」 京太郎「心なしか使われてる英語が簡単になってる気がしたし、プロマイドって偉大」 京太郎「でもこのプロマイドエロすぎないか?」 京太郎「こういうの目当てで買う人もいるんだよな……」 京太郎「良子さんにストーカーとかいるのか?」 京太郎「なんか心配になって来た……」 京太郎「続きを読み進めよう!」 京太郎「今のモチベーションなら今度こそ理解できるはずだ!」ペラペラペラ 京太郎「やっぱりもうないよなぁ、プロマイド」 京太郎「ふんふむ」 京太郎「えーっと、つまり本の内容を総合すると……」 物真似、トレースにおいて最も重要なのはイメージである その人の打ち筋を見て、思考をイメージ、理解しようとする 第二にそのイメージを投影すること その人だったらこの場面でどうするか、考えて実際に打ってみる 次第にその人の精神に身体が乗っ取られ、その人特有の運、オカルトチックな法則を手に入れることができる 京太郎「結局オカルトじゃねえか!」 京太郎「……打ち筋を見て思考を理解、ならできるかもしんねえけど……」 京太郎「MAOはリアルだからこっちで練習してみるか」 京太郎「プロのなら公式の牌譜があるし……」 京太郎「よし、やってみよう!」 チュンチュン 京太郎「ふぅ……こんなもんか」 京太郎「もう朝4時、ウソだろ……」 京太郎「早く寝よう」 【冬休み7日目】終 【冬休み8日目】 京太郎「結局あまり眠れなかった……」 京太郎「昨日はやたらと疲れたなぁ……」 朝 京太郎「気分転換にちょっと歩いてくるか」 京太郎「朝の公園は、冬の陽気にあいまっていい感じだ」 京太郎「」ブルッ 京太郎「さっさと帰ろう……」 憩「あ、京太郎くん?」 京太郎「……憩さん?」 憩「朝から散歩かぁ、偉いなぁ」 京太郎「偉い、ですか?」 憩「冬休みやっちゅうのに朝早く起きて散歩なんて偉いでぇ」 京太郎「それを言ったら憩さんも同類じゃないっすか?」 憩「あははっ、せやねー」 京太郎「……憩さんは麻雀の調子、どうですか?」 憩「二年生の子たちと頑張ってるで、大会が楽しみやね」 京太郎「当たることになっても、容赦はしませんよ?」 憩「ふふっ、それはこっちの台詞やで」 憩「……はぁー」 憩「ちょっと寒くなって来たなぁ」 京太郎「寒ささえなければ、冬は最高なんですけどね」 憩「晴ればっかりやしなぁ」 憩「けど、晴れてばっかで暑くないのは冬が寒いからって、バランスええよな」 京太郎「ですよねぇ」 憩「んーっ」ノビーッ 憩「はぁ……もうこんな時間かぁ」 憩「京太郎くん、この後予定とかあるん?」 京太郎「特にないですね、憩さんは?」 憩「ウチは勉強、息抜きに麻雀や」 京太郎「うわぁ、大変そうだ」 憩「楽しいと思えばそうでもないんやで?」 憩「図書館におるから、京太郎くんも暇やったら来てなーぁ」 京太郎「はい、気が向いたら!」 昼 京太郎「暇だー」ゴロゴロ 京太郎「あれ?いつも暇だったら暇が普通になって暇であることが暇でなくなるんじゃないか?」 京太郎「そうなったら暇って一体どうなるんだ?どんだけ暇になるんだ?」 京太郎「…………」 京太郎「そういや憩さんが図書館にいるっつってたな……」 京太郎「行ってみよう」 京太郎「どうも、憩さん」 憩「きゃっ!……なんや、京太郎くんかぁ」 京太郎「誘われたんで、来ちゃいました」 憩「集中しとったんやから、びっくりさせんといてなぁ」 京太郎「はい、気を付けますね」 憩「そんで、京太郎くんはどこ悩んでるんや?」 京太郎「えーっと……この辺りですかね?」 憩「せやから、ここはこーやって……」 京太郎(憩さんが隣で懇切丁寧に教えてくれてるけど、暖房が気持ち良くて、憩さんの声が耳に優しくて……) 京太郎(……あー…………やばい……)ガクッ 憩「こーすれば……ほら、完成やで」 京太郎「くこー……」Zzz 憩「京太郎くん?」 京太郎「…………」Zzz 憩「教え方悪かったんかな?……それやったら凹むなぁ」 憩「京太郎くーん?」 京太郎「…………」Zzz 憩(ちょうどペンもあるし、落書きしたろ) 憩(二人っきりの時間を無駄にした罰や)カキカキ 京太郎「くー……」Zzz 京太郎「んあ……」 憩「……」スラスラ 京太郎「あ……おはようございます」 憩「あ、やっと起きた……ブフッ」 京太郎「え!なんで吹き出してんですか!」 憩「だ、だって、ふふっ」 京太郎「何なんすかもー!」 ―――トイレ 京太郎「……」 京太郎「額に肉ってどんだけ幼稚なんだよ」 京太郎「しかも水性ペンってあたりも優しいよな……」 京太郎「これは何か仕返しをしないとな」 京太郎「これに見合うくらいの仕返しを……」 京太郎「憩さん♪」トントン 憩「何や?」プイッ プニッ 京太郎「ははっ、引っかかりましたね?」プニプニ 憩「懐かしいなぁ、それ」 京太郎「お返しですよ」 憩「あ、どうやった?ウチのいたずら、恥ずかしかったやろ?」ワクワク 京太郎(恥ずかしいというより可愛かった……ってのは無しだよな) 京太郎「もう、勘弁してくださいよ?」 憩「京太郎くんが寝るから悪いんやでー」 京太郎「そりゃあ確かにそうでしょうけど……」 憩「さ、もう少し頑張ろか」 京太郎「はい!今度こそは寝ませんよ!」 憩「あはは、頼もしいやら頼もしくないやらようわからんなぁ」 夜 京太郎「今日は散歩行って、朝飯食べて、昼飯食べて、憩さんと勉強して、晩飯食って風呂入ったのか」 京太郎「勉強したこと以外いつもと変わんないなぁ……」 京太郎「まあ一昨日とか合宿行ってたし、バランスが取れてるとは思えるな」 京太郎「寝る前に誰かにメールしよう、暇つぶしだ」 京太郎「暇そうな人……っと」 京太郎「……怜さんなら暇そうだな」 京太郎『今暇ですかー?』 京太郎「……よし」ピッ ヴーッ ヴーッ 怜『なんやいきなり、まあ暇やけど』 京太郎『やっぱりそうでしたか、予想どおりでした』ピッ 怜『京くんはうちが冬休みに何も予定無しの可哀想な子やと思ってんのか なんや傷つくなぁ』 京太郎『そういうつもりじゃなくてですね!暇な怜さんなら俺の暇つぶしにも付き合ってくれるんじゃないかな、と』ピッ 怜『はいはい、夜は暇な怜ちゃんですよー …こう言うといやらしいな』 京太郎『怜さんは冬休みの予定、何かあるんですか?』ピッ 怜『昨日はセーラと買い物行って、今日はりゅーかと服買いに行ってたで 明日は二日遊んだから一日中ダラダラして、明後日は一日ダラダラしたからもう一日ダラダラするんや 明々後日もダラダラするつもりやで』 京太郎『ダラダラばっかじゃないっすか』ピッ 怜『しゃあないやろ、去年までは休みになったら検査入院とかして友だちの誘い断ってばっかやったんやから この前やって「園城寺さん…は病院があるから駄目やろ?ごめんな」って言われたし…』 京太郎『なんかすみません』ピッ 怜『ええんやけど、りゅーかとセーラが両方とも旅行に行ったときは寂しかったなぁ 京くんの方はどうなん?』 京太郎『俺は去年までは咲とモモと遊んでたんですけど、確かに誰もいないときは寂しかったですね 最近は用事なんてないですよ』 怜『そーか、うちら暇人同士なんやなー』 京太郎「うっ、認めたくはないけどその通りだ……」 京太郎「どう返そうかな」 京太郎「待てよ?怜さんくらいの人だったら学年選抜に選ばれてるんじゃないか?」 京太郎「だったら一緒に麻雀とか良さそうだな」 京太郎『俺と一緒に麻雀の練習しましょう』ピッ 怜『それやったらいつかの千里山に来る権利を行使させてもらうわ うちはいつでもええけど、京くんはいつ来れるんや?』 京太郎「明日……かな?でも朝はゆっくりしたいから昼間くらいに……」 京太郎『えっと、明日の午後からなら大丈夫です』ピッ 怜『予想できたわ、昼まで寝てるつもりやろ?』 京太郎『怜さんじゃないんですからそんなことしませんよ(笑)』ピッ 怜『残念ながら、うちの休日は午前9時起きなんやで』 京太郎『俺の怜さんのイメージが……』ピッ 怜『うちはどんなイメージなんや、逆に気になるわ』 京太郎『そのうち教えてあげますよ、今日は明日に備えて寝ましょうか』ピッ 怜『せやな、楽しかったで、おやすみー』 京太郎『おやすみなさーい』ピッ 京太郎「さーてと、さっさと寝ますかね……」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「メール?誰からだ?」 智葉『須賀、起きているか?』 京太郎「辻垣内さん?」 ヴーッ 智葉『起きていないよな、こんな時間にすまなかった』 京太郎「何やら困っている雰囲気かな?とりあえず返そう」 京太郎『どうしたんですか?』ピッ 智葉『実はだな……』 智葉『監督が須賀成分が不足しているとうるさいんだ』 京太郎『須賀成分?』ピッ 智葉『監督曰く須賀の匂い、声、触感のいずれかを味わった時に得られる栄養のようなものらしい』 京太郎『何すかそれ…、俺にどうしろと言うんですか?』 智葉『ちょっと抱いてやって落ち着かせてやれないか?』 京太郎『距離的に無理があるじゃないですか』ピッ 京太郎(それに「抱く」って……) 智葉『冗談だ、5分後にそっちに電話をかけるから、下に書いてあるセリフを言ってくれればいい』 京太郎「えっと……「月が綺麗ですね、カントク」「毎朝俺に味噌汁を作ってください」「ずっと君を隣で見ていたい」」 京太郎「「ずっと離さないよ」「ねえ、ずっと一緒にいるって言いましたよね?」「貴女がいけないんです、俺の、俺の傍にいてくれなかったから……っ!」……?」 京太郎「なんかおかしくないかこれ?」 智葉『助かったよ、監督も満足している』 京太郎『お役にたてて良かったです。でも俺なんかの声で良かったんでしょうか?』ピッ 智葉『君の声は男らしくて快い気分になるんだ。今日は安眠できそうだよ』 京太郎「……あれ?」 京太郎『それはよかったです、他に何か用事はありますか?』ピッ 智葉『十分だ、おやすみ』 京太郎『おやすみなさい』ピッ 京太郎「今日は安眠できそうだ……って監督さんのことだよな?」 京太郎「……そうだよな?」 『ずっと離さないよ』 『ねえ、ずっと一緒にいるって言いましたよね?』 『貴女がいけないんです、俺の、俺の傍にいてくれなかったから……っ!』 『……ようやく、本当に貴女と一緒になれる』 『ずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとZUTTOォ!』 智葉「……ふふっ」 智葉「これでよく眠れる……」 「お、お嬢が笑顔で眠っていらっしゃる……」ザワザワ 「お前ら、絶対に邪魔すんじゃねえぞ」ザワザワ 「一体何を聞いてるんでしょうか……」ザワザワ 【冬休み8日目】終 【冬休み9日目】 京太郎「あと二日で交流戦か、オーダーは明日提出でいいんだよな」 京太郎「そこも考えつつ、今日は怜さんと麻雀だ!」 朝 京太郎「健康志向な俺は朝の散歩に行きましょうかね~」 京太郎「どうせやることないし……」 京太郎「クーリスマスが今年もやってくるー」 憩「京太郎くーん!」 京太郎「あっ、憩さーん!」 タッタッ 憩「京太郎くんは今日も散歩?」 京太郎「はい、憩さんもですか?」 憩「せやで、今日も会うなんて奇遇やねー」 京太郎「実を言うと、今日も憩さんに会えるんじゃないかな、と思ってここ通ったんですよ」 憩「ウチも同じやで、えへへ」 京太郎「ははっ、なんかお互い通じ合ってるって感じっすね」 憩「せやねー、以心伝心ってやつやろか?」 京太郎「それなら俺たち夫婦になれますねー」 憩「……へ?」 京太郎「……あー……」 京太郎「いや、そんな変な意味は無くて、ほんの冗談のつもりだったんです」 京太郎「……すみません」 憩「ええよ、気にしいひんさかい謝らんでも」 憩「京太郎くんと結婚っていうの、楽しそうやね」 憩「毎日笑顔で幸せにできそうや」 京太郎「じゃあ、俺たち結婚します?」 憩「……それができたらええんやけどな」 京太郎「え?」 憩「なんで……ウチは……」ウツムキ 京太郎(冗談なのになんでこんな暗い雰囲気になってんだ?地雷踏んじゃった?さっきまで笑い合ってたよな?) 憩「……ごめん、もうウチ帰るわ」ダッ 京太郎「えっ、憩さん!?」 京太郎「…………」 京太郎「何だったんだろう、あれ」 昼 京太郎「今日は他の人の部屋に遊びに行こう」 京太郎「誰か部屋にいるかなー?」 京太郎「……あれ?」 京太郎「何か忘れてるよーな……」ポクポク 京太郎「あっ!」チーン 京太郎「怜さんとの練習忘れてた!」 京太郎「やっべーよ何やってんだよ俺!」 京太郎「早くいかねえと!」 ――校門前 怜「はぁー」コシコシ 怜(京くん、まだやろか) 怜(このままやと凍え死にしそうや……)ブルブル 京太郎「おーい、怜さーん!」ブンブン 京太郎「はぁ、はぁ、すんません、遅れました」 京太郎「ひょっとして、待っててくれたんですか?」 怜「いや、偶然や、偶然」 怜「京くんのことなんか待ってへんもん」 京太郎「そんなに指赤くして何言ってんですか、怜さんは病弱なんですから無理しないでくださいよ」 怜「無理なんてしてへんわ、ほないくで」 ギュッ 怜「ちょっ、なんで手ぇ繋いどるんや」 京太郎「差し出がましいですけど、そんな手は放っておけないですから、せめて片手だけでも」 怜「……好きにすればええやろ」プイッ 京太郎「はい、それじゃあ行きましょうか」 怜「ほんで、何するん?」 京太郎「怜さんと特訓に決まってるじゃないっすか!」 怜「ふーん……そっか」 怜「特訓いうても京くんが強くなるとこもうないやん」 京太郎「ところがどっこい、最近本を読んで身に付けた業があるんすよ!」 怜「本読んだだけでわかるなんてえらい軽いな」 京太郎「まあまあそう言わずに」 京太郎「そういえば、怜さんはどうして麻雀を始めたんですか?」 怜「きっかけ?」 京太郎「はい」 怜「ん……確か小学生の頃に、隣のベッドで寝とったおじいちゃんに教えてもろたんや」 怜「そっからセーラと竜華に教えて、三麻してばっかやったわ」 京太郎「そうだったんすか」 怜「結局、後の二人の方が上手なってわたしは置いてけぼりなんやったんけどな」 怜「京くんの方はどうやったんや?」 京太郎「俺は照と咲の家に行ったときに教えてもらいましたね」 京太郎「最初はカモにされっぱなしでしたよ」 怜「そっかぁ、懐かしいなぁ」 怜「最初の時のまま、ずっと楽しく打ってたいわ」 京太郎「ずっと楽しく、ですか」 京太郎「どうやったらそんなことができるんでしょうか」 京太郎「どっかで俺たちは勝利に執着しちゃって、勝てないとつまんなくって麻雀を嫌になる」 京太郎「そういうの、俺は嫌なんですよね」 怜「……せやったら、京くんが楽しく打てばええんやないの?」 京太郎「俺だけでですか?」 怜「人のプレイスタイルってな、意外に伝わるものがあるねん」 怜「この人頑張ってるんやなーとか、この人麻雀好きやないんやなーとか」 怜「京くんだけでもそうやって打ってれば、きっと誰かが気づいてくれるはずや」 怜「多分、対局しとったらもっとわかりやすいはずやで」 怜「ほら、一遍笑ってみぃ」 京太郎「こうですか?」ニコッ 怜「うん、振り込むのも負けるのも全部麻雀なんやから、そのまま明るく笑ってれば、楽しいやろ?」 京太郎「なるほど、なんか掴めた気がします!」 京太郎「集中したから疲れました……」グダー 怜「わたしもー」グデー 怜「京くーん、何しよかー」ムニムニ 京太郎「俺に聞かないでくださいよー」ムニムニ 怜「やっぱり時間持て余すなー、あと京くんのほっぺやわらかいなー」ムニー 京太郎「怜さんの方こそ柔らかいじゃないっすかー」ムニー 怜「暇やなー」 怜「こほっ、こほっ」 京太郎「大丈夫ですか?」 怜「ただの咳やから大丈夫や」 京太郎「そっすか……!」ピコーン 京太郎「いかん、いかんよ園城寺くん」 怜「なんやいきなり」 京太郎「これは、あれだ、須賀病院の院長である私、須賀京太郎が診てあげよう」 怜「はぁ、ほなお願いします」 京太郎「お任せあれ!」 京太郎「で、症状は如何様に?」 怜「咳と鼻水とダルいですね」 京太郎「そうですか、じゃあまずは触診で」 怜「なんでその症状で触診するんや……」 京太郎「えっと、熱は無いみたいですね」ピトッ 怜(首筋か……それ触診言わんやろ) 京太郎「じゃあ次は口開けてくださいね」 怜「あー」 京太郎「さてと、次の人のカルテは……」 怜「あー……」プルプル 京太郎「眼鏡眼鏡……」 怜「……」イライラ 京太郎「あっ、今日はコンタクトだった!」 怜「ちゃんと見んかい!」 京太郎「やだなー、放置プレイなんてするわけないじゃないですかー」 京太郎「次は心臓の音とか聞いていきますねー」 怜「結局見てへんやないか!」ビシッ 京太郎「ほら、早く服めくってくださいよ」ニヤニヤ 怜(この医者腹立つなぁ、セクハラ根性丸出しやん、って、京くんやったわ) 京太郎「さあ早く!ハリー!ハリー!」 怜(面倒くさいけど、大阪のノリの良さも見せへんと……それに、京くんやったら、服の下やって……)カァァ 京太郎「ハリー!ハリーアァァ「シャラァァァァァップ!」!」 ゲシッ 京太郎「そげぶっ」 怜「あ、死んだ」 竜華「大丈夫やった、怜?」 怜「見とったんなら途中から止めてぇな」 竜華「そ、それはちょっと……」 竜華(服捲るかどうか迷って顔赤くしとった怜が見たくて助けへんかったんやで……) 竜華「で、この下衆はどないしよか」 怜「そこに座らせたまんまでええよ」 竜華「ん、わかったわ、よいしょ」 怜「ほな私寝るから~」グデー 京太郎「」ピクピクッ 竜華「怜、ちゃんと練習せなあかんで」 怜「わかってるから、竜華はセーラたちと打ってきぃ」 竜華「もう、後でこっち来るんやで」 怜「はーい」 怜「……はぁ」 怜「今日も疲れたなぁ」ムニッ 京太郎「」ピクピク 怜「誰のせいやと思ってるんやー?」ムニー 京太郎「ふご……」 怜「ふふっ」 怜「今日はこのまんまごろごろしてるだけでええわ……」 キーンコーンカーンコーン 怜「京くーん、部活終わったでー」 京太郎「んあ……はっ!俺は今まで何を!?」 怜「ずっとピクピクいうとったわ」 京太郎「……あれ?部員の皆さんは?」 怜「みんな帰ったで、もう後片付けも牌の掃除もしたで」 京太郎「じゃあ俺って凄く邪魔だったんじゃ……」 怜「うん、その通りやで」 京太郎「くっ、屈辱……っ!」 怜「残ってるの私らだけやさかい、はよ出よか」 京太郎「はーい、そうっすねー」 怜「鍵返してきたでー」 京太郎「はい、靴」 怜「おおきにー……んしょ」 京太郎「んじゃ、行きましょうか」 怜「ちょっと待ちぃ」ギュッ 怜「……うん、温かいな」 京太郎「えっ、いや……帰りもそうするんですか?」 怜「行きにしたんはどこの誰やったやろな~」 京太郎「そりゃそうっすけど……」 怜「ほな帰ろか」グイッ 京太郎「あーもう待ってくださいよー!」 怜「遅いでー男の子のくせに~」 怜(手だけやなくて顔も胸も熱いわ) 怜(これは新発見でええんやけど、京くんにこんな顔見せられへんやん)カァァ 京太郎「歩くの速いっすよー!」 夜 京太郎「俺には、明後日に負けられない戦いがあるんだ」 京太郎「今日の内に邪念を断っておこう」 京太郎「まずは……今朝会った憩さんにしようかな」 京太郎「シチュエーションは……そう、俺が入院して看護婦の憩さんが夜に俺の部屋を訪ねてきたとしよう」 京太郎「そして憩さんは俺にご奉仕を……」 ―――一時間後 京太郎「駄目だ、あの笑顔の罪悪感からか全然出ねえ……」 京太郎「憩さんは諦めよう、次は……」 京太郎「怜さんにしてみるか」 京太郎「シチュエーションは……今度は逆に医者になった俺を頼ってきた怜さんに、俺は座薬を注入しようとして……」 ―――一時間後 京太郎「……ふぅ」 京太郎「満足だ、実に満足だ」 京太郎「風呂入って寝よ」 【冬休み9日目】終 【冬休み10日目】 ※大会までの休日最終日 京太郎「明日だってえのにもう緊張するぜ」 京太郎「ハッスルのおかげで目覚めもいいし、朝から頑張るぜ!」 朝 京太郎「今日も千里山の様子を見に行こう」 京太郎「昨日も得られるものはあったからな」 京太郎「というわけで今日もよろしくです!」 浩子「ほーん、あっそ」 京太郎「何すかその素っ気ないリアクション!」 浩子「この寒い中迎えに行かされる身になってみぃ、ほんま邪魔やわ」 京太郎「」グサッ 京太郎「今日は対局をするぞ!」 京太郎「空いてる卓は……っと」 雅枝「おう、京太郎、ええ所に来たな」 竜華「ウチらと打とー!」 怜「勝たせへんで」メラメラ 京太郎「ふっ、上等です!俺は負けませんから!」 京太郎 22+200+55=277 竜華 76+140+25-30=211 雅枝 71+200+90+30=391 怜 62+124+45+15=246 雅枝「……」コォォォォオオオ 京太郎「何も、できなかった……」 怜「ま、監督が本気になればこんなもんやな」フフン 京太郎「-収支なのになんでそんな得意気なんですか」 怜「諦めはつけるもんなんやでー」 京太郎「また飄々と……竜華さんも何か言ってやってくださいよ」 竜華「…………」ズーン 京太郎(これが正常なリアクションだった!) 京太郎「竜華さん?大丈夫ですか?」 竜華「……うん」 怜「竜華ああ見えて真面目やから、練習とは言うても人一倍ショック受けとるんや」ヒソヒソ 京太郎「ああ見えてっていうか見たまんまじゃないっすか、どうするんすか」ヒソヒソ 怜「二人で何かして励ますくらいしかでけへんやろなぁ」ヒソヒソ 京太郎「それじゃあ……」ヒソヒソ 雅枝(何話しとるんやろ……) 竜華(おなかすいた……) 京太郎「あははっ!それ最高にスベらないっすよ!」 怜「せやろー流石やろー」 竜華「」グー 竜華「」カァァ 雅枝(何話しとるんやろ……) 竜華(あかん……あの二人がずっと話しとるから席から離れられへん) 竜華(泉が持ってきてくれたお茶菓子、食べたいなぁ)ソワソワ 京太郎「そうだ、俺お茶入れてきますね」 怜「行ってきー」 竜華(もう、なんで怜も一緒に行かないんや!) 京太郎「入れてきましたー」 怜竜雅「「「はやっ!」」」 京太郎「お茶菓子もあったんで、持ってきました、はい」 怜「おおきにー」 雅枝「すまんな」 竜華「……ありがと」 竜華(一個だけか……) 京太郎「あ……でも俺部外者だから食べちゃダメか」 京太郎「戻してくるのもアレなんで、竜華さん食べてください」 竜華「ええの……?」 京太郎「そのために取って来たので」 竜華「えっ」 京太郎「そうそう!そこで俺の友だちがですね!」 怜「いや、京くん友だちいないやん」 京太郎「一応いますから!」 竜華(ウチ、今京くんに気ぃ使われたんか……?) 怜「ほな私セーラんとこ行ってくるなー」 京太郎「はーい」 雅枝「私も抜けるわ」ガタッ 京太郎「はーい」 竜華「…………」モグモグ 京太郎「おいしいですか、お茶菓子」 竜華「うん……」モグモグ 京太郎「そっすか」 京太郎「……」 竜華「……」モグモグ 京太郎(この沈黙は竜華さんの行儀がいいから仕方ないんだ、俺に落ち度があるわけじゃない) 京太郎(……あんな腹の音出してたら誰でも気づくもんな) 京太郎(ひょっとして竜華さんが喋らないのは恥ずかしいから?) 京太郎(そうだとしたら嬉しい気がする……あくまで妄想だけど) 京太郎「竜華さんは大会の前の予定とかあるんですか?」 竜華「予定?」ゴックン 竜華「特にないけど、それがどうしたん?」 京太郎「いえ、最近怜さんが暇だ暇だ言ってるんで試合のない時間に一緒に出掛けたりとかすればどうかな、と」 竜華「へ?怜ならいつも遊び誘ったら」 怜『あー行けたら行くなー』 竜華「って」 京太郎(それいっつも来ないやつの常套句だろうが!) 京太郎「その割には本人寂しがってるみたいですけど」 竜華「せやったらウチら三人で出かけよか?」 京太郎「三人?竜華さんと怜さんと江口さんですか、いいんじゃないでしょうか」 竜華「ちゃうちゃう、ウチと怜と京くんや」 京太郎「えぇぇ……」 京太郎(試合前に女の子二人と出かける選手ってどうなんだ?) 京太郎(天国だからその話はぜひともお受けしたいけど……) 京太郎「是非行かせてください!」 竜華「うん、ええ返事やな」 竜華「試合は15時から4試合やから……いつまで遊ぼか」 京太郎「えっと、じゃあ……」 京太郎「じゃあ明日の朝だけ遊んで、昼間は各自自由ってことでいいんじゃないですか?」 竜華「せやね、それがええわ」 竜華「怜には後で伝えておくとして……あ、京くん連れてきたいことかおる?」 竜華「流石にセーラに悪い気がするから京くんもそんな子がおったら連れてきてな」 京太郎「考えておきますよ」 セーラ「竜華ぁー、こっちで打とー!」 竜華「わかったわー!」 竜華「ほなウチ行くわ、京くんもサボってへんでしっかり頑張ってな」 京太郎「はーい」 昼 京太郎(ここ最近、憩さんと朝から喋って、勉強も教えてもらった) 京太郎(だけど、あの人はあのアパートにはいない) 京太郎(……そういや、憩さんの部屋って入ったことあったっけ) ピンポーン 京太郎「須賀京太郎です!」 京太郎(憩さんを連れ戻して、憩さんの部屋に遊びに行こう) 『なんで……ウチは……』 京太郎(あんな表情はさせたくない) 「入りたまえ」 ギィィィィ 京太郎(憩さんには、笑っていてほしいんだ) 京太郎(……事情を知らないと何が何だかよくわかんないんだけどな) 京太郎(今日も憩さんのお父さんと話そう) 京太郎(前回来たときは仕事で話せなくて、その前は……) 『ここから先は私たち家族の話なんでね』 京太郎(って言ってたよな) 京太郎(今回こそはちゃんとその事情を聞かなきゃいけないんだ) 荒川父「よく来たね須賀君、この前もここに来てくれたらしいじゃないか」 荒川父「相手ができなくて残念だったよ」 京太郎「今日は予定が空いてたみたいでよかったです」 荒川父「明日が娘の最後の晴れ舞台だからね、今日から休日なんだ」 京太郎「最後?」 荒川父「立ち話も難だ、座りたまえ」 荒川父「今日はほうじ茶を入れてある、お茶請けのまんじゅうもおいしいから食べてみるといい」 荒川父「……さて、今日は何を話しに来たんだい?」 京太郎「憩さんのこと、あなたの言う「家族の話」について教えてください」 荒川父「家族の話……ああ、君はそんな言葉の節々まで覚えているのか」 荒川父「だが、それを知って君はどうする、君にはどうにもできない話なんだ」 京太郎「話を聞かずにそんな判断を下せるほど、俺は臆病じゃないんですよ」 荒川父「はっはっは、そうか、うむ、それでは話すとしよう」 荒川父「この荒川家が病院を持っているのは知っているね?」 京太郎「そして三箇牧高校の設立にも支援をしたってことまでは知っています」 荒川父「それは……ああ、石戸先生が話してくれたんだね」 荒川父「私の病院は大規模で、自分で言うのはどうかと思うが、地域の信頼も厚い」 荒川父「この病院をさらにいい病院へと成長させたい、と私は常々思っているんだが、その一環として、やはり若い力を取り入れたいと思っているんだ」 荒川父「若さというものは素晴らしい、将来があって、我々よりも大きな可能性を秘めている」 荒川父「だが、私は病気を患っていてね、そう長くは持たないんだ」 荒川父「だからまずは若い跡継ぎが欲しいと思ったんだ」 荒川父「新しい世代が新しい医療を育んでいく、いい響きだろう?」 荒川父「そこで、私は懇意にしてもらっている先生の息子と憩を婚約させることにしたんだ」 京太郎「婚約……!?」 荒川父「もちろん婿養子として彼を迎えるんだ、こちらがちゃんとしていなくては釣り合わないだろう」 京太郎「それで、憩さんを清々荘から連れ戻した、って言うんですか」 荒川父「そうだ、そして明日の大会が終わった後、憩には麻雀から手を引いてもらう」 荒川父「正確には麻雀部を辞める、だがね」 荒川父「これが私たちの話だ」 京太郎「……憩さんは、それに納得しているんですか」 荒川父「憩と彼は私たちの付き合いでよく遊んだりしていてね、知り合ってまだ一年の君よりも多く、お互いについて知っている」 荒川父「だからだろうね、利口な憩は納得してくれたよ」 京太郎「なっ……」 荒川父「君が彼の代わりになるというなら話は別だけどね、そこまでの覚悟はないだろう」 京太郎「…………」 京太郎(憩さんが婚約して、麻雀部をやめる……?) 京太郎(……なんだよ、それ) 京太郎(確かに俺じゃああんな病院を継げるほどの医者になれるかどうかなんて不可能に近い) 京太郎(俺は憩さんを放っておくことしかできないのかよ……) 荒川父「話は済んだね」 京太郎「憩さんと話させてください」 荒川父「よかろう、おい」 秘書「はい」 荒川父「須賀君を憩の部屋に案内しろ」 秘書「かしこまりました」 京太郎「……はぁ」 秘書「貴方、どうするつもりなの?」 京太郎「あんなの親のエゴじゃないっすか、憩さんを道具みたいに扱って」 京太郎「俺は、憩さんを救いたいですけど、それがどうやったらできるのかわからないんですよ」 秘書「男ならシャキっとしなさい」 秘書「まだ可能性はあるんだから、頑張りなさい」 秘書「この先にお嬢様がいるわ、何を話すかは貴方の自由よ」 秘書「それじゃ、また後でね~」フリフリ コンコン 京太郎「憩さん、俺です、京太郎です」 ガララ 憩「聞いてるで、入ってええよ」 京太郎「お邪魔します」 憩「京太郎くんがウチの部屋におるって変な感じやなー」 憩「で、何しよか?」 京太郎「……俺、話があって来たんです」 憩「話?」 京太郎「……はい」 京太郎「憩さんの話、お父さんに聞きました」 憩「ウチの話?」 京太郎「憩さんが、婚約させられるって」 憩「ああ……聞いてもうたんか」 京太郎「憩さんは、その婚約に納得してるんですか?」 憩「納得は……してるで」 憩「お父さんのためになるんやったら、ウチは構わへん」 憩「ウチは荒川家の娘やから、しょうがないんよ」 京太郎「…………」 京太郎「憩さんの気持ちはどうなんですか」 京太郎「親に良いように使われて、麻雀部に来れなくなっても、それでもいいのかって聞いてるんですよ」 憩「それ、は……」ポロッ 憩「うっ……うぅ……」ポロポロ 憩「まだ、麻雀、打ちたい」ポロポロ 憩「みんな、ぐずっ、と、いたい……」ポロポロ 京太郎「…………」 京太郎「嫌なら嫌だ、ってお父さんに言いに行きましょう」 京太郎「俺が付いていますから」サスサス 憩「うぅ……」ポロポロ 京太郎(憩さんが納得してるならって思ったけど、こんなの許してたまるか) 京太郎(……どうにかして阻止してやる) 憩「……もう、大丈夫やで」 京太郎「憩さんはどうしたいんですか?」 憩「ウチは……まだやりたいことがあるんや」 憩「……せやから、あの話はお断りしたい」 京太郎「それで十分です、それじゃあ行きましょうか」 憩「……うん」 憩「京太郎くんも、傍にいてくれるんやろ?」 京太郎「俺もそんな話は許せませんからね」 憩「おおきに」 京太郎「お礼はまだ早いですよ」 憩「これは先払いになるから、大丈夫や」ニコッ 秘書「お嬢様と須賀様をお連れ致しました」 荒川父「入りたまえ」 京太郎「失礼します」 荒川父「……それで、今度は憩を引き連れて何の話かな」 憩「えっとな……その……」 京太郎(何だこれ、さっきよりもはるかに緊張するぞ) 京太郎(気張って来たのに、何も考えつかねえじゃねえか) 京太郎(憩さんも言葉がつかえてるし、ここはサポートするべきなのか?) 京太郎「……憩さん」ボソッ 京太郎「俺がフォローしますから、憩さんは憩さんの考えを言ってください」ボソボソ 憩「……うん」 京太郎「憩さんなら大丈夫ですよ、もっと自信を持ってください」ボソッ 憩「……せやね」 憩「お父さん……ウチ」 憩「……ウチな、婚約の話、無かったことにしてほしいんや」 荒川父「ほう、なるほどね」ジロッ 京太郎「!」ビクッ 荒川父「それは一体なぜだ?」 憩「そ、それは……」 京太郎「憩さんから、麻雀を奪わないでください」 憩「!」 憩「ウチには、まだしたいことがあるんや」 憩「清々荘のみんなで楽しくパーティーやって笑いたい」 憩「クラスの友だちと話しながら学校に行きたい」 憩「お昼ご飯やって、この家で貰った弁当より、友達と購買とか学食で買ったのとか、自分で作ったんが食べたい」 憩「放課後も、京太郎くんたちと仲良く麻雀打ちたい」 憩「清々荘のみんなとパーティーして、他愛もない話して笑いたい」 憩「まだ自由でいたいんや」 荒川父「……ふむ、自由、か」 荒川父「ならば、高校生活はお前の言う自由にさせてやろう」 荒川父「清々荘に戻ってもいいし、弁当も家では作らない、送り迎えもしない」 京太郎(案外早く引き下がったな……) 荒川父「だが、高校を卒業した後、結婚をしてもらう」 荒川父「これでいいだろう?」 荒川父「私は憩、お前の主張通り自由を与えた」 荒川父「ならばそれで解決だ」 憩「…………っ」 京太郎(どんだけ意固地なんだよ) 京太郎(なんでそんなに憩さんを縛りたいんだよ……) 憩(そんなん、自由やないやん) 憩(人を好きになったって、そんなん……) 京太郎(……ここは、どうすればいいんだ) 京太郎(俺が頑張らないとどうする) 京太郎(このまま譲ってたまるかよ) 京太郎「……それは違う、と思います」 荒川父「ふむ、言ってみたまえ」 京太郎「……憩さんは、貴方に作られる未来が嫌なんです」 京太郎「最初は医者になれって言われて、次は親が決めた相手と結婚しろって言われて、与えられたのがたった三年の高校生活だけなんておかしいですよ」 京太郎「親の言いなりにされて、自由の無い未来を据えた今の自由の何に意味があるんですか」 憩「…………」 荒川父「やはり君は、憩を取り戻したいようだねぇ」 京太郎「大事な人が嫌な目に遭っているのに、放っていられるわけがないじゃないですか」 憩「え……」 荒川父「……はぁ」 荒川父「ならば、君は憩のために何ができるんだ?」 京太郎「それは……」 京太郎「…………ふふっ」 京太郎「簡単な事だ…」 京太郎「俺が憩さんのことを幸せにするッ!!!」 京太郎「これが、俺のできることです!」 荒川父「この状況でふざけられるとは、君は大胆な男だな」 荒川父「……では、君が憩のためにどこまで動けるかを見せてもらおうか」 荒川父「私の出す課題をこなせば、君を認めて、その意見を認めよう」 荒川父「そのバカげた精神で何もできるわけがないだろうがな」 京太郎「課題?」 荒川父「ああ、勝負内容は……君の得意分野でいいだろう」 荒川父「こちらへ来たまえ」 荒川父「この部屋だ」 京太郎「失礼します……」 憩「こんな部屋あったんや……」 京太郎「……パソコンが置いてあるだけですが、ここで何を?」 荒川父「君には憩と打ってもらう」 京太郎「憩さんと?」 荒川父「MAOというネット麻雀ゲームを知っているな?」 京太郎「ええ、やったことはありますから」 荒川父「そこで、憩を忠実に再現したCPU二体、そして本物の憩と打ってもらう」 荒川父「君が一度でもトップを取れば、憩の婚約は破棄し、君は宣言通り憩を幸せにするために生きる」 荒川父「どうだ、簡単だろう?」 京太郎「そんなゲームで娘の将来をどうこうしようとするなんて、どうかしてますよ」 荒川父「…………ああ、何とでも言うがいいさ」 荒川父「最後に一応確認しておこう、君はこの課題に挑戦するか?」 京太郎「はい、絶対に勝ってみせます」 荒川父「まあ精々頑張りたまえ」 京太郎「では、行きましょうか」 憩「うん!」
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361 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 17 04 27.99 ID 8ADSHfUTO あったか~い 81 麻雀部 京太郎「うーっす」ガララッ 憧「遅いわよ!何してたの!?」 京太郎「ちょっと膝に矢を受けちゃってさ」 憧「それ絶対嘘よ!」 玄「声と表情が全然あっていないよー」 玄「顔、にやけてるよ」 憧「はっ!」 京太郎「あ!師匠!」 玄「京太郎!今日もおもち談義を交わすですのだ!」 / . . . . . . . . . . \ , . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . ..ヽ . . . ヽ / . . . . . . . . . . ′. . . . . i{ . . . . . . . . . .. . ..‘. ∧ / / / / .. . . . . . . .| . . . . . . | . . . . . . . . . .∨. ‘.. . / .イ ′ . . . . . { . . . ,| ... . . . {∧ . . . . . . . . . i . . . :. i ././ ′ !. .|....... 小 . .ハ__ . . . . iハ 斗 十 .ト . .| . ... i . i .′} . |. ! . . 斗{ . 「 丁i . . . .ト .V ヘ .{\ . .`! . . . | | |′.′ l . |.ト . . | ヽ 气{\ . { \ ヽ. \} . | { i . . .| 八. .|ヽ{ _ \ ,z≦ミ、| . .! . |! | /|. . . . ! ,ァ= =ミ ´ `'^| . | .小 |. / ! . . . .ハ ′ /i/, | . | .|i | ′ } . . | ∨ /i ' . . . .! . l { ○ ′. . .ト. . , 八 . .. } . l .‘ / .{ | . . . . { 込 ` ´ /} . . ./ . ! . ‘ / ; .| . | . . . . | 个 ..... .イ ∨ . . / /. .′ ∧ i /{ .! . | . . . . | / ノ}≧ - ´ {入 /. . ./i/ . .′ . . ‘. |{∧{.. .i . { . . ‘ . . / 乂 / / . . /V . . .{ . . . . . ‘. .′.. .八 !ム .七¨⌒} >t_ん / ./「/ . . 厂 ̄ ≧ 、 / . rヘ´ ヽ \ | ∧ ∧'ィ斗v′ . / ヽ. / . ′ 八_{ ̄≧ V__/イ´ {'リ . . . ′ / } / . . {⌒ヽ 八 z__{ }___, {.' . . ./ / | .′. . | \ 《 ハ下 . /. . . .′ , 小 / . . . .{ ヽ } ∧__/ }ハ ≧7. . . ./ / { ∧. / . ./.. . } . | く / } ; . . . . ′ .′/ { . .‘. / . ./.. . . .i ∨ } `≧-ヘ ∧ノ} . . . .{ . { .′ } . . ‘. / . /′ . . .} ‘. V| ∨ | ノ} . } j / / { . . . ‘. 京太郎「はい!!!」 玄 好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 363 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 17 11 07.75 ID pdUjaJ/FO [3/3] 玄 23 穏乃「おはよー!」ガララッ 京太郎「おっ穏乃」 穏乃「早く打とうよ」 京太郎「おう、牌譜の整理をするから待っててくれ」 穏乃「皆の京太郎への扱いは酷いなー」 ──── __ ─ 、 / `>、 ヘ / \ヘ / ∧ ヽヘ /,イ / / / ∨ | | ∧ ', // / / / ∨ j, | l! } l / ′ ムム / } ト 〈! イ | | { l! | 八' { ' ` | / !| /j /メ ′ | 八 {|! ! | ,r_芋ミ !',r示/ミ' ! / ′ 〉!.〉 乂' ト } ん ;ハ,' / / | /' 〃 、_! 乂_ソ 乂__,ソ,jイ /` } | / ノ l ハ |! ,,,,, ' ,,,,, / ゙ ノ ''! | / / |! ! ∧ ー─, / /'' /j | / // | ヘ ! .、 ゝ - ,イ/ / / ,' | // ,/' ∧ | '> <ノ\/ / / ' r 、 r,_. 〃 ,/ ,r七´ ̄' / ヘ ,r<´/ ,/'' / / / j ! /ノ } / / ! 〈. 〈 /⌒、 / `ヽ、' / { .{/ / / /) ./ / j ィ7`ヽ',Y /,∧,ノ / \ / | / / ,// / / ! { `-/´⌒} \ ヽ ヘ (--`ヽ Y{ / |〈! ノ-{ / / } ,人__ ,,,)〈' ∧ ノ ! ′ .! 乂 / { ゝ イ) / / 穏乃「ねー京太郎」 京太郎「ははっ……大丈夫だって」 もう、辞めるからな。 穏乃「……」 0~30 小 31~60 中 61~99 大 365 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 17 17 54.94 ID s5DouDr/O 穏乃 61 灼「おはよう」ガララッ 京太郎「あ、灼さん」 灼「京太郎、牌譜の整理ありがとう」 京太郎「いえいえ、当然の事をしたまでですよ」 灼「とても助かる、ありがとう」 / / / i lヽ i i . / .............. / i { | 八 ヾ\ | | ′... i / レ i ハ {ト {,.斗 ヘ | i i. i { l | ハ≧x 、_{ L 」<, t===ミ | i |. |八 从 /〃斧ミx 丁{ 斧 》 i | ヽ ハ {{ ト--ク うーク ' i | / iト ー= 、  ̄´ j i | { ハ 〃〃 〃〃 i | | |i i } _ / | | |i 「`込 ´ ィ / / リ |i { > < j/ / / ヾ < iト、 > < { /i 二´ --'  ̄ ̄ ̄ ̄ } ト、 ̄ ∧ r=ニ ´ 〉 、__ / 〉 ハ //∧/////≧zzx 、 京太郎「あはは……大袈裟な」 0~30 小 31~60 中 61~99 大 368 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 17 45 14.49 ID bvUUCjVpO [5/5] 灼 91 晴絵「おーっす練習始めるぞー」 --……-- r―‐⌒ヾ \ |∨ \ \ |/゚ 。 \. . . . . . . . . . . . . . . / \ . . . . \ . . . . . . . . . . . . . . 。 // / \ . . . . . . . . . ` .o。 . . . . . . . . . . . i ゚. /イ / . . .イ . . ー┬--- . . . __ .` . .o。 . . . . .|. ..。 i{ | ′ . .'{_|_ . . . | リV . . . . . . } .>匕、 \j--i || |/ . . ∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、 . .\}、 リ { . . . .|! ‘, ィ芹≧ュ ’|イi//| 》、 。 . . .ぃ、 | . . . . .「`ヽ《乂_゚ツ ゞ= '゚ リ/リ゚。 . .ト、i | . . . .小 , , ' , , / . . .∧ .} リ l. . . . . | }ゝ-! jハ . . . j/} .| 。. . . { { j 八 -==ァ イ }/ j ノ ゚ 。.リ \{≧ュ。. ィ jソ ″ / ゞ イニ} ` ´ {ニヽ ィニ// ゝ|ニ\_ ┬==≦ニ/ニ7____ __,.|ニニムニニニニニlヽ /ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム. /ニニ |ニ7ニニニニニ| |ニニニニ}ニニニ=|ニム 京太郎「はーい」 憧「京太郎、一緒に打つわよ」 京太郎「え、また憧?」 憧「人数少ないから偏るに決まってるでしょ」 京太郎「それにしても偏り過ぎな気がする……」 憧「つべこべ言わない!」 京太郎「へいへい……」 穏乃「本当……」 灼(ラブラブだなぁ……) 玄(憧ちゃんは京太郎が本当に大好きなんだなぁ) レジェンド 好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 371 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 17 49 01.50 ID LQChLrN9O 晴絵 好感度max 依存度106 平和だなぁ 行動フェイズ 夕方 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 376 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 18 00 55.44 ID hLEN18hJO [1/2] 京太郎「街でもウロウロするか」 --- 京太郎「それにしても……綺麗な町並みだ」 京太郎「長野とはまた違った良さが……うん」 京太郎「さてさて、何をしようかな」 0~30 アコチャー 31~60 プロ 61~99 好きな阿知賀勢 380 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 18 08 41.52 ID Tf8fkYlWO [1/2] あったか~い 宥「あー京太郎君。どうしたの?」 京太郎「いやーいい町だなーって」 京太郎「俺の幼馴染の友達も昔はこの町に住んでいたらしいですよ」 宥「本当?凄いねー」 京太郎「はい、偶然ってあるんですよ」 宥(まぁ……そこまでの偶然じゃないけど) 京太郎「……」 たわわなおもち、端正な容姿、溢れ出る母性、ほんわかとした雰囲気、包容力……完璧だ。 笑顔とは裏腹に寒さ?に震える身体も美しい。 宥「……?」ニコッ 0~30 小 31~60 中 61~99 大 384 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 18 14 31.01 ID Tf8fkYlWO [2/2] あっつい~い 91 行動フェイズ 夜 京太郎の部屋 京太郎「さて、何をするか」 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 392 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 23 17 33.54 ID c6Iu26txO [1/3] 京太郎「バイトするか」 1.土方 2.松実館 3.ボーリング場 4.山のゴミ拾い 安価下3 397 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 23 23 52.11 ID c6Iu26txO [2/3] 宥「あ~また来てくれたねー玄ちゃん」 玄「京太郎が居ると助かりますのだ」 京太郎「それは光栄です!」 宥「じゃあ今日やる事を教えるね~」 京太郎「はい!!」 --- 京太郎「きっつ……」 玄「お疲れっ!」ポンポン 宥「鍋作ったから食べようね」 京太郎「はい!!」 この時期に鍋かぁ……ありがたいけど。 玄「三日連続……」ボソッ 好感度上昇安価 宥 安価下1 玄 安価下2 0~30 小 31~60 中 61~99 大 400 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 23 27 43.15 ID c6Iu26txO [3/3] あっつ~い 121 玄 京太郎の部屋 京太郎「よし、電話するか」 京太郎「誰から電話をしようかな~っと」 前週キャラあり 自由安価下3 405 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/17(火) 23 34 38.26 ID NMviqGs7O 玄 43 玄「っ!」 電話番号を教えてからずっと待ちわびた物だった。 玄「もしもし!」 考えるよりも先に行動へと移していた。 京太郎「あ、玄さん!」 玄「はい!なんでしょう!?」 出来るだけニコニコと可愛い声と仕草で答える。 京太郎「……」 京太郎(ここまで元気な人に俺は言えるのか……?) 京太郎(やめるって事) 玄「……どうしたの?」 京太郎「やっ!やっぱりなんでも無いです!」 プツッ 玄「嘘……だよ」 --- 京太郎「誰に電話をしようかな~っと」 前週キャラあり 自由安価下3 418 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/18(水) 00 20 37.41 ID 31HFk+ttO 穏乃「!」 穏乃「京太郎……」 私が……一番大好きな人。 いつ頃からだろう、顔を見ると胸がドキドキするようになったのは。 最近は胸が締め付けらるようになっていた。 赤くなる顔を誤魔化す為に身振り手振りを使って…… でも、沢山気を引くように頑張っていた。 この苦しみから解放される為には……決まってる! 穏乃「よしっ!」 穏乃「もしもし!」 京太郎「あのさ……穏乃……相談したい事が」 穏乃「私京太郎の事が好きなの!」 穏乃「だから付き合ってください!」 京太郎「え?」 安価下10 多数決 1.俺も好き 2.ごめん 436 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/18(水) 02 04 21.24 ID DfkFDl99O [1/2] ネキは史上最高のヒロインだから 京太郎「俺も好きだ」 穏乃「!!!」 穏乃「嬉しい……とっても嬉しい……!」 京太郎「でも……俺麻雀部やめるんだ」 穏乃「え……?」 京太郎「だから付き合えない……」 穏乃「そんなの関係ない!」 437 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/18(水) 02 12 32.44 ID DfkFDl99O [2/2] 穏乃「私には……そんなの関係関係ない」 穏乃「今までごめんね……京太郎」 京太郎「大丈夫だよ、穏乃はむしろ優しかった」 穏乃「京太郎……」 京太郎「好きだ……穏乃」 穏乃「うん……!」 --- 京太郎「誰から電話をしようかな~っと」 前週キャラあり 自由安価下3 441 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/18(水) 17 45 18.36 ID FP5rEn2cO 晴絵 好感度max 依存度116 晴絵「……」ドキッ 着信の相手は京太郎…… 事もあろうか自分は教え子を相手にときめいていたのだ。 晴絵「……」ドキドキ 晴絵「もしもし」 京太郎「あ、晴絵さん……相談が」 晴絵「どうした?」 声が暗い。 いつかこの時が来るとは思っていた、余りにもカバーする時間が遅かったのだと……もう手遅れだった。 京太郎「俺ーー麻雀部辞めます」 一日が終わりました 442 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/18(水) 17 53 14.23 ID r7zXZcsYO [1/2] 憧「アハハッ!」 憧「アハハッ!」 / / .. _/ / ./ . ./ i \ //′ / ./ . / | / / / // ./ .′ ./∧ .ハ . | | . .. / / / // ./」.A--x ′ト、. . . .′ | | 〔iミx 、.. / / レv ′|! V__ ` ヽ l___!__ | | | ヽ ヽ / / i! | .| __ j/- j人`ヽ| | | . | . .. / / | . .| .| ´ ̄`ヾ _ ヽ | | ! . ! . . .′′ | . .| .| ; ; ; , ¨¨ヾ、. ハ . .| | . | l l i! ! | ; ; ; / .′ .| ! | | .′ .| . | | .ト { 丶 / / .′ . | | | ′. ! ′.. | .| i 、 / /イ / | | | | | .′ | . . . | . | .| . | 、 `¨ ´ . イ . .| /. . . | | | | | | . | ./ | | .l l/ヘ} ー‐ .iヽ. / . .j/ . . . .|. . .| ! ! li! | ′. . .| | .| レ′ \ ∧ | . . | . . .| . | lハ | く`ー‐r.| | .| ト、 /^V! ∧.l\ . | | | ′ .| l l/ ヽ | | | .| | \∧ ol ∧ `ヽ ! . | | l .l | | . | ___ハ^i^i ト,〔 ̄`Y¨Y¨¨¨¨i | . ト . . | l/!. .| | | /  ̄レ_// ノ7 l__.ト、 l |. . . .| ! | | | / l ヽ〉─‐'l | \/ | . .| !. . . | i} /! /\ ./ \_/′ | | ! . . | | | ′ / /l \ 、 ′ | .′ . . l | l / / /. l\ ‘, | .// / | | V. / / / | \ ‘, |// レ | . .| 憧「アハハッ」 憧「本当……面白い冗談を言ってくれるわねぇシズ」 部屋には写真、声、ぬいぐるみ。 誰の物かは言うまでも無い。 憧「辞めても大丈夫よ京太郎……私が見守ってあげるから」チュッ 443 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/18(水) 17 53 44.46 ID r7zXZcsYO [2/2] 朝 行動フェイズ 1.登校 2.引きこもる 3.サボる 4.自由安価 安価下3 447 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 00 13 29.19 ID qqSnxaoMO 京太郎「よーしっ部活に行くか」 --- 京太郎「……」テクテク 京太郎「退部届け……正式に渡す」 京太郎「って……あれは?」 安価下 0~50 アコチャー 51~60 クロチャー 61~70 宥 71~80 あらた 81~99 穏乃 452 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 00 24 55.05 ID zdAVUNhCO [1/3] 憧「あ、京太郎」 京太郎「憧か……お前とは仲が良いから言っておくか」 憧「……どっち?」 京太郎「え?」 憧「須賀京太郎は高鴨穏乃と付き合う事になったのを私に報告するのか須賀京太郎は部活を辞める事を私に報告するのか」 憧「どっち?」 京太郎「お、お前……どうして」 喉元にナイフを突きつけられた感覚が今、初めて分かった。 晴れ晴れとした穏やかな風景とは打って変わり、俺と憧を取り巻く空気はとても気怠い物になっていた。 憧「どうして~って?」 憧「私は京太郎の事をずっと昔から知っているからだよ」 目に光が無い、憧は俺の制服の裾を掴んで俺の事を見上げてこう言った。 憧「今度こそ、私の物になってね?」ニコッ _. .-. . . . ̄. .゙. . . 、 , '´ . . . . /. . . . . . . . . .ヽ / ;ィ´ / . . . .ヽ. .\ _,-─tァヽゝL _/_ ,' | . . .゙ . . ヽ ,〃,r‐'7ハ レ!__,'_ ;イ | /!! ヽ. l . . .、 / 〃 l ト、| .| ハ Tハ! | { || .| | ゙. .!_l |ミヽ、 ,' ./ ! | | LL_ヽ| ! || ! |'T ‐ -|、 | ト、 !| \ ヽ ,' / .| . | | ハチ≧ト、|ハ !土_ヽ | | ! .|. .ヽ!! ヾ.、 ,'/ λ .r=| |.{ ;; Cヾ ヽ|チ不≧!/! | !. ./,'| ヾ 、 |l ハ | (! !`ー'' { {゚ ;; C | | .! .|, './|j ヽl || | |ヽト、! .!""" ' ` ー'' ,イハ| | /. l || | !. |N l .ミト、! .| 、 """ /ノノ ! .| _;| | ! | l r、 .N .ト {ヽ !、 ー ,イf.l´. . | .j//ハ l .| i! | \\ | ゙、| | ヽ | 、_ .... -≦| . . .| ! . . .|,.'/ . ∧ .| .|. 从! l\\ | | l ! | |ヽ| ! . . .| | / ,イ| ゙、 ヘ ! .| ハ ト l Lf~ヽ `_ヽ_ !|ヽ ||、-、ヽ _L`_r"∠! ! ∧ | . ! ,' | !ミ、 | 、ゝ.|´ヽ ヽヽ ヽ-、 ,.r! >‐'{ | |ノ|ノ7 | . .ヘ. ,' . |! |,' |!| ヾ,へ.ヽハノ、/ ̄`ヽヾ´ ̄`| \_ヽ_!__! .| /| .! . ∧ ./ . . !i! |i| ! | |\,ゝ | ヽ | /´ /` ̄ヽ | . .∧/ . . . ||i! 安価下 0~50 一度引き離す 51~99 動けない 455 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 00 29 09.18 ID bwXyaV/5O 京太郎「うっ……」 声が出ない……身体が動かない。 京太郎「まっ……ま」 情けない事に足が震えていた。 憧「大丈夫だよ、京太郎の気持ちいい所は沢山見て来たから」 憧「さっ……部活なんか放っておいて私の部屋にいこ」 憧は俺の下腹部に人差し指をなぞらせる。 ススーッ ゆっくり、堪能するように。 憧「えへへ、興奮してきちゃった」 京太郎「まっ……待てよ」 0~50 脱出 51~99 アコチャーハウス 458 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 00 35 27.49 ID EMhxSVLmO 憧の部屋 憧「あはは、到着!」 京太郎「お、おい……やめろって」 憧「これ以上我慢しろって……馬鹿じゃないの?」 憧「~♪」カチャカチャ 京太郎「なっ!」 憧は俺のチャックに手をかける。 いつでも準備は万全。 歪んだ好意が俺を襲う。 0~30 脱出 31~99 あ~^ 463 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 01 02 35.71 ID D2XeLdj8O 京太郎「っ!」 身体が動く……! 京太郎「悪いな……っと!」ダダダ 憧「京太郎!!京太郎!!」ハッ 憧「……逃げられた」 憧「ちぇっ……」 --- 部室 京太郎「なんとか逃げる事が出来た……」 京太郎「晴絵さん……」 京太郎「これっ」スッ 晴絵「分かった。受け取る」 玄「えっ……本当?」 宥「……あったかくないよ」 灼「やめちゃうんだ」 ガララッ 憧「な、なんでやめるのよ!」 京太郎「……」 なんだこいつ……白々しい。 穏乃「……」 京太郎「皆…々今までありがとう」 安価下1 玄 安価下2 宥 安価下3 灼 安価下4 晴絵 好感度上昇安価 0~30 小 31~60 中 61~99 大 471 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 01 18 31.34 ID /7qWLtx6O 玄 53 マグマ 好感度max 依存度 171 灼 42 伝説 好感度max 依存度 136 晴絵「……このまま」 このまま逃して良いのか? 晴絵「っ!」 脳内を何かがよぎった。 悪魔のささやきが 宥「……あったかくないよ」 晴絵「そうだ!京太郎の送別会をしよう!」 憧「それ賛成ー!」 灼「わたしも」 宥「うん、いいと思う」 玄「賛成!」 穏乃「……」 京太郎「……」 0~50 参加 51~99 不参加 474 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 01 47 16.82 ID cMAFfUCXO [1/2] 京太郎「いや、大丈夫です。そこまでしなくても」 晴絵「いや、でも」 京太郎「辞めはしますが、俺の事はこれからも麻雀部の一員だと思ってください!」 晴絵「……そうだな!」 晴絵「じゃあ……全国大会にも…着いて来てくれるか?」 京太郎「え?」 --- 京太郎の部屋 京太郎「押されてしまった……どうしてこうなった」 行動フェイズ 夕方 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 484 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 02 10 18.07 ID X3xGlJoyO [1/2] カランカラーンッ 憧「やっぱり……麻雀に未練あるんだ」クスクス 京太郎「やめてくれよ……もう」 憧「私に構ってくれないと……シズがどうなっても知らないわよ?」 京太郎「お前……!」ガタッ 憧「やめて、怖いわね」 憧「私は絶対京太郎以外には何もしない」 憧「手を出すとしても……私以外の人間ね」 京太郎「どういうことだ?」 憧「そうねぇ……キスさせてくれたら教えてあげる」 憧「……」 ガシッ 京太郎「こんな所で……!」 憧は俺の肩と手を掴んで無理矢理俺の唇をーー 0~30 穏乃「え……?」 31~60 止める 61~99 唇を奪った 486 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 02 21 05.01 ID zdAVUNhCO [2/3] 京太郎「っっ!!」 チュッ ビクッ ビクンッビクンッ 憧の柔らかい唇が俺の唇を包み込むように奪った。 執拗に、逃げられないように、蹂躙するように舌を絡めて……我の物にするかのように。 チュパッ 憧「えへへ、えへへ、えへへ、やっと……やっとだぁ……」 京太郎「っつ!」タタッ カラーンッカラーンッ 憧「また逃げるんだ」 0~50 追いつかれる 51~99 穏乃と合流 490 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 02 31 56.89 ID X3xGlJoyO [2/2] 京太郎「穏乃……!」 穏乃「え……こんな山奥に来れるなんて運動神経あるね京太郎も」 京太郎「鍛えてるからな!」 穏乃「それだけで済む問題じゃないと思うなぁ」 京太郎「はぁ……はぁ……!」 くそ……!動悸が激しい。 穏乃「大丈夫?震えてるし……息が荒いよ」 京太郎「っ……!」 穏乃を見てると泣きそうになってしまう。 俺は穏乃にキスをする前に憧に唇を奪われて……汚されて……糞。 京太郎「ごめん……俺」 492 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 02 34 40.20 ID Bu9Ba9b7O [1/4] 全部話した。 穏乃は辛い表情で全部聞いた後、俺を抱き締めてから何度もキスをしてきた。 穏乃「んっ……」 チュッ チュプッ 穏乃「っはぁ……」プルプル 穏乃「大丈夫……大丈夫だから……ね?」 京太郎「穏乃ぉ……」ウルウル 0~30 アコチャー 31~60 灼熱 61~99 丁度いい山小屋で穏乃と身体を交わす 495 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 02 40 02.73 ID Bu9Ba9b7O [2/4] 京太郎「はぁ……はぁ……!」 穏乃「いいよ……京太郎……来て……!」 京太郎「穏乃……!穏乃……!」 絆を強く……深く…… 心を通わせる。 ずっと、何があろうと挫けぬ心で。 --- 京太郎「……」 穏乃「……」 / / \ . ´ / / ∧ ヽ ヽ ヽ / ./ / / / ヽ ヽ ヽ ハ / i { ハ { ′ V 从 } ハ ハ ハ 从 j⌒ ハヽ 1ハ⌒ jヽ ハ Vハ Vィ示ミ 〒示ミイ / イ ヽゝ辷ソ 辷ソ"レイハ / ハ ハ ww l ww / ハ / 彡 ハ ゝ 、_rァ ィ/ / i } v v v / 彡 /X V V7ーi 、__ イ T7 / ノ /とニヽ / / ///⌒Ti ヽ ヽノ! l`l/ ノ 7`ヽ \ . . /ニヽ / / / / i-'⌒ヽゝ-、 , 彡´ ′ ', /´ 彡ニ'〉. / / / -┴  ̄ 、ヽ ` ´ マ、 V } ( ´ / 〃 / ―--ァ ゙´ マ、 ヽ ', l イ ′ / /// 〃;.'; r;マ、 ', ', / / / // ! 〃ン ゞV! } ∨ ,. / / ´ ゝ〃 ノ ' 、 }| ノ / !. / _彡´ | |{ー‐ ´ ー-}| イl ′ l ´ ̄ } |{; }| ハ { j / |{ ; }| { ヽ ' / 〃 |{ } }| ハ ヽ / / j 〃j }| ハ ヽ / 〃 |{'′ `i´ }| ∧ / / 〃 }| \ ; // |{ }| ヽヽ 、 〈〃 |{ }} \ヾ、 / / |{ \ ii / }} ヘ 行動フェイズ 夜 山小屋 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 500 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 02 44 42.32 ID Bu9Ba9b7O [3/4] 京太郎「バイトするか」 穏乃「私も行こうかな」 京太郎「えっ?」 _ , . .―<_ _ ‐.、 ,∠ _ ; ― 、 \ . \ / \ i ヽ . \ / ハ ヽ ハ ヽ ,´ / '; V } . ヽ / / / ; ! } ヽ ';. /. . . . ヽ // ハ .ハ { 川ヽ ハ ! }/ . . . . . . ', {ハ ! l-l l‐く 、j_j_レ V / . . . . . . . . . . ',. { { { r弋芯, 示≧z} /⌒)\ . . . . . . ハ ヽ ヽ ハ ゞ┘ ゞ‐"/ .イ ノ V . . . . . } { !ヘ""" ' """ イ }´_ V . . . . . i } V ', ゝ _ /〃 / } ハ . . . . ハ ! V { / >┬< / // 人 j .ハ . . . ハ} VV /./ ヽ ,zァ .ノ// \ レ } . ./ } / 〈 // /、 く三彡= " _ _ ヽ i ./ ノ j ヽ〃 丶ヾ _ ―へ } ', ノノ. / ∨ 〈 / 〉 ハ ', / ;/ 〃 Y´/, _...- 彡ノ ヽ ヽ / ;/ 〃 `く〈 イ三-‐ ´ '; l. / ;/;人 ノ '、 〃{ '; ',. / ;;//;;;;;i` ` 〃 ;\ ';; ヽ. 〈 〃 ;;;;;ハ 《 ;;;;;ヘ ヽ;; i V 〃 ;;;;;;;} }} ;;∧ '; } } 《 ;;;j 、 }} く ヽ / } ヾ、 ;ノ ' }} 〉 \ ノ 〉 ヾ 〈 〃 〈ヽ \ ー" / ヾ\ /" / 〉 へ 〈 _ ― 二ヾヽ\ /" ´ // ノ /イ ヽヾYィ" //´ } { / ヽヽ 、_し〃{ _ ―=彡" }  ̄ {\ー‐'/ H―' ̄ j {  ̄ {} ,′. { {} / 1.土方 2.松実館 3.ボーリング場 4.山のゴミ拾い 安価下3 506 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 02 52 34.17 ID Bu9Ba9b7O [4/4] 土方「あれ?あれれ?」 土方「お嬢ちゃんは何もしなくても大丈夫だぞ」 穏乃「私力強いですよ!」ヒョイッ 京太郎「」 土方「」 重機を軽々しく片手で…… --- 土方「うーっしお疲れ、今度新しい仕事教えてやるよ」 土方「次は地方の仕事だ」 京太郎「はい!」 --- prrr 京太郎「電話だ」 穏乃「誰かな?」 自由安価下3 510 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 03 00 22.71 ID /i9go5WmO [1/2] 玄 63 玄「麻雀部で今までありがとうね」 玄「弟子が居ないのは少し寂しいよ」 京太郎「師匠……大きいだけがおもちではないって……俺……分かりました!」 玄「……!」 玄「合格だよ!」 穏乃「……ばか///」 ,. ´ ` ヽ、-.、 / ヽ \ / ∧ 、 ヽ ヽ / / ヽ } ヽ ヘ ヽ / / / / ヽ } ヽヽ } ヽ { / ト、ハ / '; 人 _レ ',V/ } ヘ { ハ i i`'ト L__ vi ,レへ {\ } ! / ヘ ハ ハ! V レ ` V / } ./ ハ ヽ ハ 三三 三三三 i V .ハ ヽ V } ww ww } レi ハ ヘ i { 、_,、_,、_, u イ / ! ハ i V>. 、_ ー―' z≦ ! . / } j } ヽ ヽヽ ヽ { エニ彡 ニ }_/l / | ∧ / } _ゞくトニiiニニ- ´ノ レく レ i ハi / ヽjj ―  ̄ ヽ } / ノ / i 《 i ! / j ! 〃 / } レ' l V ll / ;. j { ll / / 一日が終わりました 511 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 03 01 48.31 ID /i9go5WmO [2/2] 京太郎「うーんっ」 ユサユサ 穏乃「朝だよー」 京太郎「お、おはよう……」 穏乃「んっ」チュッ 京太郎「……!」 朝 行動フェイズ 1.登校 2.引きこもる 3.サボる 4.自由安価 安価下3 515 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 03 08 28.29 ID +aKkcwF2O [1/2] 京太郎「サボるって言っても俺は学校に行っても部活やらないから本当に行く意味がないんだよなぁ」 穏乃「じゃあ私がサボる」 京太郎「え?大丈夫なの?」 穏乃「嘘だよ、今日は部活休み」 京太郎「なんだ、良かった」ギュッ 穏乃「あ、やっぱり」 穏乃「んっ」チュッ --- ∠┴.<ヘ7ユ. .-――. . . .、 _ / ―. 二> ´ ヽ/ \ / ―= / ( \ (三三゙/ / / ハー―ト ヽ / ヽ ヽ /‐" i / / /_ミ ノ } / V ヽ / ハ リ / んV ノ ノ ノ V ハ / /ノ /;ソイ /イ V ヘ / 〈{ /////// イ ノ V ハ ! ゝ「⌒ヽ / /T ノ V i ヘ.〈 >┴' へ三三<ユ _ ´ } i ! ハ `ヽ、 i \ニニミュ ヽ j / j } ! ` < ! \ / / / ハ } ` < i V / / / } ! / ヽ / / / / j j / / / / / / ./ , / / ./ / / / i // // // '; // / / / V 彡 / /< ヽ >、_ 〈\ 彡三三三ミ、 >、 〉┘ // \\ 二=-.、__ { // U ヽ┬<三ニ=へミ、ミ, / // u } V Vヘ 〈 /// } ヽ ヽハ // ′ j ) V ヘヘ 〈《 ′ ノi u U } ヘハ ヾ { ' 〈 } 〉〉〉 { ( / } ' /// ゝ U ィ ∥ / /// { - ‐ ´}´⌒/ゝ´ / ', } / 人 u / ヽ j /イ , ヽ ,' / 〃 , ′ ヽ u i / / ' 穏乃「京太郎っ……京太郎……!」 --- 行動フェイズ 夕方 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 523 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 08 51 05.34 ID zdAVUNhCO [3/3] 京太郎「バイトすっか」 穏乃「どこの?」 京太郎「?」 1.土方 2.松実館 3.ボーリング場 4.山のゴミ拾い 安価下3 528 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 12 58 23.17 ID cMAFfUCXO [2/2] ゾロ目ボーナス!どうして!? 土方「またお嬢ちゃんも一緒かい」 穏乃「まぁ……はい」 京太郎「あはは……すいません」 --- 土方「中々やるじゃねえか」 土方「新しい仕事、紹介してやるよ」 京太郎「はい!」 穏乃「わーい」 穏乃「宿とご飯付きで地方に飛ばされる仕事だって」 京太郎「へぇ……」 土方「貴方は運が良い……」 土方「次こそは娘と……」 --- 行動フェイズ 夕方 1 「雀荘に行ってみようかな」 2「街をうろうろするかな」 3「メールしようかな」 4「電話しよう」 5「LINEしよう」 6.バイト 7.TwitterとFacebookに登録 8.自由安価 安価下4 533 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/19(木) 17 44 57.07 ID C7k/+iRGO 京太郎「今後の身の振り方について」 穏乃「どうしてそんな事を考えるの?」 京太郎「いや、憧が怖いし」 穏乃「あ、京太郎にとってはそうだね」 穏乃「でもそんな、憧が私の恋人をとって壊そうなんてする訳無いよ」 京太郎「うーん……そうなのかなぁ」 穏乃「大丈夫だよ、きっと」 京太郎「分かった。何かあったらすぐに連絡をくれ」 穏乃「OK」 穏乃「京太郎も何かあったらすぐに言ってね、駆け付けるから」 京太郎「おう」 prrrr 京太郎「あ、電話」 自由安価 安価下2 537 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 00 04 20.60 ID yjF5GZ27O 憧「あっ京太郎?」 京太郎「切ってもいいか?」 憧「酷いこと言うわね……シズに嫌われるわよ?」 京太郎「っつ……!」 穏乃「京太郎……?」 京太郎「出来ることならお前に嫌われたいよ」 憧「無理言わないでくれる?」 京太郎「何の用だ?」 憧「明日……迎えに行くから」 京太郎「……!?」 憧「あ、逃げても無駄よ」 憧「京太郎が何処に居るかなんて絶対分かるから」 京太郎「……!」 憧「おやすみ、良い朝を」 プツッ ツーツーツー 京太郎「……」 自由安価下6 多数決 1.穏乃を連れて逃げ出す 2.寝る 544 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 00 15 38.89 ID EkPfl/n3O 京太郎「行くぞ、穏乃」 穏乃「う、うん」 穏乃「でも……何処に?」 京太郎「何処まででも」 穏乃「それ……最高だね」 --- 京太郎「ただひたすらに走ってはみたけど……」 憧の家から離れた方を目指して全速力で駆け抜けてはみたが、辺りはまだ暗いから油断ができない。 京太郎「お前……息切れしないな」 穏乃「体力には自信あるからね」 京太郎「ははっ……やるね」 穏乃「うん」 憧「読み通りっ!」 憧「電話もこの辺りでしたのよ?気付いたかしら?」 京太郎「もし俺が寝てたら……」 憧「そのまま朝になるまで待ってから迎えに行くに決まってるじゃない?」 素っ頓狂な声、呆気に取られた顔、さも当然かのように答える。 この女、歪んでいる。 憧「もう学習し尽くしたから、逃がさない」 京太郎「っつ!」 0~50 あっつ~い 51~99 脱出 547 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 00 29 14.57 ID +p+kU4EzO 憧「凄い身体能力ね、二人とも」 憧「これ、今までで一番難しいわよ?」 --- 京太郎「はぁ……!」 穏乃「……!」 京太郎「はぁ……!」 京太郎「驚いた……あいつ」 穏乃「憧……怖いよ」 宥「あっ……穏乃ちゃんだ~」 / `ヽ, / , ′ / / { ′ , / ′ { │ ′ │{ │ | | { ノ !八 トミ ! | } │ { | | \ | l\ . | | } { | 从 |\|i \|\| \ | | } { | ! 斗云f f云ミ `| | } { | | しzノ しzノ | | } { | | 〃〃 .. ; .. 〃〃 ! | } { i | |i ′ | } リ | 从 ____ 从 j } { | . {个 ... `ー´ ... 个 / リ { 八 乂........〕ト r<......} / 八 { \(⌒^..........`"""""´.........ノイ / \ 八 「`.................................................八 /"', 丶 / V V.............................................../ /......} ,. / √V V゙"*。.,.............................../ /"""`ヽ ′ / | V V i""""了i'""""/ / Y ,. / | V | 乂___ノ ,乂___/ / / } ′ / | }ノ} | {_____} {_____{ { / 八. / { | } 八 V / { { .′ /.....\j } {/i{ 叭i jイ八` ∨ / 乂{ヽ{ /.............} ノ { 八 {...{ ´ \ V / /}.............八/\. /......\ {...V ヽ δ / }.........ノイ........... \. /.................`.....V } / ノ.................................. \ 宥「こんな夜遅くにどうしたの?」 宥「旅館に泊まりにおいでよ~」 穏乃「良かった……宥さんの所に行こう!」 京太郎「……」フルフル 京太郎「行くぞ、穏乃」 穏乃「どうしてさ!?」 京太郎「包丁持ってるぞあの人」 穏乃「っ!」 闇夜に鈍い光が映える。 間違いなくその凶器は穏乃が近付いた時に刺すための物だろう。 宥「残念……穏乃ちゃんの血なら私もあったかくなれたのにな……京太郎君を奪った穏乃ちゃんの血なら」 0~50 アコチャー 51~99 脱出 551 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 00 39 43.40 ID Gzhf0XvvO そろそろメインヤンデレヒロインを次週ヒロインに選んだデメリットをだな…… クッソ有能なドラゴンロード様が降臨してくださったと聞いて 穏乃も選ばれしヒロインだったのか…… 宥「って……あれ?」 宥「逃げられちゃった」 --- 京太郎「よし、逃げ切れた」 穏乃「うん、良かったね」 京太郎「よし……もう追ってこないよな」 穏乃「でも……憧と宥さんの事……警察に通報したくないな」 京太郎「ああ……そうだな、どうしよう」 穏乃「うん……どうしよう」 穏乃「……」ザワッ 京太郎「どうした穏乃?」 穏乃「うぅ……!」ゾクゾクゾクゾクッ 穏乃の様子が明らかにおかしい。 0~50 悪魔降臨 51~99 遠方へと 558 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/06/20(金) 01 21 27.77 ID Xfgleg31O [1/3] 目が一周、グリンッと回ったのを俺は確実に見た。 穏乃「ん~っ」コキッコキッ 穏乃「殺せばいいね」 穏乃「普通の恋愛をしたかったのに、あいつらはもう……」 穏乃「よし、殺そう」 京太郎「何言ってんだよ穏乃!」 穏乃「あ……ごめんごめん」 穏乃「冗談だよ」チュッ 0~50 アコチャーコロコロ 51~99 ユウネェコロコロ 564 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 01 40 17.89 ID nAeqjGVIO [1/3] 結局、穏乃も俺も自分の家に帰る事にした。 京太郎の部屋 京太郎「はぁ……疲れた」 よし、寝るか。 --- 穏乃「京太郎の部屋の合鍵を持ってるのは私だけ、えへへ」 穏乃「全国大会、荷物持ちお願いね」 京太郎「分かった」 穏乃「皆の為……にね」 --- 京太郎「っっっ!」ガバッ 京太郎「朝か……」 prrr 京太郎「穏乃から電話だ」 京太郎「もしもし、どうした」 穏乃「京太郎っ……!京太郎ぉ……!」ハァハァッ 声が上ずっている。 パニックになっているようだ。 京太郎「どうした!?」 穏乃「私っ……私……オエッ」 京太郎「穏乃!?」 565 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 01 43 34.73 ID nAeqjGVIO [2/3] 「ーー宥さんと憧を殺しちゃったよぉ」 567 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 01 46 25.90 ID nAeqjGVIO [3/3] epilogue ーーKarma 569 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 01 55 56.06 ID 3Z7anAhkO 京太郎「はぁ……!はぁ……!」 京太郎「穏乃……!」 穏乃「どうしよう……私……私……」 穏乃の部屋、何も無い。 穏乃は憧と宥さんを殺したと言っていたのに、一切の跡も無い。 証拠が一切無い。 京太郎「……」 京太郎「どうやって殺した……?」 穏乃「分からない……ひっく」 穏乃「でも、私が殺した……私が殺したのを私はその目で見た」 京太郎「どう言う事だ……!」 「ね?言ったでしょ?」 「穏乃に手を出すのは私じゃない」 「やっぱりこうなったわね」 「しあわせになんか、ぜったいさせない」 京太郎「!!!」 憧の声が聞こえたような…… 穏乃「どうしよう……どうしよう……京太郎ぉ……」 焦燥している、呂律も回っていない、このまま放っておいたら危険、余りにも危険だ。 京太郎「二人で遠い所に行こう」 京太郎「誰も追ってこない所へ」 穏乃「……うん」 572 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 02 01 49.60 ID eD0nbvhhO 穏乃「ここ……どこ?」 京太郎「お前は気にするなって」 京太郎「自然、綺麗だろ?」 京太郎「俺の地元だ」 穏乃「うん……凄く綺麗……」 穏乃「寝る所とかは……?」 京太郎「ここに山小屋がある。二人が住むにはピッタリだ」 穏乃「あははっ……最高だね」 穏乃「……」 京太郎「……」ギュッ 花が咲き狂う山の中、俺は穏乃を抱き締めた。 必死に、逃さないように。 穏乃「京太郎……ありがとう」 京太郎「ずっと一緒だぞ」 ーーこの日以来、穏乃は人間がする食事を一切取らなくなった。 574 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 02 08 22.52 ID SYBTTeJrO [1/4] 穏乃「ただいま」ガチャッ 京太郎「……何処に行ってたんだ?」 穏乃「動物と戯れてた」 京太郎「随分と元気だな」 穏乃「うん……どうしてだろう」 京太郎「何も食べてないのにな、おかしいぞ」 穏乃「分からないよ……京太郎の料理好きな筈なのに……食べられない」 京太郎「……先に寝てていいぞ」 穏乃「うん、おやすみ」テクテク 京太郎「……」 一度街まで行った時に拾った新聞。 日付は今日。 内容はおぞましいものだった。 長野県民の連続行方不明事件だ、難解な事件だが一つだけ。 俺だけが分かる事実があった。 行方不明の時刻が丁度、穏乃が遊びに行っている時の時間と被っているのだ。 俺は既に分かっていたが、止められる筈も無かった。 穏乃と共に居たいと言う、俺の業が破滅を呼んでいた。 577 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/06/20(金) 02 16 00.64 ID SYBTTeJrO [2/4] 穏乃「京太郎……」 穏乃「わたし……可笑しくなっちゃった」 京太郎「知ってる」 穏乃「ごめんね」 穏乃「ねぇ知ってた?」 穏乃「カマキリって……」 京太郎「もうこれ以上言わなくて良い」 俺と穏乃は涙を流していた。 夜の暗い山小屋の中、警察の捜査も本腰に入って来ている。 ここに居られるのも時間の問題だろう。 / `>、 ヘ / \ヘ / ∧ ヽヘ /,イ / / / ∨ | | ∧ ', // / / / ∨ j, | l! } l / ′ ムム / } ト 〈! イ | | { l! | 八' { ' ` | / !| /j /メ ′ | 八 {|! ! | ,r_芋ミ !',r示/ミ' ! / ′ 〉!.〉 乂' ト } ん ;ハ,' / / | /' 〃 、_! 乂_ソ 乂__,ソ,jイ /` } | / ノ l ハ |! ,,,,, ' ,,,,, / ゙ ノ ''! | / / |! ! ∧ ー─, / /'' /j | / // | ヘ ! .、 ゝ - ,イ/ / / ,' | // ,/' ∧ | '> <ノ\/ / / ' r 、 r,_. 〃 ,/ ,r七´ ̄' / ヘ ,r<´/ ,/'' / / / j ! /ノ } / / ! 〈. 〈 /⌒、 / `ヽ、' / { .{/ / / /) ./ / j ィ7`ヽ',Y /,∧,ノ / \ / | / / ,// / / ! { `-/´⌒} \ ヽ ヘ (--`ヽ Y{ / |〈! ノ-{ / / } ,人__ ,,,)〈' ∧ ノ ! ′ .! 乂 / { ゝ イ) / / / 、 \ ヘ ノ l ! `| ゝ- ' ´ ./ 〈 穏乃「……」ニコッ 穏乃「お願い……分かるよね」 ポタッポタッ 木の床にシミができる。 俺はもう……穏乃の為なら身を捧げる事が出来た。 京太郎「最後だ、聞いてやる」 578 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 02 16 47.61 ID SYBTTeJrO [3/4] 「ーー私を殺して」 580 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 02 23 43.96 ID SYBTTeJrO [4/4] 京太郎「~~ッ!」 京太郎「どうしてだ!?」 タガが外れた。 感情が爆発する 京太郎「俺を食べるんじゃなかったのか!?」 穏乃「あはは……やっぱり分かってたんだ」 穏乃はばつが悪そうに笑う。 穏乃「……」ギュウッ 俺を抱き締める、体を精一杯密着させているのが分かる。 それから俺の顔を凛と直視して、尚も言い張った。 穏乃「私は最後まで“私”で居たい」 穏乃「だから、お願い京太郎」 穏乃「私がまだ人である内に、私を殺して欲しい」 穏乃「次、会う時は絶対に壊れない」 穏乃「絶対に京太郎を幸せにする」 京太郎「……力抜いてくれ」 穏乃「うん」 京太郎「首、痛いけど……息、苦しいけど……我慢してくれ」 穏乃「うんっ」 京太郎「……」スッ 穏乃「あ、待って」 京太郎「……」 穏乃「大好きだよ京太郎。貴方に会えて良かった」 穏乃「ーーさよなら」 582 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 02 27 37.18 ID Xfgleg31O [3/3] ググググッ ギュウッ ゴキッ ´ ‐ - ,,` <_ _ _ _ - ― -= 'イ / / ` 、`<--- < ´ < ヽ ヽ _ _ _ _ < ー--- .' ` ∨ \ ` <´ )! . / \ ∨ \ ` -'/ _/ 、 ',  ̄ ー _ / / ,' \ ヽヾ ', / ' ! l、 ヽ、 >-ハ , ヽ ', <__ ノ | l | ヽ ! / | ', ヾ ヽ ヽ _ = ---  ̄ ̄ | .! / ! ヽ ! ', .l } リ 'ゝ-- ''" \ | ', / l ヽハ ,'l リ! / 〃 ヾ、 .! ' / ⌒ \ | y l l! リ ! / !イ彡' '''ヽ |\ \ \ l 7 ' ', / !/ \ \ \ __ \ | l l ', ト/_ 〃 , ノ ./ |__` ー--- ==ミ __ ` 、 | l |! ',ヽ ∧ 彡'' ,,.イ < γ´ _ -  ̄ ヽ l !| ', ヽ ', \ ゝ > ''' < /  ̄ \ , l ヽ \ \ \ ,, -<´ / __ -= \ , > ==-- < ____/ー=  ̄ . ', / ', { > ,, ! 京太郎「……」ナデナデ 京太郎「ァァァァァァーーーアアアアアアアアアァァァァァァ!!!」 俺もーー共にーー 585 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[saga] 投稿日:2014/06/20(金) 02 43 30.46 ID ZYUKQZGuO [1/5] ピーッザザザーッザザッ 「長野某所山奥の小屋に身元不明の二人の男女を発見」 「片方の女子の遺体は長野連続誘拐殺人事件に関わりがあるものとして捜査、遺体を抱き締めている男子が殺害したと見られます」 「山中の奥から発見された死体の山との関連性も捜査」 --- 「男子の方は死に切れなかったみたい」 「可哀想に」 「女子の方は何にも食べていないみたいね、酷く衰弱していた痕跡があるわ」 「ひどい……衰弱させてから首を絞めて殺すだなんて」 --- 京太郎「……!」 白い天井、ベッド。 ああ……そうか、俺は…… なら、やる事が最後に一つだけある。 京太郎「あ、そこの刑事さん」クスクス 警察「目覚めたか、良かった」 京太郎「ふふっ……」 穏乃……お前は純粋、穢れがない存在なんだ。 京太郎「阿知賀の奴も……長野の奴も……穏乃を殺したのも……」 京太郎「ーー全部俺がやりました」 カンッ 595 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 13 15 02.10 ID dr5hFnaNO ヤンデレとは一体なんだったのか、そればかりが 1を苦しめる いやぁ……それにしても辛いお話でしたね(他人事)投下てる時は苦しくて笑いが止まりませんでした。 穏乃ルートは悪魔共々封印されました 次回穏乃ルート選択時は(土方を使うまでも無く回避してたので)土方使用可能。 現在解放されているのが ゆみルート 穏乃 一 衣 照 淡 怜は封印中 (ピンチになったらハギヨシ登場を使う機会もない程に怜と穏乃はコンマを全回避しました。次回怜か穏乃ルートのピンチ時に使用できます) 記憶引き継ぎに関しては とある一定のコンマを引いたヤンデレのみ引き継ぎと考えています(高校が同じキャラの場合)ので、安心して前回選んだ高校も選んでください。 (永水を選ぶ時は一応確認をしますが復讐編かどうかを明記してください) 前回ヤンデレだったあの子も……ヒロインだったあの子も……! プロローグ 意識が混濁としている。 酷い夢を見ているようだ。 何回も何回も酷い目にーー 咲……? 京太郎「はっっ……!」ガバッ 京太郎「夢か……」 京太郎「嫌な夢を見てしまった」 京太郎「そんな事よりも今日は入学式だ!」 京太郎「楽しみだな」 可愛い女の子と……うへへ。 次に行く高校は? 前行った高校でもあり 前行った高校の場合は記憶引き継ぎ安価します 安価下9 623 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 14 01 31.86 ID o3P7KQNSO [2/4] ケッ 漫 50 由子 91 洋榎 29 絹恵 85 恭子 8 郁乃 24 ケッ 通学路 京太郎「入学してから結構経ったなぁ」 京太郎「そろそろ全国だ」 俺も雑用頑張らないとな 京太郎「あ、あれは」 0~20 漫 21~40 由子 41~60 洋榎 61~80 絹恵 81~99 恭子 安価下1 627 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 14 18 14.02 ID o3P7KQNSO [4/4] ゾロ目ボーナス! 絹恵 好感度max 依存度 135 絹恵「あ、京太郎君」 京太郎「絹恵さん、全国出場おめでとうございます」 絹恵さん、やけにモジモジしてるな……うん。おもちとか色々凄い事になっております。 絹恵「あのな……」 絹恵「うちな、京太郎君の事が好きなんや」 京太郎「え?」 京太郎「マジですか?」 絹恵「真剣の、真剣。大真面目やで」 京太郎「うーん……」 たわわなおもち……すばらですよ。 1. 拒否 2.喜んで 安価下5 643 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 16 11 35.73 ID xwVIwLjgO [2/5] エピローグ 京太郎「絹恵!待ってくれ!」 絹恵「うるさいわアホ!」 京太郎「謝るから~!」 洋榎「京太郎の奴……次は何をやったんや」 由子「エッチな本を隠し持っていたらしいのよ~」 洋榎「それだけかいっ!?」ビシッ 京太郎「絹恵~絹恵が一番だからー!」 絹恵「……」ピタッ 絹恵「ほんまに……?」 京太郎「うん」 絹恵「んっ……」 京太郎「え……ここで?」 絹恵「んっ……」 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . \ . . . ヽ , . . . . . . . ./ ̄` . . .\ . . . .ヽ. . . . . i. . ./ . . / \ . . . . . . . . . . . . |. . i. . / \. .|. . . . .| . . .│ |i . |. i | -――| . . . . . . . . | |i.│Ν―- - iИ. . . |. . .i i| |i八| - ィチ灯 |i . . .|. . .i i| |i. .K不灯ミ 〃 ∨)ツ リi . |│ . i i| |i. 〔ト ∨ツ》= -====行!. i|│ . . i| |i 小== , ///|i. .i │ . . i| |i. |八 // 、 , |i. i . .|. . .|八__ノ|i /| |i.i. .个 . /|i i| . |. . 丶. . .厶イ. | |i. . .| . .|> ,_,,.. ´ __|i i . .| . . . . . . . . . ..,ノ |ト--リ. . .i. . j__ノ八|__r< |i | .八. . . . . 乂|/| |\_乂__厶. . j. ./| /⌒} 八 i从. . . . ー=彡. . .,;人 乂. . . . . . . . . ./ [/{{ ∧八_.\. . . . . . . .ブ ァァ--=彡 __....{{____,,∠..__ ̄\ ー=ァァ彡 |. 〈人 }/ /¨¨¨ア不¨¨¨¨¨\ / / く| / У {{__/イ | |\___}} ∨ | / /  ̄/│ |  ̄ ̄´ j/ 丿 恭子「はよキスせえや!」ゲシッ 漫「バカップルやで」 郁乃「はえ~」 京太郎「っ!」 チュッ これからも、幸せにーー 洋榎「めでたしめでたし、やな」 カンッ 651 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 16 30 18.93 ID PYqbW4j2O [4/5] 一旦ここまで、後でまた投下 おめでとう! 穏乃ルートは悪魔共々封印されました 次回穏乃ルート選択時は(土方を使うまでも無く回避してたので)土方使用可能。 現在解放されているのが ゆみルート 穏乃 一 衣 照 淡 怜は封印中 (ピンチになったらハギヨシ登場を使う機会もない程に怜と穏乃はコンマを全回避しました。次回怜か穏乃ルートのピンチ時に使用できます) 記憶引き継ぎに関しては とある一定のコンマを引いたヤンデレのみ引き継ぎと考えています(高校が同じキャラの場合)ので、安心して前回選んだ高校も選んでください。 (永水を選ぶ時は一応確認をしますが復讐編かどうかを明記してください) 前回ヤンデレだったあの子も……ヒロインだったあの子も……! プロローグ 意識が混濁としている。 酷い夢を見ているようだ。 何回も何回も酷い目にーー 咲……? 京太郎「はっっ……!」ガバッ 京太郎「夢か……」 京太郎「嫌な夢を見てしまった」 京太郎「そんな事よりも今日は入学式だ!」 京太郎「楽しみだな」 可愛い女の子と……うへへ。 次に行く高校は? 前行った高校でもあり 前行った高校の場合は記憶引き継ぎ安価します 安価下9 690 名前: ◆3tY9LUZmV5E6[] 投稿日:2014/06/20(金) 23 24 57.72 ID x7gEGk4eO ゾロ目に挟まれるのも怜らしい 怜 17 泉 16 浩子 53 セーラ 90 竜華 9 雅枝 87 名門 千里山の入学式だ! 京太郎「よ~し……麻雀部に入って頑張るぞ」 --- 通学路 京太郎「大阪は慣れないなぁ……」 0~20 怜 21~40 泉 41~60 浩子 61~80 セーラ 81~99 竜華
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前話 次話 ガタンゴトン... 京太郎「……どうしてもわかってくれませんか」 玄「それはこっちのセリフだよ!」 玄「京太郎くんはアレを知らないから! だからそんなことが言えるんだ!」 京太郎「状況証拠だけじゃ計り知れない物があるんです。 物事をもう少し客観的に見たらどうなんですか?」 玄「それを言ったら堂々巡りだよ! 結論付けるための主観でしょ!?」 京太郎「だからここで終わるにはまだ早いって言ってるんですっ。もっと詳細を議論して……」 玄「むぅぅぅぅ………」 京太郎「ぬぅぅぅぅ…………」 玄「……じゃあ……じゃあ何度も言うけど……!」 玄「やっぱり小瀬川さんのおもちが一番だって!!」 京太郎「いーえ、姉帯さんが一番ですっ!」 玄「ハリ!ツンと上を向いた形!そして沈み込む柔らかさに確かな弾力!!」 玄「小瀬川さんは、その女性なら誰でも憧れる要素全てを持つ【臼沢さんのおもち】をも超えるおもちをお持ちなんだよ!?」 京太郎「確かにそれは理想のおもちかもしれません」 京太郎「……だがそれはあくまで【女性理想のおもち】なんです!」 玄「な……なんですと!!?」 京太郎「【男性理想のおもち】というのは、なによりも包容力があること!」 京太郎「姉帯さんの高身長に負けず劣らずのあのおもち! それにマッチするのほほんとした性格!」 京太郎「想像してみてください!! 姉帯さんに、『ちょーがんばったねー』と言われながら抱擁されるところを!」 玄「お……おお……っ!」 京太郎「女神のような優しさと温もり……母性感! 全てを包み込むような……安心感!」 京太郎「それが姉帯さんのおもちにはあるんだ!!」 京太郎「形だけでも……大きさだけでも……柔らかさだけでも足りない!!」 京太郎「全てがあって【姉帯さんのおもち】なんだ!!!!」 玄「ッ!!!!」 玄「くっ……やるようになりましたね……【同志】!」 京太郎「この程度で驚きすぎですよ……【師匠】……!」 玄「……なら、私からも言わせてもらいましょうか…………いいですか? 小瀬川さんのおもちは……」 玄「【だらしないおもち】だ!!」 京太郎「な、何ィ!?」 玄「同志は三大条件の1つ【柔らかさ】をその身で体験してないハンデがある! だから分からないのも仕方がない!」 玄「私はあの日……ジャコスの家電店で臼沢さんと小瀬川さんのマッサージチェアに近づいた時……私は驚愕した!!!」 玄「小瀬川さんのおもちが……【揺れてなかった】んです!!!」 玄「通常あれほどのおもちだ……少しの振動でも揺れるのが定石……。 事実臼沢さんのおもちは上下していた……」 玄「しかし小瀬川さんは揺れなかった! 完璧な形を保っていたんです!」 玄「詰め物だったのか?と、一瞬ヨコシマな考えが脳裏を過りました」 玄「しかし……あのおもちに触れた時! 私は二度驚愕した!」 京太郎「………ゴクリ」 玄「全ては【ブラジャー】にあったのだと!!」 京太郎「ブラ……ジャー……?」 玄「そう……―これは女の子にしかわからないことかもしれませんが―……小瀬川さんのブラジャーは特別固いものでした」 玄「気が付きませんでしたよ……初見では見抜けなかった……この【おもちスカウター】をもってしても!」 玄「いったいどうしてこれほど固いブラを? より強く触れた瞬間、全てを理解した!」 玄「小瀬川さんは胸筋がまるで無い!!」 京太郎「!?」 玄「……これの指す所……わかりますね? 同志」 京太郎「ま……まさか………」 京太郎「……【縦横無尽に揺れるおもち】……!」 玄「……exactly」 玄「きっと普段のだらけきった態度のせいか、おもちまでだらしない性質をもってしまったのでしょう」 玄「自制がつかず……形は触れれば触れた分、自由に変わり……ちょっとした振動でもかなりの揺れ……」 玄「だからこそあのブラジャー! きっとあのブラの内側ではおもちがひしめき合っているハズ!」 玄「おもちが垂れず、されどだらしなさを秘めるおもち……」 玄「あの性格だからこそ生まれた……それが【小瀬川さんのおもち】なのです!!」 京太郎「!!!」 ガクッ... 京太郎「か……完敗だ……」 京太郎「洞察力……推察力……表現力……」 京太郎「どれも……今の俺じゃあ敵わない……」 京太郎「俺は……俺はァ!!」 スッ... 玄「面を上げなさい、【同志】」 京太郎「!!」 玄「確かに、あなたはまだまだ未熟だ。 千里の道の一里すら歩いていない若者でしょう」 京太郎「……ッ」 玄「だけど……それを卑下することはありませんっ」 玄「なぜならソレは! 未知なる可能性を秘めることを指しているから!!」 京太郎「!」 玄「あなたの目の前には無限の道が広がっているのです!」 玄「そして!それをあなた自身の足で踏破できるのです!」 京太郎「……ッ……ッ」 玄「……先ほどの論述、素晴らしいものでした……この短い間でよくここまで言えるようになりましたね……」 玄「……よく、成長しました」ニコッ 京太郎「【師匠】!!!!!」 玄「【同志】!!!!!」 バッ!! 玄「さぁ、この胸の中へ飛び込んで――」 京太郎「あ、いえ。 それは結構です」 玄「あれ?」 玄「……フツーここで二人抱き合ってハッピーENDでしょー」 京太郎「電車内で抱き合う趣味はありませんし、4つ目の約束に違反します」 玄「んもーお固いですなぁ京太郎くんはー……初心なんだからっ♪」 京太郎「……それに……」チラッ 玄「んっ?」 ヒソヒソ ヒソヒソ ヒソヒソ 京太郎「……流石に目立ちすぎました」 玄「あ、アチャー……」 ――22 00 玄「ん~~~!」 玄「東京だ―!!!」 京太郎「元気っすねぇ。 例によって夜だってのに」 玄「東京は夜の街だよ! むしろワクワクしてくるね!」 京太郎「そんなもんですか」 玄「あっ! メイドさんだ!! こっちにはアニメキャラクターみたいな格好の人もいるー!!」 京太郎「こら、指ささない」 玄「建物そこらじゅうポスターだらけ!! 道端はゴミだらけの異臭マンマン!!」 玄「流石東京だね!! 京太郎くん!」 京太郎「元気なのはいいんですけど田舎者過ぎる反応なんでホント止めてくださいホント」 玄「えへへ」 京太郎「さて、ホテルはこっちか。 玄さん、行きましょう」 玄「え!? ほ、ほほほほ、ホテルゥ!?」 玄「だ、駄目だよ京太郎くん! 私達まだそんな関係じゃないし! あくまでこの旅は健全におもちを探す旅であってそんな……」 京太郎「?」 ――東横○ン 玄「………ホテルってビジネスホテルかぁ」 京太郎「そりゃそうですよ。なんだと思ったんですか」 玄「そ、そりゃあ……ねぇ……?」モジモジ 玄「……ラブ」 京太郎「アホか」ポコンッ 玄「あうっ」 フロント「二名様ですね。 お部屋は?」 京太郎「2つで」 玄「あれ? 1つじゃないの?」 京太郎「岩手ん時は相部屋で狭かったですからね。 バイト代も結構貰いましたし、少し奮発しようかと」 玄「ふーん……」 京太郎「ちなみにホテルから少し歩いたところにラウンド○ンあります」 玄「え!」 京太郎「明日、バイト終わったら卓球打ちに行きましょうね」ニコッ 玄「きょ、京太郎くん……!」キラキラ 京太郎「つーわけで俺はこっちなんで」 玄「あ、部屋隣なんだ」 京太郎「何かあってもすぐ駆けつけやすいですし。それではおやすみなさい、玄さん」ガチャッ 玄「はーい。 おやすみ、京太郎くんっ」ガチャッ バタンッ ――少しして。 玄「お風呂入った! 歯磨きした!」 玄「枕よし! シーツよし! おもちよーし!」 玄「いざ! ベッドイ~ン!!」バッ 玄「………と、見せかけて!」 玄「そう単純に終わる玄さんじゃあ無いんですなこれが!」ムフフ サッサッサッ 玄(こういうホテルには決まって横穴が~なんて…………) 玄「おっ」 スススッ 玄「……あ、あった……! 本当に……! 冗談だったのに!」 玄(いやはや、探してみるもんですねぇ!!) 玄「さあて……京太郎くんは何をしてるのかな~……っと」スッ 『……はい、お久しぶりです』 玄(む? 誰かとお電話中なのかな? ……ベッドの所しか見えない~~!) 『明日の時間なんですけど……あ、そうですか?』 玄(お、京太郎くんの影が…………) 玄(ッ!!) 玄「うひゃぁ!!?」バッ 『ん?』 玄「……あわ……あわわわ…………」 玄(み、みみみみみみ……見ちゃった……) 『クシュンッ。 ……ああ、いや風邪じゃないですよ。 ただ……』 玄(きょ……京太郎くんの……!) 『風呂あがりなもんで』 玄(マッパ!!!)パオーン 玄「あわ……あわわわわ……!!」ドキドキ 玄(いい、いやいや落ち着け落ち着くんだ松実玄! こういう時は素数を数える!) 玄「そそそそ、素数が1つ……素数が2つ……素数が3つ……」ドキドキ 玄(それに! マッパとは言え実際見たのは京太郎くんの上半身だけではないか!) 玄「そ、そうだよ! ……よく見てなかったけどちゃんと下のほうはバスタオルしてた!」 玄「……ハズ……」 玄「……………でも」 玄(して……なかったら……?) 玄「………」 パオーン 玄「……………」カァァァァ ボンッ 玄「う、うひゃああああああああ!!!」 ウキャア! ウキャア! 京太郎「……? 玄さん……?」 『どうした? 随分騒がしいようだが』 京太郎「あ、いえ。 ツレがどうも騒がしい人なので。気にしないでください」 『そうか? まぁそれで、明日の時間なんだが』 『明日は午前練習の為、午後に来てほしい。午後なら何時でも良い』 京太郎「はい。 午後に白糸台ですね」 『……態々遠くから来てもらって図々しいかもしれないが……』 京太郎「いえいえ、お気遣い感謝します」 京太郎「他に何かご要望はありませんか?」 『ん、特には無いかな。 何かあったら当日言うさ』 京太郎「了解です。 それでは、また明日」 京太郎「おやすみなさい。 弘世さん」 菫『ああ。おやすみ、須賀くん』 ――翌日 玄「ほ、ほはよぅ……」 京太郎「なんでまた寝不足なんですか」 玄「ちょっと色々あって……」 京太郎「はぁ」 京太郎「……なんでこっち向かないんですか?」 玄「そ、それも色々あって……」 京太郎「はぁ」 玄「お仕事は午後なの?」 京太郎「はい。 だから午前中は東京を色々見て回ろうかと思ったんですけど……」 京太郎「調子悪いんでしたら行くの止めましょうか?」 玄「い、いや! 大丈夫! 大丈夫だよ、うん!」 京太郎「でしたらこっち向いてくださいよ玄さん」 玄「あうっ……うぅ……」 ――そんなわけで東京巡り 玄「京太郎くん! スカイ○リーだよス○イツリー!」 京太郎「実物見るの初めてっすねー。 おお、でかいでかい」 玄「高さ666メートル! そりゃあ高いはずだよねー」 京太郎「そんな不吉な数字でしたっけ」 玄「45……52……47……50……」ジロジロ 京太郎「………」 玄「おもちレベルの低いメイドさんばかりだね……」フッ 京太郎(他人のふり他人のふり、と) 玄「わお!! お持ち力65!! すばらなおーもちっ!!」 京太郎「へー、とらの○なって2店横並びにあるんだー。へー」 玄「ねえあれみて京太郎くん! あそこの人!」グイッ 京太郎「うわ、こっちくんなっ」 ――おみやげコーナー 玄「お姉ちゃんの好きそうなカイロはー……」 京太郎「おみやげにタコス……は無いか。……優希の好きそうなもん……」 玄「しずちゃんと灼ちゃんにはイソフラボンたっぷりの豆乳!!」 京太郎「あ、それ良い」 玄「……あっ。 京太郎くん見てみて、こんなのあるよ?」 京太郎「へぇ、東京湾から採れたワカメ……」 玄「うん、東京湾から採れたワカメ」 京太郎「ふーん……」 玄「迷った時は東京ばな奈!」 京太郎「部長と和にゃこれ贈るか」 京太郎(……咲には…………おっ) 京太郎「玄さん。 俺、あっちの本屋行ってきますね」 玄「はーい。 んじゃあ私精算しとくねっ」 京太郎「……最近発売のベストセラーか」 京太郎(咲の好きそうな本は…………これかな……) スッ スッ 京太郎「あっ」ピクッ 「あっ」ピクッ 京太郎「すいません……。 これ、どうぞ」 「そんな、先に手を伸ばしたのはそちらですよ。 最後の一冊ですし、そちらがどうぞ」 京太郎「別にこの本が欲しかったわけじゃないんです。 偶々目についただけ……」 京太郎「です…の……で……」 「? どうかしましたか?」 京太郎「………」 京太郎「咲?」 照「えっ?」 京太郎「あ。す、すいません。 人違いでした」 照「………」 京太郎「俺の友人に少し似てたもんで……どうもすいません」 照「…………君は……」 「京太郎くーん! お買い物終わったよ―!」 京太郎「あ、はーいっ。 ……それじゃあ、この本どうぞ」スッ 照「あ、うん」 京太郎「ではっ」タッ 照「…………」 照「…………咲……」 照「……きょーたろー…………」 ――13 00 玄「…………着いちゃったねー」 京太郎「ホントっすね」 玄「……校舎、大きいねー」 京太郎「威厳ありますよね」 玄「……なんか、怖いねー」 京太郎「そっすか?」 玄「…………」 京太郎「…………いい加減覚悟決めたらどうなんすか」 玄「だって今になって緊張しちゃってぇぇぇ」フニャァ 京太郎「気持ちはわからなくはないですけど、時間的にもう行かなきゃ……」 玄「やぁだやぁだー! まだここに居たいー!」ジタバタ 京太郎「駄々こねんな17歳」 玄「たすけてオネーチャー!!」 京太郎「ベソかくなおもち狂っ」 玄「スンスン……」 京太郎「…………全く……」スッ ガシッ 玄「うひゃあっ」 玄「え? な、何? なになにっ!?」アタフタ 京太郎「玄さん、俺たち何のためにここに来たんでしたっけ?」 玄「え? ……そ、それは……雑用しに……」 京太郎「たしかにソレも正解です。 でもそれはメインの理由じゃないでしょう?」 玄「……え……」 京太郎「探すんでしょう? 至高のおもち」 玄「……あっ……」 京太郎「おもちを求めるこの旅を提案したのは、玄さん、あなたですよ?」 京太郎「そのあなたが、たかが高校麻雀の頂点の麻雀部に行くだけで震え上がるなんてみっともない」 玄「京太郎くん……」 京太郎「もっと胸を張ってください」 京太郎「俺の【師匠】なんですからっ!」 玄「!!」 玄「……そう……だね……!」 玄「この程度のことで……へこたれるなんて私らしくありません!」 京太郎「!」 玄「行きますよ【同志】!! 今一時を大切に!! おもちは待ってはくれません!!」 京太郎「それでこそ俺の師匠だぜ!!」 玄「いざ!白糸台へ!!」 ダッ! ――五分後。 玄『……ここどこぉぉぉ……』 京太郎「……さっきの威勢は何処へ……」 玄『うへぇぇ……』 ――玄は見事、迷っていた。 京太郎「……なーにが『いざ!白糸台へ!!』ですか。 麻雀部の場所も知らずに突っ走って……」 玄『だってだって! あれはノリ的に走るでしょ普通っ!』 京太郎「校門くぐったらテンション戻しましょうよ。 玄さん全ツッパすると結構速いんだから……」 玄『うぅ……ごめんなざぁぁい……』 京太郎「……はぁぁ……」 京太郎「……それで? 今何処らへんかわかります? 周りの風景とか……」 玄『うぅん……左右に校舎があって……花壇がズラーってあって……』 京太郎「ふむふむ」 玄『それで……時計台みたいなのが近くにあるよ……』 京太郎「近くに時計台、っと。 他には?」 玄『それと…………あっ、アリさんの行列だぁ……』 京太郎「は?」 玄『……こうして……途中に小石置いて……通せんぼー』 京太郎「…………」 玄『えへへ……ワタワタしてる……可愛いなぁ……』 京太郎「……とりあえずそこでアリさん見ててください」 玄『うん! わかりました!』 ピッ 京太郎「ふぅ……」 京太郎「………………帰りてぇ……」 京太郎「……事前にパンフ貰っといて良かった……」ガサガサ 京太郎「えーっと……校舎の間で……時計台が近く……。 ……こっちか……」 京太郎「……この角を右折して…………っ!」 ドデンッ 「うひゃあ!」 京太郎「いてっ」 「っつ~~! もー! どこに目つけてんのよー!」 京太郎「あっ。す、すいません! 大丈夫ですか!?」 「いや、今のは後ろ向いてた淡が悪い」 「えー! なんでよテルー!!」 「……あっ」 照「本屋さんの……」 京太郎「え? ……あっ」 淡「んん?」 京太郎「しかしまぁ……咲とそっくりですね」 照「そう? ……そうかもね」 照「……あの子は元気?」 京太郎「元気ですよ。 中学ん時からずっとちっこいまんまですし」 照「そう」 京太郎「でも、あいつに麻雀の才能があるとは思いませんでしたよ。 お陰でなんか立つ瀬が無いというか……」 照「……そう……」 京太郎「昔っからあんな感じだったんですか? あいつ、随分小さい頃から……」 淡「こーらストップストップ! まだ私達、アンタの名前聞いてないんだけどー?」 京太郎「あっ、すいません。 そういえばそうでした」 京太郎「俺は清澄高校1年、麻雀部雑用係の須賀……」 照「きょうたろー」 京太郎「……えっ」 照「……でしょ?」クスッ 京太郎「……ど、どうやって……」 照「……」 照「秘密」 京太郎「秘密……っすか……」 照「……ふふっ」 クスクスッ 京太郎「…………」 淡「……」 淡(うわぁ……テルが営業スマイル以外で笑ってるよ……。 ブッキミー……) 照「聞こえてるよ」ガッ 淡「こ、声に出してないのに!!」 照「いいからホラ、淡も自己紹介」グイッ 淡「ううー」 淡「えー、白糸台高校1年大星淡! 1年生でありながら麻雀部の大将を務める超偉人も偉人!!」 淡「実力で言えば【高校100年生】! そんじょそこらの打ち手とはワケが違う!!」 淡「二年後は麻雀部部長就任確定で未来の白糸台を引っ張る重要な人間に……」 ポコンッ 淡「あうっ」 照「有ることだけ言う」 淡「て、テル~~」 淡「んまっ。そーいうわけでよろしくぅ!!」 京太郎「あ、ああ。 よろしく」 淡「んふふ~。どうやら私の威圧に押され気味のようかなぁ?」 淡「まぁなんてったってこの大星淡ちゃんだからね!! アハハハハ!!!」 京太郎「………」 京太郎(……うぜぇ) 照「ところで……咲は君のこと、なんて呼んでるの?」 京太郎「随分唐突ですね。 咲ですか? アイツは……」 京太郎「………『京ちゃん』って呼んでますね」 淡「ふぅん? 男女間なのに、随分フレンドリー」 京太郎「まぁ、数少ない中学からの友人だし」 淡「いわゆる幼馴染って奴?」 照「幼馴染……」 京太郎「そう言うのかな? 3年間一緒だっただけだけどさ」 照「……そう……」 照「なら、私も『京ちゃん』って呼ぶ」 京太郎「えっ」 淡「おお?」 京太郎「……な、何故に?」 照「咲は良くて私は駄目?」 京太郎「いや、別にいいですけど……」 照「なら良し」 京太郎「……は、はぁ」 照「……」ニコニコ 京太郎(なんか……嬉しそうだな……) 淡「んじゃ私もキョウタローって呼ぼーっと」 京太郎「え? ああ。別にいいけど」 淡「キョウタローも、淡って呼んでいーよ! ていうか呼べー!」 京太郎「わ、分かったよ。 淡」 淡「……んー♪ 他校の生徒に名前呼びされるなんて新鮮ー♪」 淡「私の名前を呼べること、感謝することねキョウタロー!」ズビシッ 京太郎「わーありがとうぜえ」 照「……それで京ちゃん」 京太郎「はい」 照「ここで何してるの?」 淡「ウチのパンフ? 広げて、こんな広いとこ突っ立ってて」 京太郎「………あ……」 淡「あれあれぇ?……もしかしてぇ……」ニヤニヤ 照「……迷子?」 京太郎「……いや……」 京太郎「正確には迷子探しです……」 ――― ―― ― ――13 20 中庭。 玄「アリさん……皆居なくなっちゃった……」 玄「あれからもう20分も経ってるし……遅いなぁ京太郎くん……」 「おい、そこの君。何をしてる? ウチの生徒じゃないな?」 玄「うひゃい!!?」 玄「いいいいいやいやいやいやあのその違うんです私全然怪しくないんですただそのおもちを求めて走ってたらいつの間にかここに居たっていうかここどこっていうかアリさんの行列が可愛いっていうか」 「……その反応……十分怪しいんだが……。 少し着いてきてもらおうか?」 玄「うひゃあああああ!!」 「先輩。 この人、例のバイトの……」 「ん? ……あぁ、そういえば確かに騒々しいな……」 「おい、君」 玄「ひぅっ! は、はいぃ!!」ビクッ 菫「須賀くんのツレというのは君のことか?」 玄「……ふぇ?」 玄「すいません……弘世さん……」トボトボ 菫「なに、気にしないでくれ。還って良い体験になるだろうさ」 菫「っと、渋谷。照に連絡しといてくれ」 尭深「はい」ピッ 菫「……こういったことは異例でなくてな、初めて来る者がウチで迷うなんてことはよくあることなんだ」 菫「だからそう俯かないでくれないか……松実さん」 玄「は、はい……」トボトボ 菫「……ふぅむ……」 玄「…………」 玄「……くっ……っ」ピクッ 玄「……っ……っ……」プルプル... 玄(駄目だ……玄……堪えろ……っ) 玄(まだ笑うな…………堪えるんだ…………っ) 玄(ターゲット補足……。 弘世菫……渋谷尭深……)ジー 菫「照は何て?」フヨーン 尭深「松実さんのお連れの方と一緒だそうです。先に部室にいると」ボイーン 玄(……測定……完了……ッ) 玄(弘世菫……おもち力66! その長身と均衡のとれたスタイルに映えるおもち!!) 玄(そして渋谷尭深……おもち力……な、なな……79!!! ) 玄(あれはお姉ちゃんに負けずとも劣らないレベルのおもちっ!!!!) 玄(嗚呼……ふつくしい……) 玄(……早く京太郎くんに知らせたい……!)ウズウズ 玄「……っ……っ」ニヤニヤ 尭深「? 松実さん? どこへ……」 菫「麻雀部はこっちだぞ?……ていうかそっちは壁……」 ゴツンッ 玄「あ痛ァ!?」 ― ―― ――― ――白糸台麻雀部。 ガチャッ 照「ここが私達の部室」 京太郎「うっはぁ……。 広ぇ……」 淡「稼働自動卓は全部で20台!内、5台はチーム用に分けられていてチーム専用の部屋まであるの!」 京太郎「ほぇぇ……」 照「ここは、言わばロビーのようなもの。私達、チーム【虎姫】の部屋はこっち」 淡「男子が私たちの部屋に入るなんて史上初だかんね~? 喜びなさいって!」 バシバシッ 京太郎「痛い痛い」 照「……それじゃあ。どうぞ、京ちゃん」 ガチャッ... 京太郎「は、はい。失礼しま――」 亦野「あー! やっと来たー! もー遅いっすよ皆ー。 今日は部活無かったのかと――」 ガチャンッ 照「…………」 淡「…………」 京太郎「…………」 京太郎「えっ」 『ちょっとちょっとちょっと~? なんで閉めるんですか~? 部屋間違えてませんよ~。ここ【虎姫】の部屋ですよ~』 京太郎「……って言ってますけど」 照「あ、ごめん。 つい」 ガチャッ 照「おはよう、亦野」 亦野「おはようございまーす、ていうかこんにちはっすかね宮永先輩!」 淡「今日もいたんですねー!亦野先輩!」 亦野「おいおい今日も冗談キツイな淡は全くぅーこのー!」モニモニ 淡「キャハハーッ」 亦野「いやーさっきのはビックリしましたよー! 私が部屋間違えたのかと思って【虎姫】の文字を三回確認するくらいビックリしましたって!」 照「ごめん、なんかノリで」 京太郎「…………」 亦野「お? おぉ? そこの男子はどちらさん?」 照「ほら、昨日菫が言ってた……」 亦野「ああ!ハイハイハイ! 部室やら道具の清掃してくれるバイトのな!!」 亦野「私は2年の亦野誠子! 趣味は釣りと麻雀とフィッシングと釣り!! よろしくっ!!」 京太郎「あ、ああ。 どうも、須賀です(テンション高えなこの人)」 ガチャッ 菫「……騒々しいな全く」 尭深「おはようございます」 亦野「弘世先輩に尭深ー! こんちゃーっ!」 菫「なんだ、亦野。 いたのか」 亦野「うはーまた言われたー! でも淡に言われた時よりもっと傷つくなー!」 菫「冗談だ。だから少し黙れ」 亦野「あ、はい」 菫「それで、ほら。 入りなさい」 玄「……し、失礼しまーす」 京太郎「あっ」 玄「あっ……」 玄「京太郎くん!!」 京太郎「これからはテンションに身を任せた行動は控えてくださいね」 玄「はい……」 京太郎「俺だけならまだしも、他の皆にも迷惑をかけるんですから」 玄「まことに申し訳ありません……」 京太郎「……」 ナデナデ 玄「んっ……えへへ……」 玄「……でもホント……会えて良かった……」 玄「本当に……グスッ………会えて……グスッ……」 京太郎「玄さん……何も泣く程のことじゃ……」 玄「弘世さんと渋谷さんのおもちに……」 京太郎「そっちかよ畜生」 京太郎「とまぁ説教も終わりましたし。 始めますか」 照「うん。 それじゃあ京ちゃん。 松実さん」 照「ようこそ、我らの白糸台高校へ」ニコッ パァァァァ 京太郎「うおぉ……」タジッ 玄「おおぅ……」タジッ 照「2日間のお仕事。 頑張ってね」ニコォッ 京太郎「あ、はい! よろしくお願いします!!」 玄「よ、よろしくお願いします!!」 菫(不気味だな) 淡(不気味……) 亦野「不気味なー」 照「……亦野ちょっとこっちこい」 亦野「うえっ!?」 ――そんなこんなで。 京太郎「コンベアベルト良し、Vベルト良し、ホッパーリング、テンリーダー、マットその他OK」カチャカチャ 京太郎「この台も大丈夫っと……」ガチャンッ 淡「あと15台っ。 がんばれがんばれーッ」 京太郎「……ちっとは手伝ってくれてもいいと思うんですけどねぇ~?」 淡「ん~? あれぇ~? バイトの分際でそんなこと言っちゃうんだぁ~?」 淡「これはバイト代減らしたほうがいいかなぁ~?」 京太郎「さーて次々!! いやぁ~卓がこんなに多いとやりがいがあるなぁ!」 淡「キャハハッ。その意気だキョウタロー!」 京太郎「はぁ……。……えーっと、ドライバードライバー……」 スッ 照「はい、京ちゃん」 京太郎「ん? ああ、照さん」 京太郎「ありがとうございます」スッ 照「私も手伝うよ」 淡「えーっ」 京太郎「いやいや、いいですよ。こういう力仕事は男がするもんですし」 淡「そうだよテルー! こんなの下っ端の仕事じゃーんっ。私達は忙しい身なんだからそんなのする必要ないよーっ」 京太郎「淡もああ言ってますし。時間が勿体無いですよ」 照「今日の練習は午前で終わってるし、今は皆手持ち無沙汰」 京太郎「まぁ確かにそうですけど……こんなのつまんないことですし」 照「……そんなこと無い」スッ カチャッ ...パカッ 照「二人なら、きっと楽しいよ」ニコッ 京太郎「……照さん……」 淡「むっ」 照「ここ?」 京太郎「そうです。カバー開けた時に端に見えるこのでかいのがコンベアベルトです」 照「……見た感じ欠損は無いよ」 京太郎「じゃあコンベアベルトは大丈夫ですね。次はテンリーダーの方診ましょうか」 照「テンリーダーって、これ?」 京太郎「はい。コイツを外すのはちょいとコツがありまして……」 照「……ふむ……」 ワイワイ ワイワイ 淡「………」 京太郎「ん?」 淡「…………」ジー 京太郎「…………」 京太郎(……ふむ) 京太郎「んー……やっぱり二人だけだとこの台数は辛いなーっ」 淡「!」 京太郎「誰か手を貸してくれないかなーっ」チラッ 照(……あぁ) 淡「あっ……だったら……!」 京太郎「いや、でもここにいるのは俺と照さんと忙しそうな身の淡さんだけだしなぁーっ」 淡「うぐっ」 京太郎「淡さんは手伝ってくれなさそうだし。 いやー大変だなーっ」 淡「ぐぬぬぬぬぅ……」 淡「…………きょ、キョウタロー!」 京太郎「おーなんすかー淡さーん」 淡「そんなに言うなら……て、手伝ってあげなくもない!…………けどっ?」 京太郎・照「「…………」」ニヤニヤ 淡「あっ! 二人してその顔!! もーッ!! ////」 ブォオオオオ 玄「うん。 これで床のホコリは大体いいかなっ」ピッ 菫「……すごいな……」 玄「ふふ。 こう見えて、掃除は得意なんですよっ」 菫「いや、そこもだが…………私はこういった機械がテンで駄目でな……」 玄「……ふぅん……?」 玄「!」ピコンッ 玄「でしたら教えましょう! 掃除機なんて簡単ですよ! いいですか? ここをこう持って、地面の溝に沿って……」 菫「お、おぉ。 こうか……?」 フニュ 玄「そ、そうそう! 腕をしっかり前に固定して……えへ……えへへぇ……」 菫「こうだな!」グッ フニャァ 玄「そうですフヒヒッ!」 玄(潰れるおもちすばららァァァっ!) ギュゥ 尭深「ん……」 玄「雑巾は手首だけで絞ると大変ですよ、渋谷さん」 尭深「あ、松実さん」 玄「こう、腕を伸ばして……腕全体でギューっと」スッ 尭深「……こう……かしら……」 グニュウウ 玄「そうです! もっと脇を閉めて屈んでください!!」 尭深「は、はい……」 グニュゥゥゥウウ 尭深「ど、どうですか?」 玄「あ。 ま、まだまだァ! もっと胸を閉めてください!」 尭深「は、はいッ」 グンニュゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウ 玄「あへ……アヘヘヘ……」 ――17 00 京太郎「お疲れ様でしたー」 玄「したー!」 京太郎「まさか4時間で20台の点検全て終わるとは……」 淡「途中からドライバー必要なくなったからねー」 照「回すのは得意っ」キリッ 菫「っんー……。 おかしいな……腕や腰より肩が凝ってる気がする……」 尭深「掃除機って肩に来るんですね……知らなかった……」 玄「うへへ」 京太郎(首尾は?) 玄(超上々!) 京太郎「( ´∀`)bグッ!」 玄「( ̄ー ̄)bグッ!」 玄「……あれ?そういえば亦野さんは? 姿が見えませんけど……」 菫「ああ、アイツなら絶賛仕事中だ」 玄「へ?」 菫「須賀くん、例のモノを」 京太郎「あ、はい。 こちらがリストです」スッ 菫「うむ、確かに。では早速」ピッ 玄「?」 prrrr ピッ 『もしもーし! 弘世先輩ですね!! もしかして私の仕事ですか!?』 菫「ああ、随分待たせたな。悪かった」 『いやいや! リールだハリスだの色々見てたんでむしろ早かったなーって思ってた所です!』 菫「そうか。 んじゃ、読み上げるぞー」 『はい!』 玄「あの……渋谷さん。 亦野さんは何を?」 尭深「必要な部品類を購入するために、予め大手麻雀店に行っておいたそうです」 玄「い、いつから?」 尭深「多分……3,4時間前でしょうか」 玄「えぇ……」 京太郎「常識ですね」 菫「常識だな」 照「常識」 淡「常識だねー」 玄「えええぇ」 照「とまぁ、お疲れ様。京ちゃん、松実さん。明日もよろしくね」 菫「明日は部活自体無いから午前から来てくれ」 淡「遅刻したら罰だかんねー!」 尭深「お気をつけて」 京太郎・玄「「お疲れ様でしたー!」 玄「たっきゅうマダー?」 京太郎「そんなに楽しみですか?」 玄「そりゃもう! この時の為に働いてたようなもんですよ!」 京太郎「さいですか。あ、ホラ、見えて来ましたよ。 あそこです」 玄「わーい! たっきゅう! たっきゅう!」ダッ ラウンド○ン『しばらく休みます』 玄「 」 玄「…………る~るる~……るるる~……」 京太郎「玄さん…………」 玄「…………あれがデネブアルタイルベガ……君が指す夏の大三角……」 京太郎「事前に調べなかった俺が悪かったです…………本当にすいませんでした……」 玄「…………」 京太郎「…………ちなみにアレは北斗七星です」 玄「……グスッ」 ――― ―― ― 京太郎「ってなことがあってさ」カチャカチャ 淡「ふーん?」 京太郎「昨日帰った後はずっとふて寝してたよ」ガチャンッ 照「ふーん……」 照「……でもその割には……」チラッ 玄「あっ! 弘世さん! おはようございます!! 今日も1日、胸張って行きましょう!」 菫「あ、ああ。 その調子で頑張ってくれ……」 玄「おっひょー! おはようございます渋谷さん!! 今日も弾んでますねぇ!!」 尭深「お、おはようございます松実さん……。……弾む?」 照「……随分元気そうだけど」 京太郎「……そういう人ですから……。 淡、そこのピン取って」 淡「ほいほーいっ」スッ ガチンッ 京太郎「よっし。 これでおしまいっと」 淡「あれ? もう終わり? 早くない?」 京太郎「今日やる分まで昨日やっちゃったからなぁ」 淡「ふふ~ん。 私のおかげねっ」 京太郎「ああ、その通り。 ありがとう、淡」ナデナデ 淡「んふふ~っ。 撫でんなし~」ニコニコ 京太郎「満更でもねえくせによぉ~」ウリウリウリ 淡「やめろし~っ!」ニコニコニコ 京太郎「照さんもありがとうございました」 照「ん」 京太郎「正直照さん照さんが手伝ってくれなかったら昨日で終わらなかったかと……」 ナデナデ 京太郎「んっ……」 照「……」ニコニコ 玄「こっちも最後のお掃除終わったよ~」 京太郎「了解でーす。 ……ん? この匂いは……」 菫「二人共お疲れ。カレーを作った。 食べていくといい」 玄「カレー! やたっ!」 京太郎「シーフードカレーですか。いいですね」 亦野「材料調達、アタシアタシ!」 菫「辛さは甘口と中辛がある。好きな方とれ」 淡「はいはーい! アタシ甘口ー!」 照「同じく」 尭深「中辛」 亦野「アタシだけ辛口なんだー! いいだろー!」 菫「亦野」 亦野「はい」 菫「黙れ」 亦野「はい」 「「「頂きまーす!」」」 尭深「ゆで卵欲しい方……」 玄「ハイ! ハイハイ! 二つください! 二つ! 丸の形が綺麗なのくださーい!!」 京太郎「…………」 亦野「福神漬あるよー!」 菫「貰おうか」 亦野「ちなみに作ったのアタシです」 菫「やっぱり要らない」 淡「キョウタロー! ニンジンあげるー!」スッ 京太郎「要らない」サッ 淡「ぶー」 照「京ちゃん、ニンジンあげる」スッ 京太郎「あ、どうも」スッ 淡「えー!?」 ―12 30 京太郎「ふぅ……。 修理も掃除も片づけも終わりましたし……」 玄「ん、そうだね。 ……ゲフッ」 京太郎「そろそろお暇しますか」 淡「えっ、もう行くのー?」 京太郎「むしろ居過ぎた位だよ。昼飯までごちそうになったんだし」 菫「もう少し居てもいいんじゃないか? 今は暑い時間だし、駅も混むだろう」 京太郎「むっ……」 亦野「夕方までゆっくりしてきなよー」 尭深「冷たいお茶、出しますよ」 玄「……だってさ、京太郎くんっ」 照「……京ちゃん」 京太郎「……」 京太郎「それじゃあ……夕方までお邪魔してますかっ」 玄「そうこなきゃっ!」 ――― ―― ― 淡「……ダウト!」 亦野「バカめ!引っ掛かったな!」 京太郎「いや、ホントにダウトっすよ」ペラッ 亦野「……あれ?」 菫「楽しそうだなお前ら…………麻雀部なのにトランプって……」 照「………」ペラッ...ペラッ... 尭深「………ズズッ……」 亦野「また須賀くん1位かー」 淡「もっかいもっかい! 今度こそ絶対勝ってやる!」 京太郎「……その前にちょっと休憩」スクッ 淡「あっ! 逃げる気かっ!キョウタロー!」 京太郎「違うって」 京太郎(……玄さん……何処行った?) ―白糸台麻雀部 台所 玄「~♪ ~♪」 京太郎「あ、こんな所に居た。何やってんすか玄さん」 玄「お、京太郎くんっ。いい所に! 味見して、味見っ」 京太郎「味見? ……なんすかこの緑の物体」 玄「んふふ。 いいからいいからっ、どーぞっ」スッ 京太郎「い、頂きます」 パクッ 京太郎「…………」モグモグ 玄「~♪」 京太郎「……あれ……これ……」 玄「何だかわかった?」 京太郎「わらび餅ですか?」 玄「せいかーい!」ズビシッ 京太郎「玄さん、わらび餅なんて作れたんですかっ」 玄「これでも旅館の娘だよ~? お菓子作りはお手の物っ」 京太郎「旅館生まれって凄い、改めてそう思った」 玄「他にもー。 ずんだ餅、ごま餅、よもぎ餅、柏餅! なんでもござれ!」 京太郎「すげぇ、なんか久々に素直に玄さんを尊敬した気がする」 玄「おもちマイスターだからねっ!」 京太郎「おもちマイスターって凄い、改めて」 玄「きな粉篩って完成! どやっ!」 淡「おおー!!」 菫「まさかここで本場のわらび餅を食べれるとは……」 尭深「……♪」モクモク 亦野「尭深が今までにないくらい良い笑顔してる……」 照「おかわり」 淡「おかわりー!」 京太郎「早っ」 京太郎「……いやホント美味いなコレ……」モグモグ 亦野「あ、須賀くん。 ほっぺにきな粉着いてるぞっ、と」スッ ペロッ 照「!」淡「!」 亦野「ん~甘~」 京太郎「あ、どうも」 亦野「ついでに餅一個貰い!」スッ 京太郎「あーちょっと!」 亦野「へへーん」モグモグ 照「……」 淡「……」 照「亦野、ちょっと卓着こうか。大丈夫、痛くしないよう心掛けるから」 亦野「え」 淡「雀卓へ行こうぜ……久しぶりに……キレちまったよ……」 亦野「えぇ!? ちょ、なんで!?」 ―16 30 菫「二日間、お疲れ様。 お陰で見違えるようになったよ」 京太郎「そうですか? 一日中ほのぼのしてた気しかしないんですけど……」 菫「いや、むしろそれでいい。ウチはその名前の所為で何かと空気が淀みやすいからな」 菫「こういう日が一日くらいあっていいだろうさ」 京太郎「弘世さん……」 玄「弘世さん……」キラキラ 菫「ああ、そうそう。 はい、バイト代だ」スッ 玄「どうも……ってええ!? は、8人の諭吉! 一人で!?」 京太郎「こ、こんなにたくさん!? は、半分でいいですって!」 菫「そうなのか? バイト代の相場ってのがいまいちわからないものでな……」 照「京ちゃん、これ。 私の住所」スッ 京太郎「あ、どうも……って住所!?」 照「手紙……頂戴ね」 京太郎「あぁ、手紙ですか……」 京太郎(流石文学少女……) 照「……待ってるから」 京太郎「……わかりました。 しっかり手紙送ります」 京太郎「だから俺も、待ってますね」 照「うんっ」 照「……咲のこと、よろしくね。京ちゃん」 京太郎「はいっ」 淡「キョウタロー、メアド教えてー!」スッ 京太郎「おう。 赤外線、ココな」 ピッ 淡「……んふふ~」ニヤニヤ 京太郎「なんだ? そんなに嬉しいか?」 淡「だって男子のメアドなんて初めてだもーんっ」 京太郎「マジか」 淡「うん! だからキョウタローは私の初めてのメル友!」 京太郎「ほぉ。 そりゃどーも」 淡「…………」ピッ 京太郎「……んっ」ピッ From 大星淡ちゃん 『毎日送ってやるから覚悟しなさいね!』 京太郎「……ふふっ」 淡「キャハハッ」 玄「渋谷さん! これ、わらび餅10人前です!受け取ってください!」 尭深「はぁ。 でも、こういうのは部長の弘世先輩のほうが……」 玄「いえ!是非このおもちは渋谷さんに受け取って欲しいんです!」 尭深「は、はぁ……。 ……なら」 尭深「ありがたく、頂きますね」ニコッ 玄「はい!!」 菫「ほら、亦野起きろ。 二人が去るぞ」 亦野「 」 菫「亦野? おい、亦野っ」 亦野「 」 菫「……駄目か」 京太郎「それでは」 玄「皆さん!」 京太郎・玄「「さようならー!!」」 淡「バイバーイ!!」 照「また、ね」 菫「あまり遅くまで外を出歩かないようになーっ」 尭深「お気をつけて」 亦野「 」 亦野「ハッ」 ――― ―― ― ガタンゴトン 玄「あー! 楽しかったー!」 京太郎「東京都、王者白糸台。 最初はどうなるか不安だらけでしたけど」 玄「箱を開けたらなんてことなかったね!」 京太郎「入って速攻で迷子になった人が何言ってんですか」 玄「まぁまぁまぁ! 今となってはいい思い出だよ!」 玄「次は何処へ?」 京太郎「多分、近い方の龍門渕ですね。 合宿が終わってれば、ですけど」 玄「白糸台の次は龍門渕……有名校続きでドクドクするね!」 京太郎「……なんすかその擬音」 玄「ドキドキ+ワクワク!」 京太郎「なんでプラスの言葉同士を足してるのにマイナスなイメージになるんだろう」 京太郎「ところで今回のおもち談義なんですけど」 玄「ん! そういえばしてなかったね! とは言っても【形】も【大きさ】も渋谷さんがダントツで……」 京太郎「……【柔らかさ】のほうは?」 玄「あ゛」 京太郎「……」 玄「……」 京太郎「………」 玄「………」テヘヘ 京太郎「松実ァ!!」 玄「すいませぇええん!!!」 ―――― ――― ―― ― 菫「なぁ照……ずっと疑問だったんだが」 照「ん?」 菫「どうして須賀くんのことを『京ちゃん』と? そこまでの面識あったのか?」 照「……いや、無い」 菫「じゃあ、どうして?」 照「……それは……ひみt」 亦野「あー、宮永先輩って『幼馴染』っていう関係に憧がれてるみたいなんですよー」 照「 」 菫「ほほぅ?」 亦野「今日買ってきたベストセラー本も『幼馴染』とのラブコメでしたし」 照「……っ……っ」プルプル 菫「ほ~ぉ……」 亦野「だから本心じゃ、『照ネエ』とか呼んで欲しかったりしたんじゃないですかねぇ」 照「!!」カァァァ 菫「お、なんだ図星か照」 淡「て……照ネエって……ブフッ……」 照「……っ」プルプル 亦野「あれ? どうかしましたか宮永先輩?」 照「ま……ま……!」ブルブル 照「亦野ァアアアア!!」 ギュルルルルルルルルルルルルルル 亦野「ひぃいいいいい!!?」 尭深「……ズズッ……」 尭深「……ふぅ」 尭深「……美味しい……」 ――― 王者白糸台を後にした、おもちマイスター玄とその弟子京太郎 ――― ――― 二人の旅は前途多難、五里霧中。終わりがまだまだ見えない ――― ――― 一体この先、彼らにどのようなおもちが立ちはだかるのだろうか ――― ―― 続く 名前 コメント
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前話 次話 京太郎インタビューその9 本日はインターハイBブロック準決勝。 あと二、三時間もすれば試合開始ですが、その前にSK君に恒例のインタビューをしていこうと思う。 今回は特別にゲストの方が来ています。 本日はお二方、よろしくお願いします。 京太郎「よろしくお願いします」 由暉子「よろしくお願いします」 はい。SK君へのインタビューで初となるゲストは、有珠山高校の副将、真屋由暉子選手です。 由暉子「ご紹介に預かりました、真屋由暉子です。突然で驚きの方も多いと思いますが、以後お見知り置きを」 先程S君が真屋選手を連れてきて、インタビューに参加させてほしいと言われた時は驚きました。 京太郎「俺も驚きましたよ。さっき一人で歩いてたらいきなり有珠山の人達に出くわして「ユキをインタビューに参加させてくんない!?」ですもの」 彼と交渉してこの席を手に入れた訳ですか。 由暉子「はい。先輩が「頼むよ! なんでもするから! ユキが!」と言って、快く引き受けてもらいました」 京太郎「それあの人が勝手に言ってただけで、俺がそれを受け入れた訳じゃないからね?」 まぁ我々としては話題になるので、ゲスト参加は望む所ですが……、真屋選手は何故このインタビューに参加をご希望されたのでしょうか? 由暉子「目立てるからだそうです」 ハッキリ言いますね。 由暉子「現在この動画は指数関数的に視聴率を伸ばし、今やインターハイに参加、観戦、その他関係者の方々で見ていない人はいないと言われる程です。打倒はやりんを掲げる私達がこれに参加し、話題を掻っ攫わない手は無い。あと面白そうだから、一波乱起こしてやれ、との事でした」 京太郎「もう全部言うじゃん……」 打倒はやりんと言いますが、瑞原はやり選手を敵視しているのですか? 由暉子「敵視ではなく、尊敬しているが故に、ですね」 というと? 由暉子「はやりんはアイドル雀士として、アイドル活動に真摯に取り組みながら、プロ雀士としても第一線で活躍する方です。どちらかだけでも容易く叶えられる事ではない以上、そのどちらも叶えているはやりんは、普通の人には考えられないような、並々ならぬ研鑽を積んできたと思います」 確かにそうですね。 由暉子「そのはやりんをリスペクトするからこそ、打倒はやりんを掲げ、はやりんを超えたい。その意思を胸に、私は頑張っていたいと思っています」 成程。有珠山高校はそのようなお考えで打倒はやりん、と。 由暉子「いえ、先輩方はどうか知りませんが」 そこは嘘でもそうだと言いましょうよ……。 由暉子「根が正直なもので」 由暉子「ですが、動機がどうであれ私を含め先輩方も、打倒はやりんとこの大会に本気で打ち込んでいます」 そうですね。そうでなければ、インターハイ準決勝のここまで、コマを進めることなど出来なかったでしょう。 由暉子「この衣装も揺杏先輩の手作りなんです。どうでしょうか?」 大変可愛らしいかと。S君はどうですか? 京太郎「そうですね。元の素材が良いのもありますが、それを活かしたこの衣装は細かい所にまで手が行き届いていて、職人技が光っていると言えます」 由暉子「ピカピカですか?」 京太郎「ピカピカだな」 由暉子「ありがとうございます。とても嬉しいです。自分の事のように」ニコ あ、今の笑顔すごく良かったですね。 京太郎「おー……」 S君も見惚れちゃいますか? 京太郎「あ、はい。あんまり表情動かない子だと思ってたので、こんな顔もするんだなって」 S君と視聴者のハートをガッチリ掴む、強烈なスマイルでしたね。 さて、今回はどのようにお話を進めていきましょうか。有珠山高校の選手としては度々インタビューをされたでしょうし。 京太郎「そうですねー。この所立て続けだったので、その後印象的な事って言われても困りますし……」 由暉子「そんなこともあろうかと、私達の方でこんなものを用意しました」トン ……カンペ? 由暉子「本来ならパネルを用意したかった所ですが、予算と手間の諸々でこのようなものに」 京太郎「それでどうするんだ?」 由暉子「これは私とS君でこんな話題を話し合えば面白いんじゃないかと、先輩方と一緒に作り上げたテーマ集です」 つまり、話のお題をそれで出していって、それを二人で話し合うと。 由暉子「そういうことです」 京太郎「へぇー。なんだか番組めいてきたな。一昔前のバラエティ感あるけど」 由暉子「それでは早速見ていきましょう。最初のお題はこちら」ペラ 「そこでボケて!」 京太郎「出オチ!」 由暉子「あ、間違えました。これは突然アドリブを振られた時の練習用に使ったカンペですね」 京太郎「ボケてが1ページ目に来る時点で完全にネタ用じゃねーか!」 由暉子「S君は、同年代の人にはそんな感じなんですか?」 京太郎「え? あー……喋り方の事か? まぁ年上の人相手に話してる時は敬語だけど、タメだとこんな感じ」 由暉子「そうなんですね。動画や雑誌だと基本的に敬語だったので、知りませんでした」 京太郎「あんまり馴れ馴れしいのが好かないなら、控えるけど」 由暉子「いえ。ふと気になっただけですので、お構いなく」 京太郎「逆に真屋の方はもっと崩してもいいと思うけどな」 由暉子「私は誰に対してもこんな感じですから」 京太郎「そっか。それじゃあ、気を取り直してお題の方を」 由暉子「はい。えー、これですね。改めて、最初のお題はこちらになります」ペラ 「今日の成香はくまさんパンツを履いている。○か×か」 京太郎「隙を生じぬ二段出オチ!」 由暉子「あ、間違えました。これは爽先輩が暇潰しに作って部内で回答した○×クイズ集でしたね」 京太郎「なんでそんなもん大会の遠征に持ってきてんだよ! しかもクイズに出るってことは、普段はそのパンツを履いてるっていう羞恥プレイじゃねーか!」 お二人の掛け合いで口を挟む余地がない……。 由暉子「それではまた改めて」 京太郎「大丈夫か? 3段ネタは銀○でもそうそうやらないぞ?」 由暉子「今度は大丈夫です。最初のお題はこちらです」 「家族構成は?」 良かった、今度はまともだ……。 京太郎「家族構成って、一緒の家に住んでる家族って考えでいいのか?」 由暉子「はい。私はマンション暮らしの一人っ子で、両親は共働きですね。S君はどうでしょうか?」 京太郎「俺も一人っ子なんだけど、うちって一つの家にじいちゃんから下の親戚が集まってる感じだからなぁ。兄弟姉妹はいないけど、一緒に暮らしてる従兄弟とかは多いってとこ」 どれくらいの人数で暮らしてるんですか? 京太郎「親世代が四人兄弟で八人いて、その下が俺含めて九人なんで、十九人いますね」 そんなに人数がいたら家が手狭になりませんか? 京太郎「うちの家は広々としてるんで、他の親戚が集まって一人一部屋使っても若干余るくらいなんですよねー」 ……もしかしてS君の家って、わりとお金持ちでは。 京太郎「んー。昔は地方の豪族だったとかなんちゃらで大きい家があるってだけです。龍門渕さんとかみたいに今でも大富豪って訳ではないですよ」 それにしてもその人数で生活するのは大変な費用では? 京太郎「あんまり気にしたことありませんが、親世代が結構稼げてるんで、家庭でお金に困ったことは無いですかねぇ」 由暉子「成程成程……」 由暉子「では、次のお題です」 「ペットは飼ってる?」 ペットですか。 由暉子「私は飼っていませんし、先輩方もそうだと思いますが、S君はどうでしょうか」 京太郎「ペットか。飼ってるよ、家に一匹。カピーっていうんだけど」 カピー? 京太郎「カピバラのカピーです」 カピバラ……というと、確かあの毛のある、大きなネズミみたいな。 京太郎「多分それですね」 由暉子「カピバラって飼えるものなんですか?」 京太郎「犬猫よりは準備とか色々必要になると思うけど、まぁうちは広いし、水場も池があるから1から全部って訳じゃあなかったな」 家に池とかあるんですか。 京太郎「はい。動物園だとカピバラは温水プールとか使ってますけど、温まる用なら温まる用でお湯を張った桶を用意するので、普段の水場はそうなります。冬場は小さい池を温められるようにしてますね」 一般家庭にはあまり馴染みのない家庭事情ですね……。 京太郎「手間やらなんやら色々大変ですけど、そこは当番制にしてますから。それにそれだけ愛着もわきますしね」 由暉子「3つ目のお題です」ペラ 「好きな衣装は?」 京太郎「一気に毛色が変わったな……」 由暉子「先輩方から一人一つお題を出してもらう形ですから」 京太郎「好きなって、他人が着てるのを見る分にはってことか? それとも自分で着る分には?」 由暉子「どちらも聞きたいですが、どちらかと言えば見る方ですね」 京太郎「見る方かー……」 由暉子「私は男性の衣装ですと、スーツのようなパリッとした格好が好きですね。カッコいいですから」 京太郎「それは同意するけど、手足が長くないと中々カッコよくならないから、平均的に短足が多い日本人男性だと難しいんだよなぁ」 由暉子「S君は長い方だと思いますが?」 京太郎「俺の男友達もこれくらいはあるけど、みんな背の順で並ぶと最後の方になるからなぁ」 基準にはなりそうにないですね。 京太郎「見る分で好きなのは、やっぱこう、女の子してる落ち着いた感じかなー。白いワンピースとか」 童貞っぽいですね。 京太郎「黙らっしゃい」 由暉子「男の人は肌面積の多い過激な衣装が好きだと聞きましたが?」 京太郎「まぁ大多数はそうだし、俺も好きだけど。個人的にはあえて主張しようとせず、清楚な雰囲気を醸し出してて、それでも尚隠し切れない身体の凹凸の存在感とかにグッと来るんだよ。ちょっとフェチっぽいけどさ」 由暉子「清楚な雰囲気と、隠し切れない凹凸の存在感、ですか」ムニムニ 京太郎「バッチリくっきり存在感出してるから、持ち上げて揺らすのは止めなさい」 由暉子「それでは最後の質問です」ペラ 「アイドルの恋愛について」 京太郎「めっちゃデリケートな質問来た!」 これ動画にして大丈夫なんでしょうか……? 由暉子「私はアイドルは恋愛御法度だと言われているので、そういうものだと思っているだけですが、S君はどうお考えでしょうか?」 京太郎「うーん……。俺は正直ファンって言える程アイドルに打ち込んだ事ないし、あまりアイドルが恋愛する事にアレルギー反応みたいなの起こす人の気持ちが分かんないかなー」 好きな人が実は彼氏がいたとか、嫌じゃないですか? 京太郎「そりゃあ嫌ですしショックですけど、一般的な恋愛とアイドルのそれは話が別だと思うんですよね。そもそもアイドルは歌やダンス、見た目の良さをエンタメとして提供する仕事であって、ファンがお金を出すのはそのエンタメに対しての筈ですよね? なのにファンがアイドルに求めているのはもれなく聖女みたいな感じで、いまいち共感を得られないというか」 まぁ、確かにそうですが……イメージというのもありますし。 京太郎「イメージで言うなら、逆に男性経験豊富なアイドルってのもキャラクターとしてはアリだと思うんですよね。俺に刺さるかどうかは別としても、需要はあるんじゃないかと」 ファンがアイドルに処女性を求めるのは間違っていると? 京太郎「間違っているとまでは言いませんけど、仮にアイドルが恋愛をしてたとして、それが真剣な気持ちならファンとしても応援してあげるべきだと思いますし、イメージと違ったからとファンを辞めるなら勝手ですけど、そのアイドルを非難するのは正直器が小さいんじゃないかなーって」 ファンになった経験無いとの事ですが、結構語りますね……。 京太郎「まぁーマンガとか読んでるだけでもそういう重めの話題とか出来事について考えさせられる機会はありますからね」 由暉子「S君としては、アイドルは恋愛をしてもいいだろうというスタンスですか?」 京太郎「ちょっと違くて、恋愛をするのは悪くないけど、自衛の為にはしないでいた方がいいって感じか?」 由暉子「? 自衛、ですか?」 京太郎「女の子は夜に一人で出歩くなって言われるだろ?」 由暉子「はい。言われますね」 京太郎「これは危ない人に襲われる危険があるから、女の子は出歩かないでおけっていう忠告なんだと思うけど。じゃあ夜出歩いてしまって、危ない人に襲われたとして、悪いのは出歩いてた女の子の方か?」 由暉子「いえ。その危ない人ですね」 京太郎「まぁ女の子も無防備だったのは否めないけどさ、そもそも夜出歩いてただけで女の子に襲いかかるような人間がいる事自体が問題なわけじゃん?」 由暉子「はい」 京太郎「けどその危ない人や心無い人は言うんだよ。「こんな夜中に出歩いてたのが悪い」って」 由暉子「ひどいですね」 京太郎「騙したのは自分の癖に「騙される方が悪い」とか言い出す人間の言い草なわけだよ。 アイドルだって恋愛禁止かどうかは事務所が決めるもので、ファンがどうこう言うのはイメージの押し付けじゃないかと思う。けど世間にはそれが正しいと信じてて、中にはイメージ裏切られたらアイドルを平気でバッシングしたり直接危害を加える人もいるもんだからな。 そういう人達から身も心も守る為に、そもそも恋愛しないってのが一番安全だと思う」 由暉子「成程……」 京太郎「色々言っちゃいましたけど、これ動画で流して良かったんですかね?」 どうでしょう。そのまま使うかは私だけでは判断出来ないので、こちらで相談して決めますね。 由暉子「一般的に正しいか正しくないかは私には分かりませんが、考えさせられる意見でした。ありがとうございます」 京太郎「真屋には今好きな人とかいたりするのか?」 由暉子「いいえ。今の所そういう対象はいないですね」 京太郎「まーアイドルともなれば言い寄ってくる男は多いと思うけど、アイドルの事情も考慮して誠実に付き合えるやつが見つかるといいな」 由暉子「どうでしょうか。恋愛そのものに憧れが全く無いわけではありませんが、先輩方と作り上げたアイドル像を捨ててまで、とは思えないので」 分かりませんよ? これからそれだけ好きになる男の子と出会うかもしれません。 由暉子「はあ」 では、最後に何か一言。 由暉子「それでこの後、私はS君に何をすればいいんでしょうか?」 京太郎「だからその話は無かった事にせいと言っとろーが!!」 前話 次話
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前話 次話 京太郎インタビューその4 全国大会へとやってきた清澄高校。そしてSK君。 今回から全国大会中の様子を高スパンでお送りする予定の為、インタビューの様子を動画で配信する事となった。 それに合わせて、以前より問い合わせの多かったSK君の素顔の公表についても交渉し、これを受諾。 彼の身内と取材陣しか知らなかったSK君の端正な顔立ちが、今明かされる。 まずは動画配信、並びに素顔の公表を受け入れてくださって、ありがとうございます。 京太郎「はい。といっても、そんなに需要があるとは思えませんけどね。このインタビューって、基本的にうちとかの女子選手達の裏側が知りたい人が見るものでしょうし」 ……需要しかないから問い合わせが殺到したのですが……まぁいいでしょう。 京太郎「それで、今回はどんな話をしましょうか」 それではまず気になった事なのですけど……気を悪くしないでくださいね? 京太郎「はい?」 良く来られましたね? 京太郎「? と言いますと?」 いえ、基本的に大会での遠征となると、選手や監督、コーチくらいのもので、それ以外の応援する部員となると、それこそ大手の学校になるのですよね。 京太郎「あ、あーそういう話ですか」 S君一人分にしても遠征費は馬鹿になりませんし、男子となるとまた別で部屋を押さえる必要があるので、それだけのお金を学校から出してもらえたということに……まさか自費ではありませんよね? 京太郎「それは無いですけど……うーんと。聞くところによると、どうやら学校としては元々俺も付いていかせるつもりは無かったそうです。理由はさっき言ってた通りで」 では、何故? 京太郎「俺ももっともな理由だと思ったんですが、部長がそれについて先生方に抗議したらしくて」 部長さんが、ですか? 京太郎「はい。なんでも「何言ってるんですか! S君がいなかったら咲は広い東京で迷子のまま帰って来なくなりますし、優希はエネルギー切れで行き倒れますし、和なんか道行くわるーいお兄さんに連れ去られて行方不明になるでしょーが!!」とか」 後輩達に対する信頼がまるでありませんね……。 京太郎「心配なんだと思いますよ。かくいう俺も同じ所で心配ですから。そんな訳で、応援兼ボディガード兼マネージャーという形で一緒に東京来る事になりました」 成程。 京太郎「咲は東京に着くまでの駅でも何度か迷子になりますし、優希は遠征に思ったより時間が掛かったせいでエネルギー切れて自分で歩かなくなりますし、和は俺と一緒にいる時にも遠目でジロジロ見られてたみたいで、付いてきて正解だったな……とは思いましたね……」 それはまた、予想を裏切らない方達ですね……。 東京に来た事はありますか? 京太郎「無いですねー。今の時代、電車やら新幹線やら飛行機やらでどこでも行けますけど、特別用が無いとそれだけの時間と金を掛けて出掛ける事無いですし」 長野から出た事も無い? 京太郎「いえ、家族旅行とか修学旅行とかではありますけど……、東京方面に行った事は無いかな」 どうですか? 東京に来てみて。 京太郎「圧巻、ですよね。色んな建物が所狭しと立ち並んでますし、何より人が多いのなんの」 初日にして東京の洗礼を浴びましたか。 京太郎「そうなりますかね。で、初日の昨日は遠征ってのもあってみんなは旅館で休んでました」 みんなは? 京太郎「俺も疲れてましたけど、みんな程じゃなかったし、ちょっと休んだらじっと落ち着けなくなって、周りの地理を把握する意味でもと思って散歩したんですよ」 迷子にはなりませんでしたか? 京太郎「旅館の名前やらはメモってたので、地図アプリを開けば場所は分かりましたから、特に問題ということは無かったですね。咲とは違うのだよ! 咲とは!」 それ以上は宮永さんに怒られそうですが。 京太郎「あいつ麻雀絡ませない限りは怒っても大して怖くないですしねー。で、テキトーにその辺をほっつき歩いてたら、「あ! え、S君だ!」って突然声掛けられまして」 目線を入れない素顔の公開は今回が初なのに、掛けられたんですか。 京太郎「ええ。誰だ? と思って見てみたら穏乃……阿知賀女子の高鴨穏乃でして」 阿知賀女子のというと、奈良県代表高校の? 京太郎「ええ。そういや雑誌でそんな高校もあったな、と」 穏乃……というと。 京太郎「あー。まぁ話してる内に思いの外仲良くなった、というか。その時は向こうも礼儀正しくして、「あ、あの! 私麻雀部で、奈良県から出場してる高鴨穏乃って言うんですけど! 長野で清澄高校のS君ですよね!?」って聞かれまして」 前から思ってましたが、物真似上手いですよね。 京太郎「そうですか? それで、そうだけどって返したら、どうやら和の昔の友達らしくて」 ほほう。意外な所に接点が。 京太郎「他にも和の友達がいて、今の和について聞きたいからっつって阿知賀の人達が泊まってる部屋に案内されまして」 ホイホイと連れ込まれてませんかそれ。 京太郎「まー普通なら警戒するとこでしょうけど、毒気が抜かれるというか危機感を持つだけアホらしいというか、これで騙されてたら俺の見る目を一生信用出来ないってくらい無邪気だったんで。大人しく連れていかれました」 それで、連れ込まれてからどうなりましたか? 京太郎「一応俺を連れてくるっていう連絡は事前に入れてたみたいで。部屋に入った時に紙袋を被った人に「ふっふっふ、良く来たのですSK君!」って出迎えられました」 紙袋。 京太郎「頭を覆い隠してた紙袋の穴から長い黒髪が伸びてましたし、他の特徴と阿知賀女子の人ってのと照らし合わせて正体は松実玄さんってのはすぐ分かったんで、指摘したら「はうっ!? な、なんで分かったの!?」って言った後にハッとして「ち、違うよ!? 私は謎の覆面女子高生MK! 奈良県代表阿知賀女子麻雀部先鋒で、旅館を経営してる松実家の次女で、ドラ保有率100%故に阿知賀のドラゴンロードと呼ばれている松実玄ちゃんではないのです!」なんて取り繕い始めまして。隣にいた鷺森さんに「玄。余計な事までバラしてる」ってツッコまれてました」 なんでそんな奇天烈な行動を……。 京太郎「さぁ……? ともかく正体バレバレなのが分かると松実玄さんは紙袋脱いで、阿知賀女子の四人の人と自己紹介しました」 四人、ですか? 五人ではなく? 京太郎「一人は男性慣れしてないとの事で布団に包まってました」 布団に包まって。 京太郎「……まぁ男慣れしてる人ってのは一人もいませんでしたが、特にって感じで。あと監督もいたそうなんですが、その時は席を外してましたね」 それで、その四人と原村さんについて? 京太郎「いえ、和の友達は五人の内三人で、内一人は包まってたので、穏乃と玄さんの二人と、ですね」 玄さん? 京太郎「あー。姉妹で一緒にいたんで、松実さんだと混ざるからって名前呼びするように、と」 阿知賀女子の方と仲良くなるスピードが尋常じゃないですね。 京太郎「俺も結構なものだと自負してますが、向こうも向こうでコミュ強でしたからねぇ……」 彼女等の部屋にいる間はその二人とずっと原村さんについて語ってたのでしょうか? 京太郎「それがそうでもなくて……しばらく話してる内に、話の流れで玄さんが「ええ!? S君、おもちに触った事無いの!?」とか言い出しまして」 おもち? 京太郎「直訳すると女の子の胸の事です」 何故そんな話の流れに……。 京太郎「なんだったかなぁ……。和は今あれだけ大きいけど、小学生の頃から凄かったんだよーって玄さんが語り始めたからだったような」 それで、それから松実玄さんが胸…………おもちについて語っていたんですか。 京太郎「いや、そこからは話すぐ終わったんですよね。……いや終わらせられたというか……」 というと? 京太郎「俺が触った事ないです、と返したら玄さんが「それは勿体無い! 大丈夫なのです! おもちは友達! 怖くないよ! ほら!」とか言って、俺の手を掴んで自分の胸を鷲掴ませまして……」 え。 京太郎「俺が呆気に取られて何秒かぐいぐいさせられたら、玄さんも自分のやってる事に気が付いたんでしょうね。一気に顔が真っ赤になって弁解らしき言葉を口にしようと」 かなりおばか…………勢いで生きてる方なんですね。 京太郎「あまり包めてませんよオブラート」 ちなみに鷲掴んだ感触は如何でしたか? 京太郎「………………………………ノーコメントで」 京太郎「で、なにか言葉になる前に新子さん……包まってた人ですね。が、「くーーーろーーー……?」って、笑顔で怒ってる感じで玄さんの後ろに立ってまして」 いつの間に出て来てたんですか。 京太郎「俺達が話してる内に顔だけはちょこっと布団から出してたのは見えてましたね。で、それ見て怯えた玄さんを「逆セクハラ娘は出ていきなさい!」つって部屋から蹴り出してました」 先輩に容赦がありませんね、新子さん。 京太郎「幼馴染みだと年の垣根ってあって無いものかもですね……。それで、閉め出された玄さんが部屋の外で「お、お゛ね゛え゛ぢゃああああん!!」って泣き叫びながら、何故か部屋から遠ざかっていって、その後で宥さん……姉の方の松実さんが「く、くろちゃー……」つって追いかけてって、まず松実さん二人が部屋から消えまして」 まず? 京太郎「その後、新子さんに助け舟出してくれた事にお礼を言ったら、聞いたことの無い悲鳴? を上げられまして」 悲鳴? ……具体的にはどのような? 京太郎「確か「ふきゅ!」だったかな?」 また新しい悲鳴ですね……。 京太郎「そんでまくし立てるように穏乃にあれこれ言った後、新子さんも部屋から出て行っちゃって、俺と穏乃と鷺森さんの三人が取り残されました」 それで、その場はもう解散となった? 京太郎「俺はそうかなと思ったんですが、穏乃的にはそうでなかったらしく、ちょっと言い辛そうな感じでもじもじしてたんですよ」 おや、面白そうな反応が……。 京太郎「俺がどうした? って聞いたら穏乃は意を決した感じで「あ、あのね!」つって」 これは、まさか……!? 京太郎「「S君ってドラゴン○ール読んでる!?」って」 ズコーッ! 京太郎「うわっびっくりした! なんですか急に顔面スライディングして!」 い、いえ……思ってた反応と違ってたもので……。 767名無しさん@お腹いっぱい。2021/07/01(木) 17 45 44.38ID PTFFyHFK0 京太郎「まぁ俺も唐突! とは思いましたけどね。どうやら穏乃ってドラゴ○ボールの大ファンなんですけど、周りにそういうの語れる人がいなかったらしくて。男で同年代で和の友達の俺ならもしかしたら、って思ったらしいです」 同年代の男の子ならともかく、原村さんの友達は関係あるんでしょうか……。 京太郎「ある程度信用出来る男って意味なら、あるかもですね」 それで、S君は読んでるんですか? ドラ○ンボール。 京太郎「そりゃあもう。漫画は読破してますし、アニメもDVDが全部家にありますし、ゲームも全部とはいきませんが古いのから新しいのまで揃ってます」 かなりのファン度ですね。 京太郎「穏乃はゲームこそ無いものの、数あるド○ゴンボール映画をコンプリートしてましたよ」 そうなると、とても話が合ったんじゃないですか? 京太郎「そうですね。俺は男友達にもファンはいますけど、穏乃はそうじゃなかったんで、今までに語れなかった分を語り尽くそうって勢いで話してました」 その流れで下の名前呼びになったんですか? 京太郎「ええ。そろそろ帰らないとって時間になって、語り足りないし連絡先交換しようっつって、その時に」 東京初日で女の子の連絡先ゲットしたんですね? 京太郎「言い方!」 では、最後になにか一言。 京太郎「東京でオススメの、テイクアウト出来るタコスが売っている店を知っている方がいらっしゃれば、どうかコメントの方お願いします」 晴絵「…………私がいない間に何やってんだあんたら」 穏乃「いやーごめんなさい! 初めての東京でテンション上がって、その辺をダッシュしてたら京太郎君ぽい人見掛けちゃって! 確認したら本物だったからそのまま連れ込んじゃいまして!」 晴絵「いやそれもだけどさぁ……見ず知らずの男を部屋に招くとかさぁ……」 穏乃「? 和の友達だし、見ず知らずじゃないですよ?」 晴絵「そーなんだけどさぁ……」 灼「ハルちゃん。穏乃には何言っても無駄……」 憧「しずもしずだけど、玄も玄よ。なんであんなに恥を晒したわけ?」 玄「言い方酷くない!?」 灼「須賀君が部屋にいる間、ほぼずっと布団に包まってた憧も大概だと思……」 憧「そ、それは仕方ないでしょーよ! 部屋でだらだら過ごしてたらいきなりしずから連絡来て「S君見つけた! 今そっちに一緒に向かってるー!」とか言うのよ!? 心の準備ってものがあるでしょ!?」 穏乃「でも憧、雑誌で京太郎君の写真とかコメントとか読んで、「ふーん。まぁ、悪い奴じゃないかもね」とか言ってたし、男の子苦手な憧でも大丈夫かなって思ったんだけど」 憧「……違うのよ……悪い奴どころか、本物見たら超タイプだったのが問題なのよ…………」 穏乃「へ?」 憧「と、とにかく! どーすんのよ玄。あの時の事が知られて、アンタこれから「初対面の男に胸触らせた痴女」って事になるんだけど?」 晴絵(動画のコメントだと「勢いで胸触らせちゃうおばか女子高生」って感じだけどな……) 玄「痴女!? ち、違うよぉ。私本当にそんなつもりなくて……」 憧「和だってそんなつもり無いけど、ネットじゃ「長野が生んだエロの化身」とか呼ばれてるわよ。そこ行くと玄は「奈良が生んだエロの化身」になるわね」 玄「うぇぇん! そんな渾名つけられたらもうお嫁に行けないぃぃぃ!!」 灼「そしてそんな化身と一緒に出場する私達……」 憧「言うな……言わないで…………」 玄「おねえちゃぁぁぁん!!」ビエー 宥「だ、大丈夫だよ玄ちゃん。その時は、ほら。責任を取ってもらう? って事で……」 晴絵「逆セクハラした立場でそれは難しくない……?」 穏乃(今度は和や清澄の人達とも一緒に話せたらいいなー) ちなみに、公表されたSKの素顔に注目が集まったので、阿知賀女子麻雀部の事柄はそれ程話題に挙げられなかったという。 カン 前話 次話
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【インターハイ2日目】 竜華(眠れへん……) 京太郎(眠れねぇ……) 京太郎「ふぁぁあ」 咏「お、眠そうだねぃ」 京太郎「まあちょっとな」 京太郎「そうだ、咏、特訓しようぜ」 咏「いいけど、あんまり無理すんなよな」 京太郎「わかってるって」 京太郎「すぅ……」 咏「ロン、48000」 京太郎「はっ!」 京太郎「あれ、いつの間に飛ばされてたんだ?」 京太郎「昼飯、どうしよ」 京太郎「で、どこ行く?」 咏「うーん、そうだねぃ」 店員「ただいまスシロー全品100円セールを行っておりまーす」 咏「あれでいいんじゃね、知らんけど」 京太郎「寿司か……」 京太郎「金、持つかな……」 京太郎「咏って意外と食べるんだな」 咏「前も一緒に朝飯食ったろ」 京太郎「あのときは咏がへこんでたからあんまり食べてなかったような気が」 咏「そういえば裸見られたんだっけねぃ」 京太郎「あれは本当にすまなかった」 咏「いいよ、昔のことなんて」 咏「さ、食い終わったしどっか行こうぜ」 京太郎「おう!」 京太郎「三枚は少なかったかな?」 京太郎「午後はどうしようかな」 京太郎「一応宿舎に戻ってきたけど……」 京太郎「そうだ!遊びに行こう!」 京太郎「でも一人は寂しいから」 ――――――――――――――― 京太郎「竜華さん、怜さん遊びに行きましょう!」 怜「ええけど、遠出するのは嫌やな」 竜華「何する?」 京太郎「人生ゲームしましょう!」 怜「ボードは?」 京太郎「郁乃さんから借りてきました!」 竜華「3人だけでやるん?」 京太郎「もちろんじゃないですか!」 竜怜「「はぁ……」」 京太郎「あ、そうだ」 京太郎「1位の人が2位の人に1つ命令をして」 京太郎「1位の人と2位の人が1つずつ3位の人に命令するって言うのはどうですか?」 怜「ま、私の楽勝やな」 竜華「怜、あれ使ったらダメやから」 怜「えっ」 怜「私の勝ちやな」ドヤ 京太郎「まさかカジノで全勝するとは……」 竜華「ズルい!ズルいで怜!」 怜「勝った私が正義やもーん」 怜「ほな、命令タイムや」 怜「まずは京くんやな」 京太郎「な、何をすれば?」 怜「うーん……」 怜「膝枕」ボソッ 怜「膝枕よろしく」 京太郎「そんなのでいいんですか?」 怜「ええんや、よっと」 竜華「京くん……」ジトッ 京太郎「うっ、すみません」 竜華「何しとんの!膝枕いうたら頭なでなでもするんや!」 京太郎「そんなことだったんですか!?」 怜「京くん早く」グイグイ 京太郎「わかりましたよ」ナデナデ 怜「えへへ」 怜「少し硬いけど、アリやな」 竜華「で、ウチは?」 怜「そうやな……」 怜「私の耳を甘噛みしてもらおか」 怜「出来なかったら昨日のことバラすで」 京太郎「昨日のこと?」ナデナデ 怜「2人で仲良く混浴しとったこと」 竜華「なんで怜がそれを!?」 怜「そらわかるやろ、京くんの靴はあるのにどこにもいない」 怜「シャワー浴びとるとき、竜華はいつも鼻歌歌っとんのにやけに静か」 怜「今の反応からして私の推理は当たっとったみたいやな」 怜「さあ、どうする?」 竜華「ど、どうしよ」ボソボソ 京太郎「ヤっちゃえばいいんじゃないですか?」ボソボソ 竜華「でも、怜の耳なんて……///」ボソボソ 京太郎「あのことがみんなにバレたらどうなると思いますか?」ボソボソ 竜華「ぅぅ……」 竜華「わかった、やったる!」 竜華「いくで、怜」カプッ 竜華「ほ、ほうふぁ?」ハムハム 怜「く、くすぐったいからしゃべらんといて」 竜華(怜、いい匂いするなぁ……せや) 竜華(このくらい、ええやろ)ペロッ 怜「あっ、りゅ、竜華何を」 竜華(おいしいわぁ)レロレロ 怜「や、やめて……」 竜華(怜の首……) 竜華「……ぷはっ」 竜華「いただきまーす」 怜「んんっ!りゅ、りゅうかぁ……」 竜華(怜の首、白くて、やわらかくて、スベスベしとって)レロレロ 竜華(最高やぁ……)レロレロ 京太郎(静まってろ我が息子!いくら目の前でやられてるからといって焦っちゃいかん!) 怜「すぅ……」 京太郎「怜さん、寝てしまったみたいですね」 竜華「満足満足」 京太郎「それで、俺からの命令なんですけど」 竜華「わ、忘れとった……」 京太郎「腕枕させてください」 竜華「う、腕枕!?」 京太郎「はい、どうぞ」 竜華「う、うん……」 竜華(は、恥ずかしい!) 竜華(京くんと一緒に寝とるってだけでも恥ずかしいのに、腕枕て) 竜華(京くんも恥ずかしがってるんやろな)チラッ 京太郎「ぐぅ……」 竜華(寝とるんかい!) 竜華(全く、京くんは全く!) 怜「すぅ……」 京太郎「んぅ……」 竜華(ウチも寝よ) 京太郎「う、腕が動かねェ……」 京太郎「もう夜か」 京太郎「清澄……咲とモモのところは勝ったのかな」 京太郎「外食してくるか」 京太郎「昨日は宿舎ですませたんだよな」 竜華「……ん、京くんどこ行くん?」 京太郎「少し外へ」 竜華「そか、行ってらっしゃい」 京太郎「またまた来たぜ財布の味方サイゼリヤ!」 竜華「いっつも来とるん?」 京太郎「はい、いつもは相席なんですけど」 京太郎「今日は違うようです」 竜華「……あれ、ここ料理が残っとるけど」 桃子「きょ、京太郎!」 竜華「うわっ!」 京太郎「なんだ、モモか」 桃子「それはこっちの台詞っすよ」 桃子「その人は一体誰っすか?」 京太郎「この人は千里山の清水谷竜華さん」 桃子「ああ、個人戦の人っすか」 桃子「デートでもしてるんっすか?」 竜華「ち、ちゃいます!」 竜華「京くん、この子は?」 京太郎「俺の幼馴染の東横桃子っていうんですよ」 京太郎「清澄の部員です」 桃子「まさか京太郎が彼女を作ってたなんて意外だったっす」 桃子「あとで咲にも報告っすね」 京太郎「いや、恋人とかじゃないから」 メニュー 東北風グラタン 関東風ドリア 中部風カルボナーラ 関西風タコのカルパッチョ 九州風ハンバーグ 京太郎「それで、清澄はどうだったんだ?」 桃子「中堅戦で部長が飛ばして終わりっすね」 京太郎「モモたちがBブロックで俺たちはAブロック」 桃子「戦えるとしたら決勝で、っすね」 京太郎「おう、絶対負けんなよ」 桃子「そっちこそ」 竜華「2人とも仲ええなあ」 京太郎「怜さんと竜華さんみたいなものですよ」 桃子「そっちも十分仲良さそうっすけどね」 【2日目】終了 【インターハイ 3日目】 京太郎「明後日がとうとう初戦か」 京太郎「今日の試合で勝ったところと当たるんだよな」 京太郎「気にせず麻雀するか」 京太郎「ここが対局室か」 郁乃「お~京太郎くんええところに来たな~」 郁乃「ここで打たへん?」 京太郎「いいですけど、他の面子は?」 郁乃「咏ちゃんとエイちゃんと憩ちゃんやで~」 京太郎「郁乃さんは打たないんですか?」 郁乃「善野ちゃんと試合見に行くからな~」 郁乃「ほなよろしく~」 京太郎「勝手な人だな……さて」 京太郎「始めましょうか」 京太郎(北大阪地区予選、最高火力の咏) 京太郎(和了率全国一のエイスリンさん) 京太郎(そして昨年の個人戦2位の憩さん) 京太郎(相手にとって不足なし!) 京太郎(ってか凄すぎるだろこのチーム) 咏「うっし!」 エイスリン(テンパイ!) 京太郎(普通に負けそうな気がする) 憩(この2人は厄介やさかい) 憩(ちょっと様子見や) 咏「ロン!12000!」 東2局 京太郎 25000 親 エイスリン 13000 咏 37000 憩 25000 エイスリン「ウウッ……」 カキカキ 咏(ふっふーん、次は三倍満いっとくかねぃ)トン エイスリン「ロン、12000!」 エイスリン「フリダシ!」 東2局1本場 京太郎 25000 親 エイスリン 25000 咏 25000 憩 25000 憩(エイスリンさんはやっぱ凄いなぁ、でも)トン エイスリン「フフフ、ロン!」 憩(これで打ち止めや) 【白衣の護り】発動! 咏「お、それって」 エイスリン「24300!」 憩「……え!?」 東2局2本場 京太郎 25000 親 エイスリン 49300 咏 25000 憩 700 憩(聴牌……ここが使いどころやな) 憩(来て!) 【孔穿つ閃光】発動! 憩「よっと」スチャ 憩(なるほど、今回はこれか) 憩(点数少ないんやけどなぁ) 憩「カンや!」 憩「嶺上ツモ、500・700」 東3局 京太郎 24500 エイスリン 48600 親 咏 24500 憩 2400 京太郎(あれ、か……) エイスリン(カケナイ) 咏(一向聴までは来てみたけど……) 憩「ツモ、1300・2600!」 憩(この3人、きっついわぁ) オーラス 京太郎 23200 エイスリン 47300 咏 21900 親 憩 7600 憩(2位浮上には最低でも跳満) 憩(一か八か)ピキーン 【孔穿つ閃光】発動! 憩(ダメや、次にかけよか) 憩(これで、最後……) 憩(今さらか……) 憩「海底ツモ、2000オール!」 オーラス1本場 京太郎 21200 エイスリン 45300 咏 19900 親 憩 13600 京太郎(ううむ、6400、点棒付けて6700) 京太郎(まくれないか……) 京太郎(でも咏や憩さんに和了られるよりはいいか) 京太郎「ロン!6700!」 終局 エイスリン 45300 京太郎 27900 咏 19900 憩 6900 京太郎「2位か、まああの面子相手によくやったよ」 京太郎「ん?天下一品?」 京太郎「確か大阪にもあったな、食べてみるか」 京太郎「そういえば昨日までは誰かと昼食べてたんだよな」 京太郎「久しぶりのぼっちか……」 京太郎「対策をしよう!」 京太郎「初戦の相手は……」 京太郎「埼玉代表の越谷高校、兵庫代表の剣谷高校、奈良代表の阿知賀女子」 京太郎「阿知賀は松実さんたちのいるところだっけな」 京太郎「対策は俺に任せろー」 京太郎「剣谷高校……何か感じるな、ここの対策をするか」 京太郎「持ってきてよかったパソコン、あってよかったネット環境」 京太郎「さてと、一応全部見てみるか」 ――――――――――――――――― 京太郎「目を見張るべきは副将戦の人、森垣さんか」 京太郎「このおもちはなかなかのなかなかだな」フム 京太郎「よし、対策開始!」 京太郎「森垣友香、剣谷高校一年生」 京太郎「帰国子女のおもちもち、っと」 京太郎「手の速さと高火力が目立つな」 京太郎「でも咏には劣るか?」 京太郎「捨て牌のくせ、組み方、よし」 京太郎「取りあえずレポート完成、憩さんにメールしておくか」 京太郎「対策は誰かと一緒に立てるのもありかもな」 京太郎「船久保さんとか霞さんとか、後は郁乃さんも良い対策を立ててくれそうだ」 夜 京太郎「霞さんにお願いしてみるか」 京太郎『対戦校の対策を立てたいのですが、手伝ってくれませんか?』 京太郎「こんな感じかな」ポチッ 竜華「京くん何しとるん?」 京太郎「ちょっとメールを」 竜華「じゃあ今風呂入らへんの?」 京太郎「はい、先いいですよ」 竜華「ほな入らせてもらうわー」 京太郎「竜華さんの入浴……」ゴクリ ヴーッヴーッ 京太郎「返ってきた」 霞『別にいいけど、いつやるの?』 京太郎「うわ、それを忘れてたか……どうしよ」 京太郎「今からは無理だし、明日の夜もな」 京太郎「午前だな、よし」 京太郎『明日の午前9時に対局室で会いましょう』 霞『了解よ、おやすみ』 霞『P.S.竜華ちゃんに手を出したらいくら京太郎くんでも』 霞『”容赦”しないから』 京太郎「なんでただのメールで」ガクガク 京太郎「こんなに怖いと感じるんだ」ガクガク 竜華「お風呂あがったで、京くんどうぞ」 京太郎「はい……」カタカタ 【3日目終了】 【インターハイ 4日目】 京太郎「ふぁぁ、今は……7時か」 竜華「ん……ときぃ……」ギュッ 京太郎「」 京太郎「竜華さんのおもちは離れがたかったけど、約束は守らないと」 京太郎「おはようございます!」 霞「あら、早いのね」 京太郎「時間ピッタリなんですが」 霞「京太郎くんのことだから1時間くらい遅れるかと」 京太郎「評価低すぎじゃないですか?」 霞「それで、誰の対策をするのかしら」 京太郎「松実宥さんにしようかと」 霞「ああ、宥ちゃんね。わかったわ」 霞「これが牌譜よ、あと一回戦の映像」 京太郎「誰でも郁乃さんなら大丈夫だと思いますが、一応」 霞「それで、どう思う?」 京太郎「混一色、清一色が多いですね」 霞「そうね、宥ちゃんはどうやら中や萬子が多く集まるようね」 京太郎「そんなことがあるんですか?」 霞「この牌譜と映像が証拠ね」 霞「それに、そんなオカルトはあり得るわ」 霞「私と対局するとき、急に一つの色の牌が来なくなるときとかなかった?」 京太郎「そんな、まさか……」 霞「このインターハイにはそんな子が何人もいるの」 霞「剣谷や越谷には少ないようだけれどね」 京太郎「オカルト、か」 京太郎「咲の嶺上も、モモのステルスも」 京太郎「麻雀とはなんなのか」 京太郎「そば屋に来てみたぞ」 京太郎「夏だからな、涼しいものを食べたい」 京太郎「ざるそばでいいよな」 京太郎「涼んだところで、午後はどうするかな」 京太郎「街に行こう」 京太郎「どこに行くかな」 京太郎「明治神宮に来てみたぞ」 京太郎「ん、あれは……」 哩「あの縄……縛られたかぁ」 姫子「鳥居に吊るされれば尚更よかとです」 哩「おお、流石は姫子」 京太郎「どんな話してるんですか」 哩「君は須賀君やなか!三倍満の!」 姫子「部長よく覚えとるとですね」 哩「あの三倍満は気持ち良かった」ゾクゾク 京太郎(この人たちがよくわからない) 京太郎「お2人は何をしにここへ?」 哩「神頼み」 姫子「インターハイ優勝できるようにってお願いしに来たとです」 京太郎「新道寺はAブロックでしたよね」 哩「須賀君のおる三箇牧もだろ?」 京太郎「なんで知ってるんですか?」 哩「あの後福岡に帰ってから調べたけん、北大阪の男子個人戦1位やって」 哩「須賀君、頼む!また私に打ちこんで!あの大きか直撃!」ドゲザ 姫子「私もお願いします!」ドゲザ 京太郎「ちょ、お2人とも立ってください!みんな見てますよ!」 哩「……」チラッ 姫子「……」チラッ 哩姫「「それもアリ!」」ドゲザー 京太郎「いやナシだよ!」 京太郎「あの2人は調子狂うな、ほんと」 京太郎「ただいまですー」 竜華「お帰りー」 怜「お帰りー」 京太郎「あれ、怜さん来たんですか」 竜華「今日は怜も一緒に寝るんやで」 京太郎「ああ、そうですか」 京太郎「じゃあお菓子でも食べましょうか……って」 京太郎「は!?」 京太郎「じゃあトッポでも食べますか」 竜華「支点、力点、作用点!やな」 京太郎「それはポッキーです」 竜華「うまいっ!」 怜「テーレッテレー」 京太郎「それもうチョコ菓子じゃありませんよ」 怜「いやーでも明日が三箇牧の初戦かー」 竜華「ウチらに勝ったんやから負けたら許さへんで」 京太郎「じゃあ俺はお2人にあんなことやこんなことをされるんですか」 怜「せやな、決めとかなあかんな」 竜華「あ、あんなことやこんなこと……///」 怜「京くんも頑張ってな、最後まで元気たっぷり、そう――――」 怜「このトッポのように!」ドヤァ 竜華「あんまし上手ないな」 京太郎「トッポはこんなに美味いのに」 怜「……」ジトッ 竜華「……」ジトッ 京太郎「すみませんでしたぁっ!」 【4日目】終了 【インターハイ 5日目】 京太郎「とうとう初戦か、気合入れないとな!」 京太郎「試合は10時からで、今は7時」 京太郎「なんかやるか」 京太郎「もう会場に行くか」 ――――――――――――― 京太郎「ここが三箇牧の控室だな」 京太郎「お菓子と、飲み物と」 京太郎「よし、これで準備万端だ!」 インターハイ女子団体戦Aブロック2回戦――――― 熱き戦いが今――――― 始まるッ! えり「さあ、インターハイもついに5日目、今日から二回戦が始まります」 えり「本日戦う8校のうち、準決勝進出を果たすのは4校」 えり「二回戦第二試合の各選手が対局室に向かいます」 えり「過去4回の出場は全て初戦敗退、今年ついに悲願の二回戦進出を果たしました埼玉県代表越谷女子、先鋒の新井ソフィア」 えり「全国屈指の激戦区兵庫県を勝ち抜き初戦では群馬と茨城を圧倒した劔谷高校からは、椿野美幸」 えり「そして奈良県代表、阿知賀女子学院、10年ぶり二度目の出場。先鋒は松実玄」 えり「前回出場時のエース選手赤土晴絵が監督を務めています。10年前はベスト8までいきました」 えり「そしてこの二回戦からついに登場するシード校は」 えり「過去34回出場、激戦区北大阪を連続で制していた千里山女子!!」 えり「―――を倒し、異例のシード権を獲得した、三箇牧高校!」 えり「先鋒を務めるのは、言わずと知れた昨年の女子個人戦チャンピオン」 えり「宮永照」 ―――――――――――――― 京太郎「ついに来ましたね!」 照「うん」 憩「ってまだ行ってなかったんかいな」 照「もう行くから、あと3分」 京太郎「それ絶対行かないパターンのやつでしょ」 照「…………」 玄(この人が、宮永照!) 美幸(せっかくここまで来れたのにこの人と当たるなんてやだよ、もー) ソフィア(どうやって勝てばいいんだ?) 照(他の人たちの目が怖い) 開局 親 宮永照 100000 ソフィア 100000 美幸 100000 玄 100000 ソフィア(チャンピオンは東1局で和了ることは少ない) ソフィア(今のうちに速攻でリードする!) ソフィア(って言ってもドラが無いから打点ひっくいな……) 玄(ドラはあるのに……)トン ソフィア(相手はチャンピオンなんだから、1000でも儲けもんだよな) ソフィア「ロン、1000」 照「………」 美幸「っ!」 玄「!?」 照(越谷は速攻型、劔谷はどちらかといえば防御) 照(阿知賀は……なんだこれ) 照(手強そうなのは阿知賀だな) 東2局 宮永照 99000 親 ソフィア 101000 美幸 100000 玄 100000 照(阿知賀はドラを捨てられない……) 照(試してみるか) えり「ここで宮永選手、三面張を取らず間張で聴牌」 玄(いきなり点取られちゃったよぉ……)トン 照「ロン、1000」 玄「はい……」 えり「今のはおかしな手順でしたね」 良子「宮永は待ちを悪い方にとってテンパイ、松実はドラを切らずに他の牌を切って振り込んだ、という手順のことですか?」 えり「はい、不思議というか、何というか」 良子「おそらく松実は何らかの縛りを受けている、今までの牌譜からはそのような傾向が見られる」 えり「縛り、ですか」 東3局 宮永照 101000 ソフィア 101000 親 美幸 100000 玄 98000 照(今日はエイスリンさんまで回るといいな……) 照(阿知賀の人、テンパイしてない) 照(よし) 照「ロン、2000」 玄(ま、またなのぉ……) 玄(でも、赤土先生に教えてもらった) 玄(宮永さんには、弱点があるって) 玄(まだまだ!) 東4局 宮永照 103000 ソフィア 101000 美幸 100000 親 玄 96000 京太郎「全然ドラが来ませんね」 憩「あの松実玄ちゃんに全部持っていかれとるみたいやな」 咏「あんなの相手にしたくないねぃ」 エイスリン「テル、ツライ?」 郁乃「せやな~ドラ無いと打点上げづらいからな~」 照「ロン、3900」 照(なんだっけ、この人の名前) 照(確か……新井ケフィアだっけ) ソフィア(いいえ、ソフィアです) 南1局 親 宮永照 106900 ソフィア 97100 美幸 100000 玄 96000 照(親、後ろにどんな人がいるか分からないし) 照(なるべく稼いどかないと) 照(平たくしたいけど……) 玄(うぅ……) 照(何でこの子がいつもアガリ牌持ってるんだろう) 照「ロン、7800」 南1局1本場 親 宮永照 114700 ソフィア 97100 美幸 100000 玄 88200 穏乃「玄さん大丈夫かな」 憧「こんなのもう制約とか関係無しに運が悪いとしか言えない」 宥「まだ、大丈夫だよ」 照「ロン、9900」 ソフィア「はい」 美幸(テンパイできてるのに、やだこれもー) 照(越谷の人、歌上手そうだな……) 南1局2本場 親 宮永照 124600 ソフィア 87200 美幸 100000 玄 88200 えり「流石はチャンピオン、今のところ5連続和了」 良子「阿知賀の松実に縛りがあるとすれば、宮永にも縛りはある」 えり「どういうことでしょうか?」 良子「彼女は和了る度に打点を上げている、例えばこの試合」 えり「ここまでの打点は1000-2000-3900-7800-9600ですね」 良子「次は少なくとも11600以上と予想できる、彼女はこれを毎試合行っているわけだ」 良子「わざわざ高目を見逃してロウな和了をしたり、これも一種の制約と考えられる」 良子「それがトゥルーならば、そろそろガタが出てくるはず」 えり「松実玄、ですか」 照「リーチ」 美幸(早すぎるよもー) ソフィア(安牌がさっぱりだ、クソッ)トン 照「ロン、12600」 南1局3本場 親 宮永照 137200 ソフィア 74600 美幸 100000 玄 88200 照(次は跳満、きついな) 照(阿知賀、おそらく次にまた戦うかも) 照(ドラを使わずにってすごい制限プレイ) 美幸(ずっと和了れないじゃんもー) ソフィア(抉られてんな……) 玄(全然テンパイできない……どうしよぉ、お姉ちゃん) 照「ロン」 玄「うっ」 照「18900」 ソフィア(そろそろ止めないと!) 美幸(でもどうやって……) 南1局4本場 親 宮永照 156100 ソフィア 78500 美幸 100000 玄 65400 同コンマのため、流局 南1局5本場 親 宮永照 157600 ソフィア 77000 美幸 98500 玄 66900 照(流れた……) 照(阿知賀がいい感じに止めてくれるかと思ったけど、まだ続けなくちゃなの) 照(はぁ……) 照「ロン、3000」 南1局6本場 親 宮永照 160600 ソフィア 77000 美幸 95500 玄 66900 えり「チャンピオン宮永止まらない!」 えり「流局してもなお攻め続けます!」 良子「流局で親が流れれば楽だったのだが、これではもうどうなるかわからないな」 照「ツモ、1600オール」 南1局7本場 親 宮永照 165400 ソフィア 75400 美幸 93900 玄 65300 照「ツモ、2000オール」 京太郎「これ、地区予選のときより酷くありません?」 郁乃「私に回ってくるかが不安やな~」 エイスリン「マタデバンナシ?」 憩「いやいや、流石に照ちゃんでもわかっとるやろ」 咏「そうだといいんだけどねぃ……」 南1局8本場 親 宮永照 171400 ソフィア 73400 美幸 91900 玄 63300 照「ロン、10200」 玄「はい……」 玄(まだ、みんなの点棒を守らなきゃ!) ソフィア(これがチャンピオン……敵うわけがないんだ) ソフィア(あははははははははははははは) 美幸(このまま友香ちゃんまで行くかな……) 照(いつまで続くんだこれ) 南1局9本場 親 宮永照 181600 ソフィア 73400 美幸 91900 玄 53100 照(次は9600辺り……阿知賀はカンドラとか裏も集めるのかな) 照「カン」 照「リーチ」 照(カンドラも河に無しって……) 照(じゃあ裏は……) 照「ロン、12300」 照(裏は、っと) 照(無いな……) 南1局10本場 親 宮永照 193900 ソフィア 61100 美幸 91900 玄 53100 照(10本場か、計算楽でいいな) 美幸(あと少しで届きそうなのにー!) ソフィア(次和了って20万点っておかしいだろ……) 照「ツモ、5000オール」 南1局11本場 親 宮永照 208900 ソフィア 56100 美幸 86900 玄 48100 美幸(チャンピオンを止める方法……!) 美幸「ポン!」 美幸「ポン!」 照(この人……) 美幸「まだまだあきらめないよーもー!」 美幸「ロン!1000の11本場、11!?」 美幸「11本場は4100!」 玄「はい……」 ワァァァァ えり「ついに宮永照の連荘が止まりました!」 えり「その長さ11本場!止めたのは劔谷高校椿野美幸です!」 郁乃「凄い歓声やな~」 京太郎「なんか悪役みたいですよね」 南2局 宮永照 208900 親 ソフィア 56100 美幸 91200 玄 43800 照(やっと終わったか……) 照「ロン、1000」 南3局 宮永照 209900 ソフィア 55100 親 美幸 91200 玄 43800 玄(劔谷の人が止めてくれた……この人は諦めてないんだ) 玄(私も、諦めない!もう振り込まないよ!) 照「ロン、2000」 ソフィア「はい……」 玄(よし!)フンス オーラス 宮永照 211900 ソフィア 53100 美幸 91200 親 玄 43800 ソフィア(後半ずっと私しか振り込んでないぞ……) ソフィア(あれ、後半長くね?どっから後半?) 照「ロン、3900」 えり「先鋒戦ついに決着ー!」 えり「三箇牧の先鋒宮永照の連続和了が他校を圧倒!2位とは12万点差をつけています!」 えり「劔谷高校は難を逃れ現在2位」 えり「越谷女子と阿知賀は拮抗状態となっています」 先鋒戦終了 三箇牧 215800 (+115800) 越谷女子 49200 (-50800) 劔谷 91200 (-8800) 阿知賀 43800 (-56200) 照「お疲れ様でした」 玄「ありがとうございましたぁ……」 美幸「おつかれっした、もー」 ソフィア「しんどいわー」 京太郎「ようやく、ですね」 郁乃「ほな行ってくるな~」 郁乃「なんとか飛ばさないように頑張るわ~」 咏「よろしく頼むねぃ」 京太郎「さて、俺も少し出るか」 京太郎「ふいー出た出た、照の試合長かったからなー」 良子「お、須賀くんじゃないか」 京太郎「あ、戒能さん」 京太郎「解説よかったですよ、わかりやすくて」 良子「そ、そうか、少し自信が無かったんだが……良かったか」 良子「センキュー、須賀くん」 良子「まだまだ頑張ってみるよ」 京太郎「早く終わっちゃいそうですけどね」 良子「そうだ!聞いてくれ!」 京太郎「な、なんですか」 良子「針生アナと連絡先を交換したぞ!」 京太郎「本当ですか!おめでとうございます!」 良子「リアリー感無量だ!」 ピンポーン 「間もなく次鋒戦が開始します」 「各選手は対局室にお集まりください」 ピンポンパンポーン 良子「おっと、もう行かなくてはいけないようだ」 良子「グッバイ」 京太郎「はい、頑張ってくださいね!」 良子「オフコースだ!」 ―――――――――――――― 宥(玄ちゃんの取られた点棒、お姉ちゃんが取り返すからね)ギュッ 郁乃「夏にマフラーか~変わっとるな~」 宥(この人が、赤阪さん……) えり「解説は引き続き戒能プロ、実況は私、針生が務めます」 えり「場決めも終わったところで、次鋒戦、開始です」 東1局 親 郁乃 215800 宥 43800 澄子 91200 花子 49200 花子(テンパイ来たか!) 花子「うっし、勝負!」 宥(テンパイできないよぉ……玄ちゃんもこんな感じだったのかな……) 郁乃(松実ちゃんはたしか白糸台行ったときにおったな~) 郁乃(まあ、あっちは一回も会っとらんから憶えとらんみたいやけどな~) 花子「ツモ、1600・3200!」 東2局 郁乃 212600 親 宥 42200 澄子 89600 花子 55600 花子「このまま!リーチだ!」 郁乃(越谷の子の次は阿知賀の子やな~) 郁乃(そういえば阿知賀っていうと……) 宥(テンパイできたぁ~) 宥(赤土先生のアドバイスを守って稼がないと) 澄子(なんだか調子悪いですね……) 澄子(先輩が守ってくれた点棒、私が増やしますよ)トン 花子「ロン、5200」 東3局 郁乃 212600 宥 42200 親 澄子 84400 花子 60800 宥(玄ちゃん……) 宥「リ、リーチ」 宥(私、頑張る) 郁乃(今度は松実ちゃんの番やで~) 郁乃(京太郎くんが言うには萬子と中が来やすい、やったっけ) 郁乃(姉妹揃っておもろいな~) 花子(三箇牧と劔谷はオリたか……) 花子(でもこの点差、まだまだ勝負!) 澄子(テンパイできない……もう嫌ですよぉ) 宥「ツ、ツモです!」 澄子(い、一発……親被り) 澄子(でも、役によっては!) 宥「8000・16000」 宥「九蓮宝燈…です」 澄子「」 東4局 郁乃 204600 宥 74200 澄子 68400 親 花子 52800 宥(玄ちゃん……できたよ)ギュッ 穏乃「宥さん凄い!」 憧「でも九蓮宝燈和了ったからテンパイできてないみたいだね」 灼「死なないといいけど」 玄「お姉ちゃあああん」ウワーン 晴絵(役満……流石は妹、と言ったところか) 晴絵(赤阪……) 澄子(役満親被りとか……ありえないでしょ) 澄子(私も頑張りますよ) 澄子「ツモ、1600・3200」 南1局 親 郁乃 203000 宥 72600 澄子 74800 花子 49600 えり「前々局、九蓮宝燈わ和了した松実宥またもやノーテン」 えり「そして三箇牧の赤阪郁代の単独テンパイです」 えり「彼女の過去の牌譜を見ると、役満を多く和了るようですね」 良子「それだけじゃない、彼女の入った卓では必ず役満を和了る者が出る」 良子「それが偶然なのか、彼女の特性なのかはわからない」 えり「そんな卓には入りたくないですよ……」 郁乃(一回も和了っとらんのは少しアレやから~) 郁乃「ツモ、3200オールやで~」 南1局1本場 親 郁乃 212600 宥 69400 澄子 71600 花子 46400 郁乃「ツモ、3300オール」 宥(また、頑張らないと……) 花子(三箇牧強すぎんだろ、どうなってんだよ) 澄子(こうしてどんどん地味になっていくんでしょうね) 南1局2本場 親 郁乃 222500 宥 66100 澄子 68300 花子 43100 郁乃(う~ん、ここまでやな~) 郁乃(ちょ~っとミスってもうたわ) 宥「リーチ」 えり「ここで松実、先制リーチをかけますっと……これは……」 良子「立直面清タンヤオ平和二盃口、三倍満」 良子「裏が乗れば、或いは――――」 宥「ツモ」 良子「一発ツモで、役満だ」 宥「8200・16200」 南2局 郁乃 206300 親 宥 98700 澄子 60100 花子 34900 穏乃「また役満!?」 憧「いやいや、有り得ないでしょ」 玄「お姉ちゃあああん!」ウワーン 灼「よしよし」 ――――――― 京太郎「役満2回目ですか……」 咏「前も2回だったねぃ」 憩「これ回ってくるんかな……」 宥「ツモ、4000オール」 南2局1本場 郁乃 202300 親 宥 110700 澄子 56100 花子 30900 郁乃(さ~てと) 郁乃「ここまでやで~」 花子(何言ってんだこいつ) 澄子(よほど配牌が良かったのでしょうか……配牌?) 郁乃「ツモ~」 郁乃「8100・16100やで~」 花子(えっなにこれは) 澄子(次元が違いますわ) 南3局 郁乃 234600 宥 94600 親 澄子 48000 花子 22800 郁乃(あ~やりすぎたな~) 郁乃(松実ちゃん張ってそうやから~)トン 宥「ロン、16000です」 郁乃「はいはい~」 澄子(さ、最後の親番が……) オーラス 郁乃 218600 宥 110600 澄子 48000 親 花子 22800 澄子(テンパイ…さっきまで粘りますよ!) 花子(劔谷折れねえな……こっちはテンパイできてねえってのに) 宥(玄ちゃん、点棒取り返したよ) 郁乃(あ~とは) 郁乃(無難に華麗に店じまいや~) 郁乃(店じまいの意味ちゃうけどな~) 澄子(これでオーラスに和了れば私も目立てるはずです!)トン 郁乃「ロン、6400」 郁乃「終わりやで~」 澄子「……え?」 えり「次鋒戦決着ー!」 終局 三箇牧 225000 (+9200) 阿知賀 110600 (+66800) 劔谷 41600 (-49600) 越谷 22800 (-26400) えり「阿知賀は最下位から一気に2位へ」 えり「和了りは役満、数え役満、倍満と圧倒的な火力」 えり「越谷、劔谷はともに順位を落としています」 えり「そして三箇牧はリードを保ちトップ、となりました」 えり「役満ツモが3回もありましたが、戒能プロはどう思いましたか?」 良子「どう考えたっておかしいだろこんなの」 えり「中堅戦は、休憩をはさんで開始です」 ―――――――――――― エイスリン「セイロン!」 照「正論」 憩「正論やな」 咏「このまんまだと飛んじまうけどいいんかい?」 エイスリン「ソレハダメ」 咏「んー、どうすりゃいいかわっかんねぇな」 咏「ま、てきとーにやってくるわ」 霞「行ってらっしゃーい」 照「そういえば、京は?」 憩「もう出て行ったで」 京太郎「俺も役満和了ってみたいなぁ……」 京太郎「と、菓子屋に到着だ」 京太郎「ん?あれは……」 郁乃「ほなまた後でな~」 ??「頑張ってな」 アリガトウゴザイマシター 郁乃「善野ちゃん元気そうでよかったわ~」 京太郎「ああ、今の人が善野さんですか」 郁乃「きょ、京太郎くん!?」 京太郎「郁乃さんが驚くなんて珍しいですね」 郁乃「な、なんでここに?」 京太郎「照に菓子買ってきてって言われたんで。あ、もちろん郁乃さんの分もありますよ」 京太郎「焼きプリンとかシュークリームとか」 郁乃「…………」 京太郎「郁乃さん?」 郁乃「そ、そっか~おおきにやで~」 郁乃「ほな私ちょっとお花摘み行ってくるわ~」 京太郎「い、郁乃さん?」 郁乃「ごめんな~」タッタッ 京太郎「何の話をしてたんだろう?」 郁乃(今の話、京太郎くんに聞かれたんかな……) ――――――――――― 咏「お、お前たしか浜名湖にいなかったかぃ?」トテトテ 憧「いたけど、それが?」テクテク 咏「ふ~ん、ま、今日はよろしくねぃ~」トテトテ 咏(やけに大人っぽいけど……) 憧(やたら小っちゃいけど……) 咏(こいつ、本当に高一かよ……) 憧(この子、本当に高一なの……?)